「おいしいね。」
「ぎむ、よく食うようになったな。」
「おにぃちゃんのサンドイッチ美味しいもん!」
家からちょっと遠い公園につくと歩いてきたせいもあって
時刻は昼過ぎになっていた。
すぐに近くのベンチでランチボックスを開くと
ぎむが僕の作ったサンドイッチに手を伸ばし口に運ぶ。
それにつられて僕もサンドイッチを口に運ぶ。
うん。上出来だ。
「ぎむのこと考えながら作るからおいしくなるのかな~」
「そんなことないよ。おにぃちゃんが料理上手なんだよ。」
僕らの両親はぎむが小さい頃に、まぁ今でも小さいけど
正確に言うと小学校に入る前に交通事故にあった。
父親は出血多量ですぐに亡くなってしまった。
母親は車から投げ出され、川に落ちてしまったのか未だに見つかっていない。
僕らは一度は施設にいれられたが
交通事故のショックから立ち直れずいつまでも暗いぎむを標的とした
いじめが起きてから、ぎむと一緒に施設を抜け出した。
それから僕は施設から大分離れた田舎にアパートを借りて
ぎむと暮らしている。
ぎむは少しずつ少しずつ、ゆっくり時間をかけて
今ではこんなに明るい笑顔を見せてくれる。
最初は施設に居た頃の記憶が残っているのか
人が多い場所では、必ず青い顔をして僕から離れようとしなかったが
ある日ぱったりとそんなことも無くなった。
それがいつからなのか、いつも一緒にいたはずなのに覚えがない。
まぁぎむが元気だったらそんなことどうだっていいのだ。
無理に追及してぎむを苦しめたりなんてこともしたくないし。
「ぎむも僕みたいに毎日やってたら、うまくなるしレパートリーも増えるよ」
「あ、でもおにぃちゃんのオムライスはオムライスじゃない」
「え!?」
予想外な返事が返ってきて驚く。
自分でも苦手な料理があることは重々承知だが
卵を使った料理は僕が好きなこともあって覚えが早く、自信があった。
「な、なんで!?あれのどこが駄目なんだよ!」
「おにぃちゃん、サッカーやりたい!」
(´・ω・`)
「僕そんなにオムライス下手かな・・・」
「サッカーは上手だよ!サッカーやろ!」
「うーん。まぁいいか。」
家から持ってきたサッカーボールを抱えたぎむが
僕の腕をひいて広い場所へ向かう。
オムライス特訓するか・・・