マリアビートル | dokidoki感

マリアビートル

こんにちは


この本を読みました


伊坂 幸太郎

マリアビートル







簡単なあらすじ

それぞれ目的を持った殺し屋達が 同じ新幹線に乗り合わせてしまい
カオスなバトルロイヤルが繰り広げられます


感想


先日読んだグラスホッパーの続編です

グラスホッパーが面白くて 期待して読んでみると
少し繋がりはあるも こちら単独で物語は完結します
そして 私はグラスホッパーより面白かったです

・木村 元殺し屋で現在はアル中の警備員
4歳の息子がデパートの屋上から 何者かに落とされ 
一命は取り留めたものの やった相手に復讐すべく
新幹線に乗りこみます


・王子 木村の息子を落とした男 というか中学生
木村が探しているのを知り 新幹線に乗るという情報を流します
つまり罠をはっており木村はアッサリ 中学生に拘束されてしまいます

この王子が憎たらしすぎて腹が立つけど
木村も好感度は低いから 同情イマイチできません

でも4歳の息子が可哀想だから 木村目線で読んでしまいます
木村は復讐できるのかというパート


・蜜柑と檸檬と呼ばれる2人の殺し屋(かなりヤリ手)
盛岡の黒社会大物の息子が誘拐されたので 命令された内容は 
息子の奪還 身代金は渡すな 相手を殲滅

実行し意気揚々と新幹線に乗りこむと 身代金は盗まれるは
探している間に 大物の息子が暗殺されるわで
大変マズイ状態になるのに イマイチ緊張感はなし

論理的な蜜柑 破天荒な檸檬 まさに凸凹コンビが奮闘します
私は蜜柑のような考え方だから そちらの目線ですが
人によっては檸檬が好きだという人もいるでしょう

そんな対照的なキャラを描くことができる伊坂さんが凄い!



・七尾 常にトラブルがつきまとう 不運な殺し屋
東京駅発の新幹線からスーツケースを奪い 上野で降りる
たったこれだけの仕事のはずなのに いつもの不運から
トラブルに合い その目的はうまく果たすことができません

そのスーツケースは檸檬と蜜柑が運ぶ身代金という
不運な現実を知っただけでなく 更なる不運が襲います

もう不運のスパイラルハリケーンが凄くて笑い転げましたw

・狼 過去七尾とひと悶着あり恨みに思っていたら
偶然新幹線で再会 七尾には大迷惑な再会
七尾の不運の一つ

・真莉亜 七尾に指示する女性
七尾とのやりとりは まるで漫才 
伊坂さん漫才の脚本も書けるだろうなと思ってしまいましたw


こんな個性が強い登場人物だけでなく
前作グラスホッパーの鈴木と槿(あさがお)も登場します
そして あの殺し屋も!

それらが前作と同じように 登場人物それぞれの短い話が
ローテーションで描かれているから 展開が早く感じるし
読むの辞めようと考えても つい次までとなってしまう構成で

新幹線というワンシチュエーションなのが 臨場感あり
ハラハラする展開が連続し 何よりも
登場人物らの個性が魅力的で とても引き込まれました

これは映画向き いやこのワンシチュなら舞台が向いてる
と思ったら 2018年に実際に舞台化されたようです
それは観たかったーーー!!!!!

前作グラスホッパーでは 殺し屋の物語のせいか
伊坂さんには珍しい 不愉快・ブラックに感じる描写があり
陰鬱な雰囲気を醸し出していたのに対し

こちらは 壮大なドタバタ劇を見せながら
ブラックなスパイスが効いてるよな感じで
私はこちらの方が好みでした

子供の頃 アニメなんかでワクワクした事はありましたが
オッサンになったから 最近そんな感覚味わった事なかったのに
この本は久しぶりに そんな感覚に陥ってしまい

物語にワクワクしてどうなるのか先を知りたいなり
最後の方は 終わってしまうのかと残念な気持ちになってしまいました

そしてそのラストも秀逸
一部ハッキリしない所もありますが 物語の副産物的な事だから
少しは気になるも 特にハッキリしなくても問題なく
多分こうなるのだろうなー という暗示はしてくれているし

大事な所はハッキリとスッキリさせてくれ気持ち良かったし
最後の行が とても印象的で良かったです

素晴らしいー! 多分今年一番です