明日は、日航ジャンボ機墜落から39年目の日。


毎年この時期になると、追悼ニュースが流れますが、風化させてはいけないし、未だ真相が明かされていないと、遺族の訴えが聞こえて来ます。


この本は、元日航取締役の松尾氏による墜落事故に関する関連資料をまとめたファイルを、ジャーナリストの木村良一氏が紐解いたもの。


当時、松尾氏は技術担当の取締役で、事故の原因となった圧力隔壁の修理ミスを見逃したとして、その責任を群馬県警、検察から追求されました。


修理ミスは、製造元であるボーイング社によるものですが、日航は修理の受入時にそのミスを見つけられなかった責任を追求されました。


しかし、ミスが起こった場所は、内装材で覆われ、目視で確認することは不可能でした。


ボーイングの作業指示書も大雑把で、とても世界最高水準と呼べるものではありませんでした。


最終的には、検察、県警は証拠不十分として不起訴を発表します。つまり、日航の責任を問える程の証拠が集められなかったからと思います。


では、作業ミスをしたボーイングに責任が問えなかったのか。


それが、遺族にとっての最大の謎と思います。


この本では、政治的な側面が描かれています。


当時の中曽根総理は、レーガン大統領との蜜月を画策していました。


そこに、アメリカの代表的な企業でもあるボーイングを訴えるとなると、その目論見も崩れかねない。


事故の原因は、特定されていました。


本来、一枚の中継ぎ板で、リベットを二列で打ち込むべきところ、中継ぎ板を2枚に分けて、それぞれにリベットを一列ずつ打ち込んだことで、強度が70%まで低下。その金属疲労しやすい状況を放置したことが、技術的な原因。


にも関わらず、「真相が明らかでない」と言われるのは、ボーイングに詰め寄れず、事故原因を引き起こしたことに対する説明を受けられていないからと思います。


誰かを断罪するためではなく、再発防止のために、遺族に説明することが、犠牲となった520名への供養と思います。