珍しく連続投稿です^^


前回は単犬種レスキューに付いて書きましたが、その活動の中でとても気になるのがペットショップの存在。


多くのアフガン飼育者の方がブリーダーさんから親を見て、飼育環境を見て、ブリーダーさんの人柄を見て犬の譲渡を受けていると思います。

思いますと言うか、みなさんそうであって欲しいと願います。


また、保護に係わっていると、

保護団体=善 : ブリーダー=悪 

という風潮になってくるのですが、それはちょっとちがうのかな?と思います。



保護団体も問題があるところは珍しくないですし、ブリーダーさんにも犬への愛情や飼育環境には大きな差があります。

一概に、保護犬を飼育する人がブリーダーさんから譲渡を受ける人より善人なんて言えないのと同じかな^^


私だってアフガンハウンドや大型ハウンドの飼育経験者(生涯飼育経験者)であるとやはり安心感がありますが、保護犬のアフガンの飼育経験があり環境が整っていて...なんて言っていたらキリがない。

だいたい、レスキュー活動の必要ない社会が理想なわけで、世の中のアフガンの多くが保護犬だったら大問題です。

そんな感覚で単犬種の保護に携わっておりますが、最近非常に気になるのが大型ペットショップの存在。
犬が在庫処分価格になっていたり、期間的なプロモーションで1~3万円なんて異常な価格で売買されているのを目にすると、悲しみを超えて怒りを感じます。


先日もとあるネットサイトでアフガンが1万円だかでセールになっているとの情報がありましたが、そのサイトを見てもその犬は見つからず、24時間で売れてしまったのか?

1万円で購入した人がどんな方なのかはわかりませんが、どうか幸せになっていてくれるようにと願うのみです。

気になっても <可愛そう> という理由だけで全部のアフガンを保護してあげる事はできませんし。



さて、このような形態で売られてる仔犬たちは多くがペットオークションを経由しており、一見健康そうでも寄生虫を体に秘めていて、環境の変化をきっかけに下痢を起こす子は珍しくありません。

環境の悪い繁殖所から来た仔犬が、ペットショップで一緒になった他の仔犬に病気を移し、大型店故の店舗間移動などで被害を広げることも問題の一つです。

ジアルジア、コクシジウムなど仔犬の成長を大きく妨げ時には死亡に至ることもあり、完全駆虫に苦労するタイプのものも珍しくありません。







それぞれがどのような環境で生まれ、何を食べて育ち、親はどのように管理されているかも示されずに販売される仔犬や仔猫。

血統書にしても後から送られてくる事も多いようですが、詳しい血統もわからないで価格が決められるのは、私には理解不能...



そんな問題を抱えるペットショップに定期的に出没するアフガンは当然気になりますが、アフガンだけでなく多くの大型犬がその後どのようになっているのかを考えると不安になります。

大型犬や珍しい犬種は、親犬に触れて、必要な飼育環境も理解して、成犬になってからの体格、性質、リスクを学んでから飼育しなければいけません。

買う方だけでなく、売る側にも求められる絶対条件であるはずです。



問題は、それがわかってはいても売れ残る犬がかわいそうで購入してしまう人間の心情。

私だってそんな気持ちを持つ人間の一人ですので、できる限りペットショップには近づかないようにしています。



また、 <本当に純血種?> という子がペットショップを介して多く世の中に出回ってます。

勘違いをしないでい頂きたいのですが、命の価値や差別の話ではありません。


良く見かける小型犬ではチワワやヨーキー、プードルなどで多く見受けられます。

そのような子はどんなルートを経由して生まれ、ショーウィンドウに並ぶのか?
以前から非常に疑問に思いっていましたが、それぞれの犬種に詳しくない人には、仔犬の時にはわからないので、ペットショップで犬を購入する人は簡単にだまされるでしょう。


後日届く血統書を見たところで、どこのどの段階で他の犬種が混じっているかなんてわかりませんし、成長して違和感を感じたところで普通の愛犬家なら犬を返す事なんてできるわけもありません。


それはもう詐欺ではないかと思いますが、大型ペットショップに並ぶ犬も猫も多くが繁殖屋から仕入られてショーウィンドウに並んでいるので、犬種の専門家のいないショップの犯罪性を証明する事は実に難しいでしょう。

だからこそ、愛犬家の心を持ったペットショップに卸さない、きちんとした小規模ブリーダーの存在意義を私は感じてしまいます。



可愛いだけでなく、かわいそうと感じる人間の感情に付け込んで、このタイプのショップは問題視されながら、継続して増えています。

先ずは一般の人間が、ペットショップからは犬も猫も買わない事が、不幸な犬(*末記)を増やさない事への一番の近道です。




最後に少し、ブリーダーさんにお願いしたい事を書きましょう。


大型犬の場合、どうしてもそれぞれの犬種で優良飼育者の規模には限りがあリます。

どんなに優秀と思われる血統の犬であってもショードッグになる犬はほんの一握り、多くの子は一般の家庭で、家族の一員として飼育される運命にあります。

どんなに美しくても、攻撃性があったり、社会性が低かったり、病気の多い血統の繁殖犬は犬も人も不幸になるだけです。


また、売れ残ったり、障害のある子が生まれても自分で飼育できる環境をつくる事を徹底して頂きたい。
それができていないと思われるブリーダーさんには、血統書が付いて保護した犬であっても情報をお知らせする事はできません。

安ければ買ってもいいかな...感覚の人に、破格で売り逃げなんて事もダメです。

放棄や飼育ネグレクトを受ける犬の多くがこういった安易な譲渡を受けています。



もちろん買う方としても、そういう視点でブリーダーさんを見極める習慣を身につける必要があります。

譲渡する側も、譲渡を受ける側も、販売される犬も保護される犬も <たぶん大丈夫^^> という無責任な感覚が、不幸な命を増やす第一歩になるのです。

良い飼い主が、良いブリーダーのところに集まる流れが大切だと思います。

飼う(買う)側は、尊敬するブリーダーさんを見つけることから始めて、1年待ってでも予約購入するくらいの気持ちで考えて頂きたい。


また、2~3ヶ月じゃないと...なんて月齢ばかり気にする事も無意味です。

犬にとって、社会勉強はとても大切な事を考えると、3~4ヶ月まで親兄弟と一緒に暮らす事は大変貴重な経験となります。



当然保護犬にしてもそれは同じで、預かり宅で人間の優しさ、お散歩の仕方、他の犬との係わり方などを経験しながら保護されることは、経験の少ない里親さんにバトンタッチしてから大きな意味を持つことになります。


トリミングサロンや小さなペットショップなどで、お客様から仔犬を探して欲しいと相談を受ける立ち場の方も、そういう事をしっかり把握して、保護犬を飼育する選択も含めてアドバイスして頂けると有難いです



不幸な犬(*)として問題なのは繁殖に使用される犬たちの存在です。
その件に付いては、また機会を見て書いてみようと思います。


                             by エリー