瞳に映る貴方は、笑っているよう。
空中ブランコにぶら下がりながら、手を振る。
民衆に向けたソレに、わたくしは喜びを。
トラが火の輪をくぐり抜け。
ゾウが行進しながら円を描き。
玉に乗っかったサルが器用に足を動かし。
笑っているように見えた貴方は、今度は泣いているよう。
手品のハトが一斉に離れていってしまったからかしら。
わたくしだけにわかるソレに、民衆は喜ぶばかり。
わたくしは笑う。
わたくしは泣く。
しかし、怒りはしないし。
かといって、その感情がないわけでもない。
今、民衆にどんな感情を抱いているのかしら。
貴方の瞳に映るわたくしは。
ガラス張りの箱の中。
サーカスに参加することもなく。
棄てられることもなく。
ただ、貴方と民衆を見ているの。