ちょっとした飲食物をはじめ、ネクタイや文庫本、手土産品までを狭いスペースにそろえる駅の売店「Kiosk」。
出掛ける途中で忘れ物に気付いたときでも、電車を待つほんの短い時間に買い物ができる、じつに有り難い存在だ。

旧国鉄の売店がこの名前になったのは、1973(昭和48)年のこと。
その前年に鉄道弘済会が創立40周年事業の一環として駅売店のイメージアップをはかり、愛称を募集した結果、トルコ語で四阿(あずまや)を意味する「Kiosk」に決まった。

海外では、駅前や街角、公共の広場などにある売店はKioskと呼ばれ、「小さくて便利な売店」をあらわす言葉になっているという。

こうして、駅の売店は「Kiosk」と名付けられたわけだが、その読み方は「キヨスク」とされた。
Kioskをローマ字読みすると「キオスク」になるが、「キヨスク」だと「気安い」「清い」にも通じるという、冗談のような理由でキヨスクと称されることになった。

当初はキヨスクという耳慣れない言葉にとまどう人も多かったが、やがてこの名も浸透していく。

その後、キヨスクの社章も定められた。
この社章は「K」の文字をデザイン化したもので、Kの右隣にあしらわれている小さな星は「キヨスクの目指す、輝く希望の星」なのだという。

やがて国鉄が分割民営化すると、キヨスクは各JRのもとで株式会社となった。
そして、従来のような売店だけでなく新しいタイプの店舗を登場させたり、オリジナル商品の発売なども行うようになった。

だが、2007年には、JR東日本の駅売店「東日本キヨスク」が社名を「東日本リテールネット」に変更し、Kioskの読み方も「キオスク」とすると発表。

キヨスクという、ちょっとレトロな名前が消えてしまうのはなんとも寂しい気もするが、JR北海道・東海・四国などではこれまでどおり、「キヨスク」という読み方を続けていくようだ。