黒猫もんちゃん

いまだに玄関を開けると残像が浮かぶ

帰ってくると

ヒョイとお迎えにでてくる姿が浮かぶ

にゃーん

にゃーん


ある日あらわれて

家にいるようになって

ゴミ捨てについてきてくれて

保護しようと覚悟を決めて可愛がり

手からチュールをようやく食べてくれた

あともう少し

サークルも買った

あと一歩

突然

亡くなった


せめて

贈り物をしたくて

名前をつけて火葬場で飼い猫として見送った


喜んで食べてくれたご飯も

チュールやおやつも

玄関の上に置いたまま


今は毎日お経とお線香をあげるだけ


やっぱり寂しいね


亡くなった歴代のペットたちの残像の穴

ぽっかりと空いた穴がまたひとつ増えて


暮らしてるときは幸せだらけなのに

別れたあとは家のあちこち穴だらけ…


私が彼らを置いていくよりも

ずっとずっと良いのはわかってるけどね。



亡くなったあと

箱に詰めた

もんちゃんの体からノミが出ていった

たくさんのノミが出ていった

不快だったはず

綺麗にしてあげたかった。


野良猫という生きものをなくしたい

外での暮らしなんて

病気とともに生きるなんて

警戒心が生きる術だったなんて

あまりに酷だよ。

普通に出会いたかった。

もしも子猫だったなら

警戒心の芽生える前だったなら

たらればだけど…


家へ来てくれてありがとう。

出会ってくれてありがとう。

猫アレルギーだけど

最愛の猫だよ、もんちゃん。


合掌