太陽光を24時間利用する宇宙発電計画が一歩ずつ進んでいる。静止衛星の巨大パネルで発電し、電気は電波などに変換し地球に伝送。昼夜のサイクルや大気中のちり、天候に左右されず、安定的に発電できるとされる。技術面で最先端を走る日本では宇宙航空研究開発機構や三菱電機などが取り組み、2030年代の商用化を目指す。エネルギー問題を解決する救世主になるか。
原発1基に相当
09年3月。国際宇宙ステーションで宇宙飛行士の若田光一さんが太陽光パネルの交換工事を行った。約100キロワット発電するステーションの主要電源だ。計画中の宇宙太陽光発電の規模はこれをはるかに上回る。政府は宇宙で実証実験に踏み切る方針で、宇宙機構などは15年ごろを提案している。
宇宙機構と共同開発している無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)の布施嘉春技術本部グループマネージャーによると、商用化当初の想定は、衛星1基が870万キロワットを発電し、電波のマイクロ波に変えて地球に送る。地上でこれを電気に戻すと、原発1基分にほぼ相当する100万キロワットが供給できる。
巨大パネル
1号の有力モデルはUSEFを中心に検討してきた巨大パネルの衛星。長さが縦横とも約2・5キロあり、大量の小型パネルを宇宙で合体させて造る。重りとつないだロープでつるような外観だ。
宇宙には廃用衛星の残骸などが漂い、ぶつかって来かねないが、修理は壊れた部分の小型パネルを地球などからの遠隔操作で交換すれば済むという。短所は常に同じ方向を向いていることで、利用できる太陽光や発電にばらつきがある。
一方、宇宙機構はより発電が安定する理想タイプも検討。ただ、大型の丸い反射鏡2枚を編隊飛行させて集光するといった複雑で高度な技術開発が必要だ。
ピンポイント
「目下の最大課題はマイクロ波を正確に地上アンテナに送ること」(佐々木進宇宙機構教授)。マイクロ波は雨や雲にも強いなどの特徴がある。だが発電衛星軌道は宇宙ステーションよりずっと地球から遠く、地上アンテナはピンポイント。高い精度が求められる。
安全性への配慮も欠かせない。マイクロ波は電子レンジでおなじみだが、衛星発信のものはエネルギー密度が低い。「レンジ用の100~10万分の1で当たってもやけどしない。だが、人体への影響の国際基準や一般市民の不安感に配慮し、アンテナ設備内は立ち入り禁上にするべきだ」と佐々木教授。
商用化には宇宙に運ぶ大型輸送機の開発や、巨大設備の宇宙での組み立てなどで巨額の費用が必要。財源確保も課題だが、大きな期待が寄せられている。
出典:ZAKZAK