タイトル:<부러진 화살>(直訳:『折れた矢』)
監督:チョン・ジヨン
出演:アン・ソンギ、パク・ウォンサン、ナ・ヨンヒ、キム・ジホ
<あらすじ>
大学の入試問題にミスがあったことを指摘したことにより、
大学を不当解雇されてしまったキム・ギョンホ教授。
教授の地位確認を求める訴訟を起こすが敗訴し、
控訴審までも正当な理由なく棄却されてしまう。
キム教授は公正な裁判を求めて、担当判事を訪ねて、石弓(クロスボウ)で脅迫。
激しいもみ合い、担当判事の血の付いたシャツ、腹部2cmの刺し傷、
折れた弓を回収したとう証言…
すぐに事件の波紋は広がり、
司法部はキム・ギョンホの行為を法治主義に対する挑戦であり、「テロ」であると規定。
容疑者を厳重に処罰すると発表する。
しかし、被疑者キム・ギョンホが「石弓を放っていない」と自身の潔白を主張し、
すぐに判決が下るかに思われた裁判は難航する。
一歩も譲らない法廷、食い違う陳述!
決定的な証拠である「折れた矢」の行方は分からぬまま…
非妥協的な態度を固守し、裁判長にも毒を吐くキム・ギョンホの火のような性格に
弁護士達すら彼の元を去っていくなか、
最後に選任された自称“不良弁護士”パク・ジュンの登場で
裁判は活気づくが……。
~☆ ~☆ ~☆ ~☆
只今、韓国で大ヒット中!
権力社会の不条理に物申す系の作品で、
ヒットしている経緯が、
去年ヒットした<도가니>(直訳:「るつぼ」)に似ている。
勿論、劇映画なので脚色はしてあるけれど、
法廷内でのやりとりは実話を基にしているらしい…。
見ていて、呆れて物も言えないようが裁判が繰り広げられます。
無罪もなにも、事件の「捏造」ですよ。
日本も一度裁判になると「無罪」判決はなかなか出ないみたいですが、
この裁判は、本当に酷い…。
「正直者がバカを見る」世の中…悲しいですね。
韓国という国が怖くなります…。
旧正月にあわせて公開されましたが、
先日、一日の興行成績が「ダンシングクィーン」を抜いて一位になり、
観客動員数は累計115万人を越えました。
国民が怒りの意思表示をするかのように、
劇場に足を運んでいます。
異例(?)の大ヒットに最高裁が「『折れた矢』は司法テロを美化している」と
公式発表をするなど… 社会的な波紋を呼んでいることも含めて、
韓国について知りたいなら、
見ておいて損はしない映画だと思いました。
ちなみに、劇中、いや~な裁判長を演じている大御所俳優ムン・ソングン。
カリスマありありで、石を投げたいくらいの悪徳ぶりを好演していますが、
実は彼が監督に原作を読んでみろと薦めて、
映画化したそうです。
ムン・ソングンは韓国の最大野党・民主統合党の代表を選ぶ選挙で、
2位になり、現在は党の最高委員。
今後は、政界に進出するみたいですね~。
ムン・ソングンは故ノム・ヒョン元大統領が当選した際の、
影の立役者でもあるそうです。
政治のことはよく分からないけど、
ムン・ソングンさんの動向はちょっと気になります。
また、この映画は製作費5億ウォンの超低予算映画です。
スタッフもランニングギャランティーで契約しているそうなので、
劣悪な環境で頑張っている韓国映画のスタッフのためにも、
もっともっとヒットしてほしいなと…。
密かに思っています。
*ランニングギャランティ―
(俳優らが作品の興行成績によってギャラを受けとる方式)