8/28(水)の裁判傍聴「大麻取締法違反」、田舎ヤンキー。 | 「やさしい武術指導Glasswolf」講師、京呉のdarkside blog

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今日も事件が少なく、少ない事件に傍聴人が群がる現象が起きていた。
夏休みで裁判が少ない裁判所と夏休みで増える学生傍聴人。いや、裁判所はいつまで夏休み気分なんだろう。

ロビーの検索機で眼をつけていた傷害事件にはありつけず、仕方ないのであまり興味ない「大麻取締法違反」の事件の裁判の法廷へ。

凄く並んでいる。

が。

この法廷には何回か来ている。

席数は20席。
並んでいるのは18人。
私で19人めだ。行けるな。手ぶらでは帰れない。食堂で食事だけして帰るなんてただの時間の無駄だ。

法廷へ。

被告人席にはスーツの若い男だけ。手錠は無し、刑務官もなし。保釈中か。

開廷。

24歳の被告人は色黒細眉、あえて厳つく見せる事を狙ったような短髪にピッチリした紺のスーツの、いかにもソウルジャパンを愛読してる田舎ヤンキーと言った風情。

事件は歌舞伎町で。
売人から大麻を購入した被告人は歌舞伎町を歩いていると警察官から職務質問をされ、最初は応じたものの「靴の中も見せて。」と言われて走って逃走。

が、追い付かれ捕まる。
息を上げて座り込んでいた被告人の靴は半分脱げており、「大麻は車の下に捨ててきた。」と自白。

警察官が路駐車の下を調べると大麻がチャック付きビニール袋に三袋。


被告人は容疑を認めている。弁護人も争うつもりは無い。


しかし気になるポイントは2つ。

・前科1犯(建造物侵入窃盗)であり、その執行猶予期間中に犯行を犯したこと

・残念な事に実の父親が身元引受人になる事を拒んだ事。

である。

さて、情状証人登場である。

父だ。

弁護人から質問。

「あなたは何故、息子さんが拘留中に面会にいかなかったのですか。」
「昔から悪さばかりしておりますので、罰を受けた方がいいと思ったからです。息子は今までどうも自分のやった事を軽く見ていましたから。」

「執行猶予中の犯行です、実刑になるかもしれませんが。」
「自業自得、致し方のない事です。私は、夜の仕事もやめて昼に働いた方がいいんじゃないかとずっと言っておりました。」

なるほど、とりあえず愛想尽きたのか。

身元引受は断ったのに今回証人は引き受けたのは何故ですか。

「電話が掛かってきて、前回の裁判の後は具体的なことは言わなかったのに、今回は昼の仕事をやると具体的な事をきちんと言ったので引き受けました。」

「あなたは息子さんが再犯しないためにどのような協力が出来ますか。」

「息子は彼女の元にずっといたのか帰って来ませんでしたが、部屋はずっと、そのままにしております。一緒に暮らし、監理し、話も聞いて生活していくつもりです。」


でも、身元引受人はお父さんではなく、被告人の幼なじみの父親である。シュールだな。

ざっくり言えば、被告人は風俗の店員をしており、仕事のストレスと彼女に降られたストレスで大麻に手をだしてストレス解消をしていた。

誘惑の多い歌舞伎町で働いていたのは以前やっていた解体の仕事よりカネが良く(あくまで目先のカネが良いだけで福利厚生も賞与も退職金も無いのだが。)、夜の雰囲気が楽しかったから。
本人がいうには「ちょっとカッコいいと自分に酔う部分もあり」大麻でストレスを発散していた。

それだけだ。


でもきっと田舎ヤンキーの彼には歌舞伎町は向いていなかったのだろう。

普通歌舞伎町で働いていたいれば身なりや所作、歩き方が洗練されてきて、いわば「歌舞伎っぽくなってきて」、警察官も「ああ、歌舞伎町で何かしらの店で働いてるただの商人か。」と見逃す。

しかし彼は田舎ヤンキー度が隠せなかったんだろう。
田舎から歌舞伎町に出て来てもスマートに上手く水商売に馴染めなければ、
芋臭く泥臭く小汚く、チンピラの手先みたいなその日暮らしみたいな暮らしに甘んじるしかない。
そしたらずっと職務質問率は増えるよね、小汚いんだから。

田舎ヤンキーの彼は一応お店に所属していても中々田舎ヤンキー度が抜けず細眉のままだった。

そりゃもう向いて無いんだよ。

経営者レベルになるつもりならいいが、
腰掛けで水商売やるには、キャスト側では無く裏方側としても、24歳は結構もうおじさんだ。

田舎に帰るにはいい頃合いじゃないか。


求刑は懲役6ヶ月。甘い気もする。
もちろん弁護人のおばちゃんは執行猶予を主張。被告人の親友の父が自分の内装工事の会社で働くから更正の余地はあると。判決は次回。


まあ、多分寛大な処置がもらえるんじゃないすか。

被告人は少年の頃から家庭裁判所の少年審判でホゴカンに掛けられたりしていたらしいが、
ぶっちゃけ私の意見で言わせてもらえば最近の世間のアレでは30代前半くらいまで少年事件みたいな扱いだし。


法廷を出て、ちょっとメモを見返したりしてロビーに降りると被告人、弁護人、父親が立ち話をしていた。

「多分執行猶予で大丈夫だと。」

みたいなフレーズが聞こえて、普段だったらさりげなく近寄って聞き耳を立てるのだが、私は本当にどうでもよさ過ぎてすぐに地下のすき屋に向った。


被告人には母親がおらず祖母が母親代わりだったが、その祖母が亡くなってからグレ出したという事が父親の口からあって普通他の法廷では結構そういう部分に情けを掛けられたりするのに今回は全く触れられなかったのは過去の少年審判や裁判で散々ネタにされ尽くして来たからだろうか。
それともただ単に裁判長が冷たかったからだろうか。


「いや、そんなろくでもないストレス解消法よりもっとまともなストレス解消法あるでしょ。」と、
裁判長のシュールな一言が脳内で再生される。


人からみたらもうどうでもいい過去の事でも、本人からしたらずっと忘れられない事とかもあるよな。


彼女と別れた原因は暴力が原因だったりしたのだろうか。