【観察日記】“媚び”という言葉が炎上する時代に
10月28日、高市早苗首相(64)はアメリカのトランプ大統領(79)と会談。
翌29日には米海軍横須賀基地で空母を視察した。
この二日間の映像がテレビで繰り返し流れ、政界もSNSもざわついている。
特に話題になったのは、トランプ氏が高市首相を「彼女こそ勝者だ!」と紹介した瞬間。
満面の笑みで手を振り、軽く跳ねるように応えた高市首相の姿だ。
その明るい反応を「親しみやすい」と見る人もいれば、
「露骨なヨイショ外交」と感じた人もいたらしい。
昔、「学園祭の女王」と呼ばれていた歌手たちがいた。
まだ若者文化が元気だったスマホの無い時代の話。
令和の今、私が勝手に「講演会の女王」と呼んでいるのが東ちづるさん(65)である。
市町村が主催する無料の講演会。
抜群の知名度と、明るく親しみやすいキャラ、社会活動もしておりちょっと左(広島県出身なのも関係しているのかな?)
まぁ、無料なら聞いてみてもいいかな──そんな有名人だ。
その東さんが、今回は“炎上”のほうで燃えている。
発端は、彼女がX(旧Twitter)に投稿した一文だった。
「女性だからこそ、その業界では特に、媚びと過剰適応でのし上がってきたと想像できる」
──この“想像できる”という言葉が決定打。
SNSでは「女性蔑視だ」「根拠のない偏見だ」との声があがり、
一気に拡散した。
報道によると、背景にはトランプ氏との関係性があったという。
ノーベル平和賞推薦の話題や、腕を組んで歩く映像など、
「媚びすぎ」とする報道が重なっていた。
けれど批判の矛先は次第に変わり、
「政治批判」よりも、「女性リーダーの努力を“媚び”にすり替えたこと」が問題視された。
《女性が成功すると「女の武器を使ったに違いない」と言われる。これは性差別》
《想像で努力を貶めるのはやめてほしい》
《世襲でもない女性政治家が媚びて総理になれるわけがない》
コメント欄は、女性たちの怒りと失望で埋まった。
東さんはこれまで「政治は生活。誰が発言してもいい」と語ってきた人だ。
けれど今回は、単なる政治批判ではなく、
ジェンダーに基づくパーソナルな攻撃と受け取られてしまった。
ある記者はこう分析している。
「『媚びと過剰適応でのし上がってきた』という言葉は、
男性優位の社会で地位を築いてきた多くの女性への否定にも重なる。
それが怒りを呼んだ」
政治的立場よりも先に、
人としての「見え方」が問われる時代。
「まぜこぜの社会」を願うなら、
想像でラベルを貼らないことから始まるのかもしれない。
✳観察メモ
- 高市首相の“トランプ外交”が物議。
- 東ちづるさんの投稿が炎上。
- 問題は「政治批判」より「女性への偏見」と受け取られた点。
- 成功した女性に“媚び”のレッテルを貼る日本的構造が浮き彫りに。
- 事なかれ主義の行政が今後も東ちづるさんを講演に呼ぶのか注目したい。
