A.M.6時
長女・大子の朝が始まる。
歯を磨きながら、洗濯機を回し、お風呂を洗う。
それが終われば、朝食と自分と中学生の次男、双子の兄のお弁当、次男が朝練後に食べるおにぎりを握り、夕食の下ごしらえをする。
ある程度作れたら、次男を起こす。
ノックして声をかけただけでは起きないのが、次男の廉だ。
「廉、起きなさい!」
「大子がキスしてくれたら起きる〜😗💕」
廉の初恋は大子らしく、実の姉弟だが、結婚出来ると信じているほどのシスコンで、大子が大学に行くことやバイトすることが不服らしい。
「何アホなこと言ってんねん!?」
朝のクソ忙しい時に、何を呑気な。と大子は、廉の頭にハリセンを見舞う。
「いった!」
マンガで言うなら、布団から浮いているほどの声を上げ、廉が飛び起きる。
「おはよ、廉。朝練やろ❓遅刻すんで❓」
「・・・痛い😭」
廉のつぶやきはスルーして、双子の兄を起こす。
双子の兄・良規も重度のシスコンで、油断すると朝の支度が遅れる。
大子の策は、物質【ものじち】。
「よし、ギター壊されたくなかったら、起きなさい」
「アカンで!!」
実際は、部屋にすら入って居ない。
「洗濯出来てるから、干してや〜」
最後は可愛い末っ子で次女の星香。小学生である。
「星香、起きなさい。朝ごはん出来てるから」
「・・・大ちゃん、おはよ。シスコンどもはまたやらかしたの❓」
星香、目が大きくて、美少女なのだが、毒舌なのである。
「そうなんよ。あ、明日から、星香が起こしたってや。大ちゃん忙しいねんからさ」
「え〜❓朝からシスコン兄貴の相手すんの❓疲れるやん・・・」
「・・・」
それを毎日やっとんねん💢こっちは!
と大子は思ったが、星香が可愛いので言わない。
「大子、朝練の後に食べるやつは〜❓」
下から廉が呼ぶ。弟のハズだが、呼び捨てである。大子が部屋を出ていくのを見ながら、星香は(もう少し協力しようかなぁ)と考えていた。
朝食は、朝練を除いて、だいたい揃って食べる。
これは、海外出張している両親から教わった習慣である。
長期休みなどの時は、昼や夜も基本的には揃って食べるが、就職や部活などでそうはいかない。
大子は、廉を見送ると、着替えて、食卓に着く。
「よし、夕飯、生姜焼きの下ごしらえしてあるから」
「大ちゃん、バイト❓」
「うん、カテキョ」
「追い込みか」
そう、受験シーズンで、大子はこの時期、カフェを休ませてもらい、家庭教師を増やす。
幼稚園教諭を志望する大子。
家庭教師は、いかに分かりやすく教えられるか。を模索しているのだ。
「・・・大子、それ、下履いてるやろな❓」
大子は、ニットワンピを着ていて、膝が見えている。
「あ、アホちゃう!?履いてるわ!」
「あ、パンツちゃうで🤣ジーンズとかタイツとか」
「紛らわしい言い方すな💢ご心配なく。ショートパンツ履いてます〜」
朝食の片付けを終えると、7:30。星香が登校する。
「ほな、あたしも行くわ」
星香の登校に合わせ、大子も家を出る。
「じーこ、待ってるんやろ❓」
「うん😊よしと廉にはまだ内緒やで❓」
大子には、高校の時から付き合っている最愛の彼氏が居る。
それを知るのは、星香だけ。
重度のシスコン兄弟が知ったら、家庭が崩壊しかねない🤔
小学校との分かれ道。
「大ちゃん、星香ちゃん、おはよう☀︎」
さわやかに手を上げた青年。向井康二。大子の彼氏である。
「おはよ、じーこ」
「康ちゃん、おはよ❤️」
「大ちゃん、足寒くないん❓俺のジャージ、履く❓」
「ありがと。大丈夫。康ちゃんとこの子たちも追い込みやろ❓」
そう言いながら、大子は星香をハグする。大子も年の離れた妹にはデレデレなのだ。
「(シスコン兄姉ども・・・)」
毒舌でツンデレな星香は、内心で毒づいた。兄たちはキツいが、大子にハグされるのは満更でもないのだ。
続