福井の実家に、
中学の頃に出て行ったっきり
音信不通だった妹
陽子が、13年振りにひょっこり帰ってきた。                                                                                                                                                      


「陽子…急に帰って来て…
びっくりしたわ…。
でも元気そうでよかったわ…。
お父さんのお葬式にも帰って来なかったから
あたしてっきり…」


「てっきり、何?
ふんっ!生きてて悪うございました…。

しっかし…
ここも、いつ来てもシケた町よね…
ディスコもなけりゃ、
カラオケ屋もない…。
こんな所、さっさと出て行ってよかったわ…。」


「陽子……。
あっ!ところで、どうする?
今日ぐらい、ゆっくりできるんでしょ?

あさ美おばさんとこに一緒に挨拶行く?
あんたが帰ってきたって聞いたら、
喜ぶ思わよー♪

あさ美おばさん、
あんたの事一番可愛がってたもんね…」


「行かないわよ、そんなとこ…。
言っときますけど、
あたしもそんなに暇じゃないの!

それよりさぁ…
1週間前にお父さん亡くなったでしょ?

遺産…結構あるわよね?
さっさと分けちゃおうよ。」


「陽子…、
あんた…帰って来て早々何言ってんの?」


「お姉ちゃんこそ何言ってんの?
独り占めできるとでも思った?

残念でした…。アハハハハハー‼」


「……………。」

「じゃあ早速、
この家はお姉ちゃんに譲るわ。
だから、現金で3,000万…
明日までに用意しといてね!」

「無理よ、そんなの…。
そんな大金1日で用意出来る訳ないでしょ?」

「何それ‼

ショックなんですけどーーー!

あっ‼和室にある掛け軸とか刀とか売ったら、
3,000万なんか、すぐでしょ?
あたし、古美術商に電話してみる‼」


「ちょっと止めなさいよ!
あれは、お父さんが大事にしてた
うちに代々伝わる家宝よ!
売れる訳ないでしょ‼」



「もしもし?
鑑定してもらいたい物あるんですけど…」

「陽子、止めなさい‼」

「うるさいわねぇ!
たまに帰るとお姉ちゃんぶりやがって…
前々から、気に入らなかったのよねっ!」

「陽子…
今となっては、二人きりの姉妹じゃない!
仲良く支え合って…」


「もう、そんなのうんざりなんだよ‼
いっつもそう…
あんたはいい人ぶってさ。この偽善者!

まぁ…とにかく……



あたしにも半分は貰える権利…
あるんだからね。
憶えといてね、
優しい…お・姉・ちゃん。」


「おい‼陽子!!
お前、オレ様をいつまで待たせんだよ!
しかもこの辺何にもねぇなぁ‼
びっくりドンキーもねぇじゃねぇかよ‼
びっくりしたぜ。」


「ごめーん!かつゆきさん!!
すぐ話終わらすから!

じゃ、そういう事だからお願いね、



お・姉・ちゃん……。」


ここから姉のみちこは、
この家を守るため、
嫉妬と憎悪に狂い
妹を殺す完全犯罪を企てていくのであった…。