「おはよ、ひなちゃん」
大阪の閑静な住宅街から1本路地を入ったところにある、マンションの1室。
医者になりたての新婚、横山夫妻が暮らす愛の巣だ。
夫の侯隆は、紫雲医科大学病院の内科医、妻のひなは、同大学病院の小児科医だ。
侯隆はひなにしか興味がないが、色白で長身のため、モテるし、ひなは160cmと小柄だが、50kg・98・62・90とスタイル抜群、性格もいいため、モテるのだが、その事実が新妻に度々【嫉妬】をさせた。
この日もそうだった。
ひなは、不機嫌なオーラを纏ったまま、キッチンで朝食を作り、夫妻の弁当を作りながら、洗濯をしていた。
ひなは、家事も完璧である。
侯隆がキッチンで忙しく動くひなを後ろから抱き締め、首元の香りを嗅ぎながら両手はひなの体をイヤらしく撫でると、ひなが侯隆の手の甲にフォークを刺した。
侯「ひなちゃん、何を怒ってんの?美人が台無しやで?」
ひ「…解らんの?」
侯「昨日、当直明けやのに子作りしよって言ったから?」
侯隆の検討違いの答えにひなは、「大嫌い別れてやる出てく」と侯隆の腕を振りほどいて、ガスだけは止めて、キッチンを出ようとした。
慌てた侯隆が「待って、待ってお願い、別れんといて出てかんといて」と必死で止めた。
侯「何があったん?解らんから教えてくれる?」
ひ「…ホンマに覚えてないん?昨日、看護師が侯くんの腕組んで胸を当ててた」
侯隆は暫く考え、答えた。
侯「あぁ、あの娘。いくら言っても聞かないんよ。俺には奥さん居るし、奥さんを愛してるから、プライベートでは話しかけて来ないで。って(苦笑)言ってんのに」
侯隆はため息をついて、ひなの左ほほにリップ音を響かせた。
ひ「ホンマ?あの看護師よりウチがいい?」
ひなは、束縛をするのもされるのも嫌う。
だが、人並みに、いや、他人以上に不安になる。
モテていたが、男運がどうもよくなかったらしく、繊細になってしまったのだ。
ひ「…いいんやで?ちゃんと言ってくれたら…」
侯「解ってる。何回でも言ったる。俺はひな以外の女には興味ないし、ひな以外の女は要らん。ひなにしかムラムラせぇへんし、一緒に居て楽しくない。だから、ひなちゃんと一緒に居させて、ずっと。死ぬまで、いや、死んでからも」
ひ「…侯くん、不安になってごめん」
侯「俺こそ、誤解させて、不安にさせてごめん大好き愛してる」
続