ホーガンの毒霧殺法

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執着の先は恐ろしいというストーリーは江戸川乱歩っぽい。

 

 

「ザ・バニシング-消失-」をDVDで鑑賞。

 

1988年製作のオランダ・フランス合作映画。怖いと話題のサイコスリラーが、2019年日本で公開される。

 

オランダからフランスに車で旅行を楽しむレックスとサスキアは、途中のドライブインに立ち寄るが、サスキアが失踪しています。残されたレックスは、3年もの間、サスキアを探し続けていた。唯一の手がかりは、定期的に届く犯人からの手紙だった、、、という話。

 

本作は執着がテーマのサイコスリラーであり、「人間椅子」や「屋根裏の散歩者」などの人間の執着を描くことを得意としていた江戸川乱歩の作品のようだ。失踪した恋人を探しているうち、求めるものが恋人では無く、失踪した理由を知りたいということに執着し出すレックスと、悪の先には何があるのかを知りたいという犯人の物語である。過剰な執着の先には恐ろしい結末が待っていることは容易に想像できるため、本作の結末の後味の悪さも想定の範囲かな、という印象で、言われているほどの怖さはない。何でも試してみなければ気が済まないという犯人の行動が面白くって、むしろ笑ってしまった。ショートストーリーのような作品だが、ちょこちょこと面白い演出があり、サイコパスとは思えない犯人の用意周到ぶりが普通の人っぽくて飽きなかった。

 

65点

 

 

これぞB級エンターテインメント!

 

 

「デンジャラス・プリズン-牢獄の処刑人-」をブルーレイで鑑賞。

 

今個人的に注目のS・クレイグ・ザラー監督による2017年製作のバイオレンス映画。

 

失業してドラッグの運び屋をやっているブラッドリー(ヴィンス・ヴォーン)は、取引現場で警察との銃撃戦に巻き込まれて逮捕されてしまう。刑務所に収監された彼に、警備が最高レベルのレッドリーフ刑務所に収監されているある人物を殺害するように命じられる。妊娠中の妻を人質に取られた彼は、レッドリーフ刑務所に移送されるよう騒ぎを起こすが、、、という話。

 

「トマホーク ガンマンvs食人族」、「ブルータル・ジャスティス」を見て感動し、引き続き本作も見る。前二作に共通する独特のテンポやリアルな差別表現、そして容赦の無いグロ描写は本作でも健在。主人公のキャラクタは「ブルータル・ジャスティス」にも共通する。世の中の不平等さを一身に受けながらも不平不満も言わず、愛に邁進する主人公の怒りは、最上級のカタルシスを生む。冒頭、そんな彼を裏切った妻(ジェニファー・カーペンター)に対し、妻では無くて妻の車を素手でボコボコにするシーンにまずやられた。

 

レッドリーフ刑務所まではリアルな描写が続くが、人権無視のレッドリーフ刑務所からは急にB級ファンタジー的な展開になるのが笑ってしまう。なんだろう、あの城みたいな刑務所と、旧世代的な所長はwww

 

全体的には愛すべきB級映画だが、この手のジャンル映画のツボをしっかりと押さえた最高級のエンターテイメント映画だ。これを見てS・クレイグ・ザラー監督全作品のブルーレイの購入が決まった。

 

80点

 

#それにしてもS・クレイグ・ザラー監督全作品、いずれも邦題が酷い。

 

S・クレイグ・ザラー、今後も注目すべき監督であることを強く認識できる傑作。

 

「ブルータル・ジャスティス」をDVDで鑑賞。

 

「トマホーク  ガンマンvs食人族」のS・クレイグ・ザラー監督による2018年製作の暴力刑事映画。

 

犯人逮捕に当たっての暴力行為が元で停職となったベテラン刑事のブレット(メル・ギブソン)は、家族のために犯罪者による闇取引の金を強奪することを計画、ブレットの相棒で同じく停職となったトニー(ヴィンス・ヴォーン)を巻き込む。しかし、彼らが追っていた犯罪者集団は、予期せぬ行動に出るが、、、という話。

 

本作は映画秘宝2020年度ベスト10位にランキングされていた作品。監督は、最近話題のS・クレイグ・ザラーだ。「トマホーク  ガンマンvs食人族」との共通点は多く、何気ない会話と独特の間、容赦の無い過剰な暴力表現、そして、リアルな差別表現が共通しており、クエンティン・タランティーノを彷彿とさせる。差別に対して完全にリベラルなタランティーノに対し、本作では黒人への過剰な暴力で度々問題となる白人警官側の事情をも描いており、立ち位置はタランティーノとは異なる。決して差別を肯定しているとは思えないけど、差別が起きている背景をしっかりと描くことを信条としているようだ。メル・ギブソンというキャスティングも差別を描く映画としては絶妙だ。

 

全編159分と長いが、タランティーノ作品同様に飽きない。そしてアクションは地味だが極めてリアル。人体破壊や人権無視の犯罪行為は凄まじく、緊張感を持続させる。感動的で納得できるラストも高級感がある。

 

S・クレイグ・ザラー、今後も注目すべき監督であることを強く認識できる傑作だ。

 

75点

 

#「デクスター」の妹役のジェニファー・カーペンターがあまりにも悲しい役で驚いた。