きっかけは些細なことでした。
児童館に息子をお迎えに行き、職員さんとお別れした後の帰り道の車内でそれは起きました。
息子は「DVD観たい」と言いました。
ちょうどその時、私の好きな曲が流れてきました。
私は「お願い!この曲だけ聴かせて!」と頼みました。
息子は「え?嫌だよ!DVD観たいよ!」と言いました。
私は、「お願い、この曲だけだから」と頼み込みましたが、息子は折れませんでした。
代わりに私の心が、ボッキリと折れました。
音楽を止めて、無音の車内。
不穏な空気に、息子は「DVD観ない…」と呟きました。
我慢していた何かが、溢れてきました。
「どうせお母さんが我慢すればいいんだよね。お母さんのことなんて、どうでもいいんだよね。」
気付けば、泣きながら息子に向かって関係ないことでキレ散らかしていました。
息子は黙っていました。
やってしまったなー…と、、、
思ったけど、どうにもできませんでした。
息子は、DVDを観るのを諦めていました。
それでも、私の溢れた感情は止まりませんでした。
「なんでそうなるの?曲聴き終わったら次はDVD観せてって言えば良かっただけじゃん。なんで、もう観ない、になるの?なんで、そんな極端なの??」
「普通の家庭を築きたかった!!!」
ずっと心の奥にしまっていたものが、ついに出てきてしまったように感じました。
これが、私の本音なの???
情けないです。
夫に言われたこと、夫の距離感に、私は傷ついていました。それなのに、息子の言動を口実に、感情を爆発させてしまいました。
そんな重い空気の中、息子は黙ってカーナビを操作し始めました。地図を表示して、スケールを変更して、番地が見える状態にしていました。
そして、「この数字なあに?」と言っていました。
私は「人の話を聞いてないのもお父さんそっくり…」とぼやいていました。
私は、いったいどこに向かっているんだろう…
なにがしたいんだろう…
家に着いてもまだ、気持ちは晴れませんでした。
寝る前に、息子とようやく仲直りができました。
息子は言いました。
「僕も普通が良かった。お父さんが一緒にいて、遊んでほしかった。お父さんに来てほしい。普通のお家がうらやましい…。」
あぁ………
この子にも我慢をさせているんだな…と、胸が苦しくなりました。
「お父さんはね、今それができないんだよ。でも、会いたいとか寂しいとかって気持ちを我慢しなくて良いからね。」
「お母さんも悩んでる。会うと喧嘩になるし、会わないと寂しいし、難しいよね…。」
返事は無く、息子の寝息が部屋に響いていました。
私も息子も、望んでいることは同じでした。
お互い我慢していたんだな、と実感しました。
「普通」って、なんなんでしょうね。
温かいご飯が食べられて、
安心して眠れて、
好きなことができる時間があって、
じーちゃんばーちゃんがいるこの環境は、十分に恵まれているはずなのに…。
それでもまだ、私たちは「足りない」と感じてしまう。