先日、ある男性に「君って、どSだよね」と言われました。

なんですって?
私のどこを見て「どS」だと??

私は正真正銘、自他共に認める「どM」です。
その見極めすらできない君レベルの人間が、
SMを語るなんて言語道断です。

寝言は寝て仰いませ。

最近、「SM」という言葉に抵抗感が少なくなってきたのか、
「どM」だの「どS」だのと騒ぎたがる輩が増えました。

先に言っておきます。
大半の人が知る「SM」は「SM」にあらず。
偽物さんたちは
本当の「どS」や「どM」の言動が殆ど理解できません。

それから。
市場に溢れる自称「どM」や「どS」は9割の確率で偽物です。
世間が言う「Sっぽい」とか「Mっぽい」レベルの人たちは
SでもなければMでもない、SMとはほぼ無関係な人たちです。
言葉遊びの域を超えない人たちです。


Sadist(サディスト)というのは、
サディズム傾向にある人のこと。
相手に肉体的・精神的な苦痛を与えることで
性的満足を得る傾向のある人のことです。

Masochist(マゾヒスト)というのは、
マゾヒズム傾向にある人のこと。
相手から肉体的・精神的苦痛を受けることによって
性的満足を得る傾向のある人のことです。

辞書などで調べて分かる範囲としてはここまで。
でも、これはSMの本質とは明らかに違う。
SMの側面をただ言葉にまとめただけに過ぎません。


じゃ、その本質とは何ぞや?


とても簡単です。


サディストの「S」=出血大‘サービス’の「S」
マゾヒストの「M」=我がまま‘マグロ’の「M」

究極のSは時としてMに映り、
究極のMは時としてSに映る。


これに尽きます。


我がままなマグロ「どM」ちゃんは基本的に自分が大好き。
他人のことなんて、正直どうでもいい。
良く言えば「天真爛漫」、
悪く言えば「好き勝手で自分本位」なタイプです。

「どM」ちゃんが欲しいのは
尊敬に値するご主人様とその関係性。
こんなに我がままな自分をちゃんと叱りつつ、
包み込むように優しく支配してくれる存在には
絶対的な信頼を寄せます。

ですが、自分が認める人以外に
あれこれ指図されるなんてことは断じて許せません。
尊敬も信頼もできない人と関わるのは時間のムダ。
そう思っているところがあるので、
割と威圧的で、結構ドライな印象を人に与えます。
そのため、少し話しただけだとSっぽいように感じられるようです。

出血大サービス「どS」様は
どんなに怒っていても至って柔和な物腰で、
決して人に悪い印象を与えません。
場合によっては、仏様のような印象すら与えます。
だから、ちょっと会話をしただけだとMっぽく見られがちです。

ですが、本当はいつも心の中で
哲学的に悶々とあらゆることに想いを巡らせています。
でも、自分の本性を曝け出すことに抵抗があるから
優しい「仮面」をはずしませんし、はずそうとしません。
実はとっても繊細でナイーブなのです。

だから、人の目には穏やかで気が長いように映ります。
人から頼まれると嫌とは言えないのも、
とれない「仮面」があるからです。

こんな「どS」様と「どM」ちゃんの組み合わせだから、
肉体的な接触を超越した精神的快楽を楽しめるわけです。

心地よいと思うように体を噛まれる瞬間、
求めるように体が傷つけられる瞬間、
叱られていると思えるだけ体をたたかれる瞬間。
その時々に「どM」ちゃんは
ようやく自分が認める人に支配されたと感じ、
痛みと共に幸福感を覚えます。

体に残った噛み痕や傷は、消えるまでいじり放題。
楽しいひとり遊びタイムです。
痛みを感じることで支配されたことを追体験し、
「どM」ちゃんは甘美な余韻に酔いしれます。

「どM」ちゃんがそうするであろうことを何となくでも察して、
仮面をとって出来る限り本能のままに全力でサービスしてくれる。
それが「どS」様です。

自ら相手を傷つけ苦しめながらも、
痛み苦しむ相手をどこまでも愛おしく思ってくれる「どS」様に
「どM」ちゃんの要求はどんどんエスカレート。

一歩間違えば相手を死に追いやってしまうかもしれないし、
自分が命を落とすことにもなりかねない。
「どM」ちゃんも「どS」様も、常にそのリスクを背負って戯れています。
そのリスクなしに快楽はない、
リスキーだから気持ちイイとも言えるかもしれません。

そのような戯れの中で精神的で絶対的な関係が生まれ、
その関係の中でだけ、
双方は自分に素直に、自由になれるのです。

SMはある対象をただ痛めつけたいのでもなく、
ある対象にただ傷つけられることを喜びとしているのでもありません。

誰でもいいからただ傷つけたいだけ、
痛めつけられたいだけの人は「変態」であって、
SMを嗜む人とは言えない。

SMは言ってみれば、
大変高貴かつ危険な、紳士淑女の「お遊び」。
だから、互いに認めあえる存在であり、
尊敬しあえる者同士でしか成立しません。


ここまで書きゃ分かってもらえるでしょ?
どれだけ世の中に偽物が出回っているか。


偽物に価値はありません。
装うのはおやめなさい。

それから。
SMってのは合コンで話題にするような安っぽいもんじゃありません。
もっと大人になってから話題になさいませ。

抜き差しだけのSEXなんて、三度の食事と変わらない。
動物としての本能に基づいた欲求を満たすだけなら、
相手は正直、生理的に受け付ける範囲なら誰だっていい。
そこに愛なんてものはいらない。
だから、そこには痛みも快楽もいらない。
だって、ただ欲求の処理をしちゃうだけなんだから。
そんなの、もう飽きました。

欲しいものはそれじゃない。

「どM」ちゃんって、そんな生き物です。