#1 岡田武史の涙
1993年10月、深夜のテレビ放送で解説をしていた岡田武史が泣いていた。
遠いドーハという地から送られてくる映像、距離を感じさせる割れた音声は、まるで夢のようで非現実的だったが、フィールドでうずくまる選手たち一人ひとりに声をかけるオフト監督の痛々しい振る舞いと、言葉を詰まらせた岡田武史の沈黙が、その衝撃の大きさを物語っていた。
大の大人を泣かせるほどの衝撃は、もちろん自分も打ちのめし、翌日も翌々日も妙に無口になったことを覚えている。そして誓ったことも。
W杯への初出場が決定する瞬間は必ず現場で居合わせる、と。一生に一度しかない歴史的な瞬間の当事者、目撃者になって、爆発したる!!まだまだアジアの壁が高い時代の決意でした。
そのちょうど3年後の1996年3月、僕は関空発クアラルンプール行きの全日空に搭乗することになる。