千明の憂鬱。
ふと気付いたら夜中の2時だった。
どうしても今日中にクリアしたくて流ノ介たちに見つからない様に隠れてずっとDSをやっていたのだ。
今日はアヤカシも出なかったし。稽古も適当にさぼれた。
気持ちいい疲れに身を捩り、いい加減風呂に入って寝るかと思い風呂場に足を向けた。
無駄に広いこの屋敷にも風呂場はひとつしか無い。
しかも今時薪で火を焚いて入る風呂というんだから時代錯誤も甚だしい。
さすがにこの時間に黒子に頼むのも悪い気がするし、ゲームしてて夜更かししてたのが彦馬にバレるのも嫌だったのでもう残り湯でいいやと思いさっさっと入る事にした。
「まあ、ぬるくてもいいや」
と着替えの部屋の扉をカラリと開ける。
そこに予期せぬ先客が居た事に思わずあっと声をあげそうになった。
――丈瑠だ。
「え?あ‥悪ぃ‥もう誰もいないと思って‥」
思わず聞かれてもいない言い訳をする。
「問題無い。が‥」
すっと丈瑠は脱いでいた上半身をタオルで隠した。
「閉めて、くれないか」
はっと思い。
「あ。ああ、そうだな‥悪い‥」
そしてゆっくりと扉を閉めた。
どうしていいか判らなくなり、とりあえずその場を離れる――すごいスピードで。
丈瑠――あいつの身体、傷だらけだった。
随分古そうな傷から、最近の物であろう痛々しい傷まで色々あった。
そうだ、あいつは今までたったひとりで外道衆たちと闘って来たんだ。
俺がフツーにともだちと学校に行ったりしてる間に。
あいつはひとりで命のやりとりをして来たんだ。多分ガキの頃から。
たったひとりで―――。
長い廊下をずんずんと歩きながらそんな事をぐるぐると考えた。
あいつ傷隠してた。
「きっと見られたくねぇんだな‥俺なんかに」
それはきっと羞恥から来る物では無く、他人からの同情を受けたく無いという丈瑠の強い自尊心から来る物なのだ。等と俺にでも判る。
そう言えば当主の風呂だというのに彦馬どころか黒子のひとりもいなかった。
あの傷のせいで丈瑠はいつもこんな時間に隠れる様にして風呂に入っているのだろうか。
「見なきゃよかった‥」
感じたくも無い丈瑠への泣きそうな気持ちが溢れて来る。
そのまま部屋に着き、黒子がひいてくれたであろう自分用に宛てられた布団にすべりこんだ。
もう何も考えず眠ってしまいたい。
しかし眼を閉じるとあの傷跡が鬱血した丈瑠の白い肌が思い出される。
「あーもう!!どこまでもムカつく!!」
と布団の中でひとり叫んだ。
気がつけば次の日の朝で黒子に起こされた。
よくわからんが食事はシンケンジャー全員でそろって食わされるのだ。
飯なんか適当にスキに食えばいいじゃないかと1度呟いたら彦馬に
「シンケンジャー足る者‥!!」
と散々お叱りを受けた。
あんなに説教好きなジジイを未だ家臣にしている丈瑠が考えられない。
やっぱあいつはどうかしている。
だらだらと歩きながら食事の間に着くと、驚いた事に丈瑠しかまだ来ていなかった。
うわ。丈瑠と2人きりなんて考えてなかった。
昨日の今日で、こいつと2人きりなんてなりたくなかったのに。
なんか喋らなくちゃならないじゃないかと思い。
「‥よう」
と声を絞り出した。
「皆おせえな‥」
「無理に喋らなくていい」
「はあ?」
「俺と喋る事が苦痛なんだろ。顔を見れば判る」
どこまでムカつくヤツなんだと思っていると。
「昨日俺の身体を見たからだろう―――」
直撃だった。ぐっと声を詰まらせると。
「お前に同情される等とは俺も墜ちたな‥」
「はあーっ!!!?」
「もういい。喋るな。飯が不味くなる」
「なんだそれ!!誰がてめえみてえな殿サマ野郎に同情するかよ!!ふざけんな!!!」
そこに調度流ノ介のバカがやって来た。
「千明!!またお前は殿にそんな大声を出して!!何をしているんだこんな朝っぱらから!!」
「また喧嘩?ご飯不味くなるから辞めてくれないかなあ」
「殿サマ~皆~おそうなってすいません~」
ぞろぞろと茉子とことはまで起きて来た様だ。
てか来るのおせえんだよ!!
「お前の身体見たからってなんなんだよ!!同情とかしてねえし!!アホくせえ!!」
「身体?殿の身体見たってどうゆう意味だ千明!?」
「何でも無い。詮索するな流ノ介」
「しかしっ殿――!!」
「な。千明?」
「‥‥!!!」
挑戦的な瞳で封じられた。
マジでムカつく!!こんなヤツ一生主従でも何でもねえ!!と腹の底からしみじみそう思った俺だった。
初緑赤SS。
千明ちゃんはそのイライラがいつか恋に変わるといい。
どうしても今日中にクリアしたくて流ノ介たちに見つからない様に隠れてずっとDSをやっていたのだ。
今日はアヤカシも出なかったし。稽古も適当にさぼれた。
気持ちいい疲れに身を捩り、いい加減風呂に入って寝るかと思い風呂場に足を向けた。
無駄に広いこの屋敷にも風呂場はひとつしか無い。
しかも今時薪で火を焚いて入る風呂というんだから時代錯誤も甚だしい。
さすがにこの時間に黒子に頼むのも悪い気がするし、ゲームしてて夜更かししてたのが彦馬にバレるのも嫌だったのでもう残り湯でいいやと思いさっさっと入る事にした。
「まあ、ぬるくてもいいや」
と着替えの部屋の扉をカラリと開ける。
そこに予期せぬ先客が居た事に思わずあっと声をあげそうになった。
――丈瑠だ。
「え?あ‥悪ぃ‥もう誰もいないと思って‥」
思わず聞かれてもいない言い訳をする。
「問題無い。が‥」
すっと丈瑠は脱いでいた上半身をタオルで隠した。
「閉めて、くれないか」
はっと思い。
「あ。ああ、そうだな‥悪い‥」
そしてゆっくりと扉を閉めた。
どうしていいか判らなくなり、とりあえずその場を離れる――すごいスピードで。
丈瑠――あいつの身体、傷だらけだった。
随分古そうな傷から、最近の物であろう痛々しい傷まで色々あった。
そうだ、あいつは今までたったひとりで外道衆たちと闘って来たんだ。
俺がフツーにともだちと学校に行ったりしてる間に。
あいつはひとりで命のやりとりをして来たんだ。多分ガキの頃から。
たったひとりで―――。
長い廊下をずんずんと歩きながらそんな事をぐるぐると考えた。
あいつ傷隠してた。
「きっと見られたくねぇんだな‥俺なんかに」
それはきっと羞恥から来る物では無く、他人からの同情を受けたく無いという丈瑠の強い自尊心から来る物なのだ。等と俺にでも判る。
そう言えば当主の風呂だというのに彦馬どころか黒子のひとりもいなかった。
あの傷のせいで丈瑠はいつもこんな時間に隠れる様にして風呂に入っているのだろうか。
「見なきゃよかった‥」
感じたくも無い丈瑠への泣きそうな気持ちが溢れて来る。
そのまま部屋に着き、黒子がひいてくれたであろう自分用に宛てられた布団にすべりこんだ。
もう何も考えず眠ってしまいたい。
しかし眼を閉じるとあの傷跡が鬱血した丈瑠の白い肌が思い出される。
「あーもう!!どこまでもムカつく!!」
と布団の中でひとり叫んだ。
気がつけば次の日の朝で黒子に起こされた。
よくわからんが食事はシンケンジャー全員でそろって食わされるのだ。
飯なんか適当にスキに食えばいいじゃないかと1度呟いたら彦馬に
「シンケンジャー足る者‥!!」
と散々お叱りを受けた。
あんなに説教好きなジジイを未だ家臣にしている丈瑠が考えられない。
やっぱあいつはどうかしている。
だらだらと歩きながら食事の間に着くと、驚いた事に丈瑠しかまだ来ていなかった。
うわ。丈瑠と2人きりなんて考えてなかった。
昨日の今日で、こいつと2人きりなんてなりたくなかったのに。
なんか喋らなくちゃならないじゃないかと思い。
「‥よう」
と声を絞り出した。
「皆おせえな‥」
「無理に喋らなくていい」
「はあ?」
「俺と喋る事が苦痛なんだろ。顔を見れば判る」
どこまでムカつくヤツなんだと思っていると。
「昨日俺の身体を見たからだろう―――」
直撃だった。ぐっと声を詰まらせると。
「お前に同情される等とは俺も墜ちたな‥」
「はあーっ!!!?」
「もういい。喋るな。飯が不味くなる」
「なんだそれ!!誰がてめえみてえな殿サマ野郎に同情するかよ!!ふざけんな!!!」
そこに調度流ノ介のバカがやって来た。
「千明!!またお前は殿にそんな大声を出して!!何をしているんだこんな朝っぱらから!!」
「また喧嘩?ご飯不味くなるから辞めてくれないかなあ」
「殿サマ~皆~おそうなってすいません~」
ぞろぞろと茉子とことはまで起きて来た様だ。
てか来るのおせえんだよ!!
「お前の身体見たからってなんなんだよ!!同情とかしてねえし!!アホくせえ!!」
「身体?殿の身体見たってどうゆう意味だ千明!?」
「何でも無い。詮索するな流ノ介」
「しかしっ殿――!!」
「な。千明?」
「‥‥!!!」
挑戦的な瞳で封じられた。
マジでムカつく!!こんなヤツ一生主従でも何でもねえ!!と腹の底からしみじみそう思った俺だった。
初緑赤SS。
千明ちゃんはそのイライラがいつか恋に変わるといい。