私は、東京から程近い所謂ベッドタウンと呼ばれる街で産まれた。
駅前の一等地に3階建ての自社ビルを持ち、1階に両親が経営する呉服屋、その隣に店舗貸で美容室、2階に写真館、3階が倉庫兼自宅だった。
母は、瀬戸内海に浮かぶ小さな島の出身で
先祖代々島の神社の神主の5人兄弟の真ん中として産まれた。
家庭環境が複雑で、中学を出たら集団就職で島を出たかったそう。
上の兄弟が東京へ出ていたのを頼り、高校は必ず卒業すると祖父に誓い上京してきたそう。
父は、東京の今では、おしゃれな街、住みたい街ランキングの上位に名を連ねるが、当時は商店街を中心に下町臭の強い街出身で、5人姉弟の末っ子長男。
一番上の姉とは、25も歳が離れていて母は、嫁姑問題に小姑まで抱えていた。
どのようにして夫婦になり、呉服店を営むまでになったかは、聞いた記憶はあるにはあるが…
遠の昔なのでよく覚えていない。
私には、3つ年上の双子の姉がいた。
この二人、顔はそっくりなのに性格が正反対で
千と千尋の神隠しの湯婆婆と銭婆みたいだった。
ゆーちゃんは、後々書く事にもなるだろうが世界が自分中心で回っていなければ暴れ狂う傍若無人の人。
相手の事なんかお構いなしで、根っからの自己中心的ないじめっ子タイプだった。
ぜんちゃんは…とても優しくて気弱な子。
いつも何かに怯えてるような小動物みたいな子だった。
あまり笑わず、会話にも入れない…外で遊ぶよりも家で一人手芸や読書を愛する人で、大人からは何を考えているかわからないとあまり好かれる事はなかったが、私はぜんちゃんが大好きだった。