皆さんの職場にもいるだろうか、ちょっと、いや、かなり挙動不審だけど憎めないやつ。
そしてそんなやつがいなくなると、その彼の足跡は"伝説の男"として語り継がれてゆく・・・
「わんさん、おはようございます。」
明らかに俺に挨拶してるくせに、目はあさっての方を見ているそいつの名前はT君といった。その夏、彼は1週間も休みを取り、帰省して今日からまた出勤してきたのだ。
「おお、T君、久しぶり!お母さん元気だったか?」
彼の家は早くに父親を亡くした、母一人子一人の母子家庭だった。
明らかに俺の問いかけを聞いているくせに、何もない廊下に何かを見つけたふりをして彼は俺の脇をすり抜けて行こうとした。
「まてまてまて、こら!」
俺は彼の腕を掴んで引き止め、「なんかあったのか?」と聞きとがめた。
「はあ、まあ、実は・・・」
と、語り始めた彼の話はこうだった。
帰省前、たまたまパチンコで大勝ちしたT君は実家に帰ると、母親に10万円入りの封筒を渡し、
「ちょっとお金が貯まったからこれ、使って」
と言ったそうな。そしたらお母さん涙ぐみながら、
「まあまあ、こんなにやせちゃって、ちゃんとご飯食べてないんでしょ、こんなに要らないからちゃんと栄養のあるもの食べなさい」
って、5万円返してよこしたんだと。ところがT君、元があぶく銭なもんだからこっちに帰ってくる前に、すすき野でソープはしごしてぺロっと使ってしまい、
「昨日から何にも食べてないんですよ、腹減っちゃって・・・」
「・・・・・・・・・・・」( °д°)
「昼までもちますかねえ」
「知るか ボケッ!死んでしまえ!」
つづく