前にお話ししたように、私は、2年前に

60年近く積み上げてきた財産や地位や名誉、

医者としてのプライドや認定医や専門医の

資格などキャリアもほぼ全て失いました。

全てを失い得られたものは、皮肉な事に、

自由でした。

それからの2年間は、死のうか裏切った父親や

姉夫婦やいとこの医者達を世の中の人達は、

医者の前に人として、どう思うのか?を

どうやって問いて行こうか?悩んでいました。

そんな中、例え大都市で、半世紀以上、

医院を開業していてもある日、突然、閉院の

告知をして、1カ月で、閉院になっても

気にもかけない患者も街の人も校医をしていた

学校も保健所も何のリアクションも

ありません。

また、私が、どんなにガンや難病の患者を

診ていても彼らは、一度治って数年間再発が

ないと感謝の気持ちは、私には

ないんだと思い知らされました。

本当に、自分は、ちっぽけな存在で

世の中にとってはどうでもいい人間なんだと

思い知らされました。

そうして、子供の頃から生まれ育ち、

何億も借金を父親の代わりに返した挙句の

出来事に、絶望し、死を決意した瞬間に、

数名の医者の先輩や仲間が、助け船を

出してくれました。

また、本当に、数十名の患者さんも

私を慕ってついて来てくれました。

飲食店のオファーも受けて、そこで

出会った新たな仲間も増えました。

本来なら何もかも失った人間と付き合って

くれる人は、少ないと思うのですが、

確かに、親兄弟や親戚付き合いは、

一切なくなりましたが、まるで昔から

付き合っていたような仲間が、

自然に増えていっています。

と、同時に、

自分の身の周りに、不思議な事が

起こり始めてきました。

それは、難病を持って生まれた自分の

運命なのか?宿命なのか?

人によっては、それは天命だと

言われているのですが、

ありえない時間や場所で、あり得ない人と

会うのです。

確かに、人は、それを偶然という2文字で

片付けてしまうかもしれません。

それにしてもそれにしてもなのです。

それは、出会った相手も驚く、ほとんど

運命のいたずら的なシチュエーションなのです。

私自身も何か目に見えない力につき動かされて

いるようで、あまりにも不思議な出来事が

続くので、誰かが天から私を見ていて、

無意識の中で、動かされているような

気がします。

そんな不思議な能力?が身についた?

今、残りの人生を他の医者では、

持て余した少数の難病の患者さんや

私を信じてついて来て

くれる患者さんの治療と

私の今までの医者としての

臨床経験や知識や治療法などを

引き継いでくれる若き医者達に、

伝えていく事に、捧げようと思っています。

と、言っても玄米や菜食や断食のように、

これから40数年かけるわけには、

いかないので、わかってもらえる人にだけ、

助けられる患者さんにだけ、で

いいと思っています。

もちろん、40数年後には、それが

医学の基本になっている事を

期待しての事ですが。