3500年7月21日。大阪の閑静な住宅街で殺人事件が起きた。
29歳の若夫婦が殺害され、4歳の一人息子が誘拐されたのだ。
警察の捜査で、犯人は若奥様・ひなの元恋人だった、柊 秀【ひいらぎ しゅう】だと判明。
警察は、近所の住人の聞き込みから、秀が誘拐した幼児・信五が病弱だと知り、1日も早い信五少年の救出の為に、マスコミへの公開などを行ってまで捜査していた。
少年の祖母に当たる、ひなの母親の話では、生後間も無く心臓の手術をしたのだと言う。
だが、手がかりはなく、警察は途方にくれかけた、7月25日。
大阪東警察署に「犯人らしき男を見た」との通報があった。
刑事が駆け付けると同時に、近所の交番に勤務する警官もパトロールを強化した。
東警察署のそばの東交番に勤務する警官・錦戸亮が、その日に散歩がてら目撃情報のあった近所を歩いた。非番だったのだ。
すると、男が血相を変えてアパートの1室から飛び出して来た。
亮は、そ知らぬ顔で男に近付いた。
亮「どうしましたか?」
男「ガキが…」
亮は連れて行くよう頼んだ。
アパートに入ると、そこには少年が居た。亮は、従兄で小児科医の横山侯隆が居る、横山総合病院に連絡した。
亮「あなたの子ですか?」
亮の問いに、男は目を泳がせた。亮はそれを見て、不審に感じ、交番の先輩警官に連絡した。
先輩警官と東警察署の刑事が駆け付け、男が柊秀であり、ぐったりしていた少年が誘拐された信五だと判明。
亮は手柄を挙げたのだ。
非番だった亮は、横山総合病院に急いだ。
小児科に着くと、侯隆が病室から出て来た所だった。
亮「侯にぃ信五くんは…」
侯「身体はケガが多いけど、呼吸も安定したし、一命は取り止めたで」
侯隆の笑顔に、亮も笑顔になった。
亮「侯にぃ、信五くん、タイプやろ?」
侯「///バレた?信五くんを養子にして、跡継ぎにしたい。本音は彼女やし、妻やねんけどな」
亮「可愛いもんな。おじさんはええやろけど、おばさんが難しそうやね…」
侯「あぁ。母さんは男は女を好きになり、女は男を好きになるもんってタイプやからなぁ」
亮「夫婦は法律的にもムリでも、養子と跡継ぎは俺からも頼むし、信五くんを見たら許可してもらえるって」
侯「そう信じるわ」
亮は、侯隆と信五の病室に向かった。
信五は全身包帯だらけだが、顔色はよく見えた。
侯隆、信五の未来は…?
続