雨の中、女の子が裸足で逃げる。それを僕は追いかける。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・あっ!」
泥だらけの水たまりに足を取られて転ぶ彼女。
それでもまだ僕から逃げたいのか、這うようにして僕から離れる。
「どうして逃げるの?ぎむ」
「はぁ・・・はぁ・・・」
彼女の名前はぎむ。僕の妹だ。
ぎむは振り返ってコーヒーゼリーのような色をした大きな瞳を見開いて僕を見つめる
僕はぎむから少し距離を置いてしゃがみ込む。
「怖がらないで。大丈夫だから。お願い、避けないで。」
「あ・・・あぁ・・・・・・あぁぁ・・・・・・。」
ぎむはプルプル震えながら後ずさっていたけど
やがて力尽きたのか気を失ってしまった。
僕は泥だらけのぎむを抱きあげる。泥で綺麗な顔も白い肌も台無しだ。
「ぎむ・・・君はまた・・・僕のことを忘れちゃったんだね。」