本日も裁判傍聴。
件数は大分回復してきたが、やはりまだ「長めの夏休み」や「遅めの夏休み」を取ったらしき傍聴人が多いようである。
今日一件目にセレクトした事件は地裁刑事新件「建造物侵入・窃盗」である。
被告人(前科三犯 同種が二犯 残り一つは猥褻)の住所不定無職のおっさんは元作業員。
T建設の下請けのM建設に所属していたが、無断欠勤を繰り返し退職。
本人は、職種の違う仕事を押し付けられた上にそのミスの責任を取らされたり等理不尽な扱いを受けた事が原因という。
退職後、自分の安全帯が最後に勤務していた現場の休憩所にあるけど昼間は気まずいから夜に取りに行く事を考えたおっさんだが、夜、駅から現場に歩く途中、「腹いせに現場の工具を盗んで行く事」を思い付く。
おっさんは現場の休憩所からレーザー墨出し機等数点を盗みハードオフにうるがそれが元で発覚。
そんな事件。
判決は懲役二年執行猶予三年。
今回は検察官のおっさんからの質問が中々キレが良かった。
「あなた、執行猶予が出たら真面目に働きます、働く働く言うけどアテは有るんですか。」
「はい、M建設の前に勤めていたA組です。」
「A組ねえ。雇ってくれるの、あなたみたいな盗みを犯した人を。」
「雇ってくれます。私から言ってる訳ではないですから。以前から戻ってこいと言われています。」
「今回の事件を知らないから、雇ってくれるの。」
「はい。」
いや、はい、なのか。シュールだな。
「以前から声を掛けられてるなら、何故事件当事A組で働いて居なかったんですか。」
「二月に電話したら、今の時期はまだ仕事が少ないから待ってくれと言われたからです。」
検察官のおっさんは何処までも鋭い。
「それ、本当に雇ってくれるの。」
「絶対に雇ってくれます。もう5月も終わっていますから雇ってくれるはずなんです。」
被告人のおっさんには被告人のおっさんにしか見えない世界があるのだろう。
検察官は求刑懲役二年の請求理由に
「被告人は社会に出ても保護監督する人がおらず再犯の可能性がある。」というものを上げた。
あんまりいじめるなよ。