香港丸での船旅は、現代の豪華客船の旅とは違い、あまり居心地の良いものではなかったようです。

客室が男客室と女客室に別れていたそうで、二人は別々の部屋。

太平洋横断航路ですから揺れも大きく船酔いで食事も喉を通らなかったらしく大変だったようです。

途中ハワイに寄港し、上陸は出来なかったけど穏やかな海と南国の目新しい風景に一息ついて癒された様子が伺えます。

そしていよいよサンフランシスコ港に着岸。8300kmを18から19日をかけての長い船旅であったようです。

到着したサンフランシスコではレンジはずいぶんと奮発して日本人経営の一番立派なホテルに三日間滞在し、初めて新婚の二人らしい幸せな時間を過ごせたのではないでしょうか。船旅の疲れからも回復したことでしょうね♪

この三日で街を散策もし、道路が鏡のように平らに舗装され、そこを通る自動車の多さに驚き、また子供たちがきれいな服を着てお人形の様だったと回想しています。

 

さて、ここからは陸路・・・・鉄道でロスアンジェルスに行き一泊。泊まったホテルのエレベーターに驚き、そこで注文したステーキの大きさと厚さに、チキンは一羽そのままのどーんと丸焼きに目を丸くし、二人で三分の一をも食べることが出来ず、お値段も随分と高かったと回想しています。(驚きながらも楽しんでいる二人の会話や姿が目に浮かぶようです。)

そこからアリゾナの砂漠とサボテンが立ち並ぶ広大な土地を抜けメキシコとの国境通過し首都メキシコ市を経由し目的地に向かいます。(道中立ち寄った町や駅名、出迎えに来たレンジの友人の名前や間柄等を事細かく記憶して、それらを数十年後に書き記したハツばっぱの記憶力には驚くほかありません。)

 

最終目的地チャパス州エスクイントラ村(以下エス村と記す)はメキシコの最南端、隣国グアテマラとの国境のすぐわきにあります、ロスからエス村まではざっと地図で測ると3500km。

長い長い鉄道の旅だったことでしょう。

さて鉄道で行くことのできるエス村最寄りの駅アカベタワからは馬に乗り、ハツさんは乗馬経験が無いので地元の長老の乗る馬に相乗りさせてもらって、夕刻にようやくエス村のこれから生活を始める家に着いたのでした。

つづく