引越し先は、アパートでもマンションでもなく、新築の一軒家だった。
私と弟は、2年振りに同じ家で暮らすことになった。
この時もまだ、私は母が一緒に住んでくれると信じていた。
しかし、母の代わりに父方の祖母が来て、一緒に住むことになった。
ピカピカの一軒家
新しい木の匂い
何もかもが新鮮で嬉しかった。
しかしこの一軒家が
のちに私の呪いの場所になるのだ。
祖母が来てから、また歯を磨くようになった。
おはようやおやすみなどの当たり前の挨拶を躾てもらえた。
しかし、衣服や生活用品などは、全て最低限だった。
「家を買ったからうちは貧乏なの。贅沢はできないの。わかった?」
祖母はこの言葉を一日に何度も私と弟に言い聞かせた。
貧乏だからと服を買ってもらったのは多分10年で3回程。
下着は離れて住む母が、会いに行く度に新調してくれた。(年に2.3回)
小学4年生にもなると、発育が良かった私は胸が膨らみだした。
私の入浴中に父が後から入ってきて、私の胸を見ながら言った。
「PONちゃん、おっぱい出てきた?でもお父さんの方がおっきいな?ペチャパイペチャパイ〜」
酷い嫌悪感が体中を巡った。