明日から通常勤務、昨日までは短時間ではあれ毎日仕事していた池田でございます。
年末に紹介しようと思っていた漫画があったのですが、家族が風邪引いたり実家の野暮用などでブログに書けず…
でもまあ新刊出たところなので、そのままご紹介しようと思います。
「白暮のクロニクル」 ゆうきまさみさん
医学部を卒業したのに医師免許を取らず、厚生省に就職した伏木あかり。新人研修として保健所の立ち入り調査に出向いた焼肉店で、凄惨な殺人事件に遭遇する。
その事件がきっかけで急遽あかりは厚生省の「夜間衛生管理課(通称やえいかん)」へと配属になる。訳のわからないまま、上司の久保園とともに私設文庫「按察使文庫」で雪村 魁(かい)という少年と会う。
この、10代にしか見えない魁が88歳と聞かされて絶句するあかり。実は魁は「オキナガ」という不老不死の種族で、あかりが遭遇した殺人事件の被害者もオキナガだった。死なない、というくらいしかオキナガの知識がなかったあかりは、実物のオキナガを目の前にして戸惑うが、やえいかんとはオキナガ達を管理する部署なのだ、という事を知らされ、困惑する。
当のオキナガたちも自分たちの事は分からない事だらけなのだが、何百年と生きている者もいて、ひっそりと暮らしていため、仲間の存在もよく知らない場合が多い。
そして魁はもう何十年もある殺人者を追っていた。
12年おきに現れる殺人者、羊殺し。
羊殺しはオキナガの可能性があったのだ。
スピリッツに連載されているので知っている方も多い作品ではないかと思います。
ゆうきまさみさんは私が小、中学生の頃はまだアニパロを描いておられたのですが、その後沢山の作品を出しておられるのはみなさんもご存知だと思います。
不老不死、という設定はよくあるものですがオキナガは完全に不死という訳ではなく、一定の条件では死んでしまうんですね。しかし、一般の人たちはオキナガに関する知識はせいぜい年をとらない、死なない、という程度で医学部出身のあかりも「感染症などにかからない」というオキナガの特徴のため、お目にかかる機会がなくて知識がない、という。
そしてあかりと魁は気付かずに出会ってしまいましたが、奇妙な縁があるのです。
不思議な種族オキナガに興味を持ち、困惑しながらもポジティブに彼らを受け入れていくあかり。 執拗に羊殺しを追う魁に対して、あかりはある事に気づきます。
彼は大切な人を羊殺しに殺されたのではないか、と。
年末に7巻が出たばかりなのですが、陰鬱な影もあるミステリであるにも関わらず、ゆうき先生特有のひょうひょうとしたキャラクター達でその暗さを一蹴しています。
特に伏木あかりは美人だし大柄なナイスバディの持ち主なのですが、嫌味なく自分の意見を言うし、疑問もどんどん訊いていくというタイプ。彼女の前向きさに引っ張られるように話は展開していきます。彼女の明るさとは対照的に、ひょうひょうとしている魁の、時折見せる陰惨な表情が残酷な殺人者羊殺しの不気味さを感じさせるんですよね。
ネタバレしないようにしたいので、このくらいしか話せませんが、一度手にしてほしいと思います。いよいよ動き出した羊殺し、どこまであかりと魁は迫れるのか。
毎度楽しみなミステリですよ。