死神凝視ドクロ

本来、多分戒め的な話だったもの。

絶対だめと言われていた事をやってしまって、しかもそれが死神を消す魔法の言葉を教えてくれた死神相手にやってしまい、結果自分の寿命を自分で吹き消した男の話。

怪談話とはいうものの、この話はそこまで怖いなとは思わず。私はこの死神の話を漫画で知ってから聞いていたのですが、話す人によって死神の不気味さとか違うので色んな人のを聞いてみてもいいかなーと思う。


噺Vivaceの死神は現代版にアレンジされた死神で、本来の話とはかけ離れています。

芸能の寿命の死神とはよく思いついたもんだなーとまず設定で感心してた。

見た回の死神役がおぐりまさこさんと小澤さんだったんですが、2人の死神の性格がかなり違うのが中々来るものがある。

悠斗役はサンエーさんとサンスケさんと寺西くんを見たね。

美月役は4人見た?かな??あーいうストリート的な歌で一番上手いなと思ったのは伊藤瞳さんでした。泣きながら歌う最後のシーンで一番私号泣した。


どこから書こうかなぁと悩むほどに、この死神は本当に苦しかった。深い愛の話だとも思う。自己犠牲の話。

そして配役の妙というか、味がそれぞれで一番違う話だと思った。

個人的に一番グサッと来たのが千秋楽の回の配役だったけど、まずは死神役でちょっと書きながら頭の中をまとめたい。

最初に見たのはおぐりまさこさんの死神だった。ふざけた格好、話し方も到底死神とは思えない。だけどこのおふざけに得体のしれなさが加わって、更に怖さがあったのがおぐりまさこさんの良さ。

おぐりさんの死神はさ、悠斗が美月ちゃんの左側に居た死神を追い払うのを「本当にいいのか?」と聞く時がね。怖かったのよ。少し笑うような声で問いかける。その声には「さあ、やるんだ」と煽るような、谷底に落としてやると言いたげな怖さがあった。追い払ったあとのセリフも楽しみかのように「あ〜あ(笑)」と言う。

あの怖さがなんとも。悠斗への憐れみの欠片も無さがねー、傷口に滲みるみたいにジワジワと後悔と怖さがあった。落語の死神の印象には私はおぐりさんの方が近いなと思う。

対して小澤さんの死神はなんとも情のある死神だった。おぐりさんと同じ場面、美月ちゃんの死神を追い払う時に「…本当にいいのか?」の言い方。小澤さんの死神には情があった。最初に死神である自分を見える悠斗に情が芽生えていたのかもしれない。どこか悠斗に寄り添うのが、死神らしくなさが、印象的だった。いやー、殿はやはり気持ちから入る演技の人だからね!今年の2月に見た赤毛のアンでも、過去にやってらした戦争ものの舞台でも、心に響くのが早いのよね。


悠斗は千秋楽はサンスケさんが演じていた。小澤さんとサンスケさんの配役の時がなんだかんだと一番好きだった。殿との掛け合いに一番安心感があるからかなー。

サンスケさんの悠斗はオーディション受ける度に落ち込んで荒んでいく様が顕著で時間の経過も分かりやすくて、悠斗に対して同情心と共感が湧いた。

同情心が最も湧いたのは寺西くんの悠斗だったけど、個人的に3人の悠斗は最後のシーンの受ける印象がものすごく差があってね。

特に一番回数を見たサンスケさんは、最後のシーン千秋楽だけ変えてきたと思ってる。他の回でやっていたのを覚えてないので、多分最後だけだと思うけど。

美月ちゃんの死神を追い払った事で悠斗の受けた代償は、音楽で得た全てを失うこと。

賞を貰って歌う美月ちゃんの歌は悠斗に伝えたかった言葉だった。

永田さんと寺西くんの悠斗は、歌は聞いていただろうなぁと思う。

ただ永田さんの悠斗は何処となく、自分の行いに後悔が深くて耳には入っても聞いてはいないように思えた。

寺西くんの悠斗は歌う美月ちゃんの姿は見れないけれど、歌はちゃんと聴いていたように思う。伝わっているんだな、でも今は全部は受け入れられないんだろうなぁと、拒否しきれない優しさと弱さが見られた。

サンスケさんの悠斗も、最初は永田さんの悠斗と同じく後悔の深さがあって聞けていない。拒否を感じたけれど、千秋楽ではとうとう耳も塞いでしまっていた。

あれがね、もう辛くて切なくて。苦しかった。

絶望の中、今はどうしても受け入れられないんだなと思って、美月ちゃんの気持ちが伝わらないのが本当に悔しくて。それでも悠斗の深い優しさと、自己犠牲の尊さ、愛がなければ出来ない事をしたんだと思うとこれからがまだ生きていればあるのだからと、悠斗に未来を見る気力が戻る事を願って泣いてた。


落語の死神は最後死んじゃうからね。反省や立ち直り、生きていればやり直せる事もなにも出来ないで終わるけど、噺の死神は命が無くなる訳じゃないのが遠くを見れば希望が湧くだろうけど、今死ぬよりも辛いのもまた胸にくる。


個人的にね、人に譲ってしまうサンスケさんらしさがある話だったと思う。

友達と同じ人好きになったら身を引いちゃうタイプだからね。

同じ夢を追う美月ちゃんに道を譲ってしまう悠斗を、サンスケさんは自分に重ねていたんではないかなーて思う。

一番、サンスケさんらしさのある話だったなと、私は思いました。





噺からもう二週間経っているのだけど、この死神だけはずっと思い出していました。歌もずっと耳に残ってる。

再演希望ですわー。

そして噺の公演で、葵武将隊の頃から岡崎で構ってくださってる方もお手伝いでいらしてて、色んな協力や助けがあったんだろうなぁと思います。

小澤さんとマネージャーの渡辺さんとサンスケさんが一緒にこうして一つの舞台を作ってくれたのがとんでもなく嬉しい事だった。

殿の言葉が出てこない場面があって、それも上手く時にわざとらしくもなるけど、出演者の皆で良い場面にしてくれたのが嬉しかった。

こんなに舞台の内容だけじゃなく、経過から皆さんの絆で嬉しい気持ちになれる舞台経験したことない。


とても大切で、とても愛しい時間でした。



あー、時間戻してもう一回あの場に行きたいです。