私の通勤通路に、
短いが勾配が急な坂がある。
その坂は、
美脚自慢の女の子が
オッパイ振り乱して走る程の距離はないものの、
42歳のバイト終わりが疲れての帰宅時には、
なかなかの難所であり、
1度『よしっ!』と気合入れ直さないと
一気に行けない坂がある。
行きは下りで帰りが上りだからまた厄介だ…。

で、本日バイト出勤の為、
いつもの様に
朝その坂を下ろうとすると、
下からカップルが坂を上ってきた。


彼女は彼と手を繋ぎ、
彼は、自転車を押しながら彼女と手を繋いでいた。



別にいいんですよ、別に…

彼も繋ぎたくて彼女と繋いでるんでしょうし、
2人が横に並んでる事によって、
道が塞がって邪魔…という事でもなく、
この2人は、一切私に害は与えてないので
全然問題ないので、全然いいんですけどぉ…

坂上がる時くらい、
手繋ぐのやめれんもんかね…。

彼氏が片手でチャリを押してたので、
多分、彼は…
『俺力あるから、急な坂でも自転車片手で押せる強い男ですねん。』
という潜在的なアピールなのかもしれないのですが…

私だったら、
『君にはある程度力はある様だけど、
こんな所で力を使い果たす様な
意味のない事を君にはさせたくないから、
この坂は両手を使って自転車を押すといいよ。
片手で自転車を押すより、
両手で自転車を押した方がラクな事を
私は知っているからね。
別に、君に力が無いと言ってる訳ではないんだよ、
君に、
よりラクに坂を上って貰いたいという
私の配慮からなされる声掛けだよ。』

と坂を上る前に言ってあげますけどね。


別にその彼女より、
私の方が気が利くいい女なんですよっ!というアピールではなく!

…ではなくっっ!

へんな意味じゃなくー!


私なら、
『この坂の勾配は急だから、
君は両手で押すといいよ。』

と言い、繋いでた手をほどき、
泥除けの付いてない自転車の後輪を
玉転がしの要領でタイヤを回しながら、
手の平を土塗れにし、
その泥が顔に跳ね上がったとしても、
その泥を拭う事なく一心不乱に
彼が自転車で坂を上る行為を
私なら手伝いますけどね…。


別に、
私の方が彼を思いやる気持ちありますアピール
してる訳ではなくっ! 

そういうへんな意味じゃなくー!

私ならそうしますけどね、私なら。


まっ…
別にいいんですよ!いいんですけどね…。