(前編より続く)


5試合 オープン・ザ・トライアングルゲート選手権試合

曙、○望月成晃、ドン・フジイ(王者組) vs ×アブドーラ・ザ・ブッチャー、NOSAWA論外、MAZADA(挑戦者組)

 タイトルマッチにブッチャーが絡むことに、私は最初から否定的だった。曙とブッチャーの肉弾対決は興味深いが、そこにタイトルを絡ませる必要はない。ブッチャー組が獲ってもそうそう防衛戦はできないから、たぶん獲ることはないだろう、と試合前からタイトルの行方に興味が持てなくなってしまうのだ。

 試合は、早々にブッチャーが流血の大サービス。そしてフォークを使って望月を流血の道連れに。レジェンドマッチとしてはこれでいいのだが、やはり現在進行形のプロレスではない。だいたい、ブッチャーはほとんど動けない。同じ面子でいいからノンタイトル戦にした方が、試合そのものを純粋に楽しめただろう。

 結果は怒りの望月がミドルキック3連発でブッチャーからフォール。勝敗は予想通りだが、ブッチャーがフォール負けを喫するというのは意外だった。


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6試合 オープン・ザ・ツインゲート統一タッグ選手権試合

×CIMAGamma(王者組) vs ○鷹木信悟、サイバー・コング(挑戦者組)

 復活したばかりのサイバー・コングと、このところスランプが続いている鷹木信悟。しかしこの試合ではふたりの苦悩はほとんど感じられず、持ち前のパワーを生かして王者組を追い込み、最後は堂々のタイトル奪取。これでふたりとも完全に吹っ切れたことだろう。

 最近はCIMAがフォール負けする姿も珍しいものではなくなり、昔からドラゲーを観ていた者としては一抹の寂しさも感じる結果だった。


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7試合 オープン・ザ・ドリームゲート選手権試合

×土井成樹 (王者) vs YAMATO(挑戦者)

 30分を超えるロングマッチとなったが、そんな長さを感じさせない好勝負だった。試合は土井が攻め、YAMATOが耐えるという展開が続いたのだが、こういう展開の場合は得てして結果は逆になるものだ。土井の敗因は、余裕を見せすぎたことにあるのではないだろうか。

 試合後YAMATOは、泣きながらマイクアピール。すっかり泣き虫キャラになってしまったようだ。しかし、YAMATOの茨の道は、実はここからが始まりだ。ドリームゲート王者として今後のビッグマッチを常に締めなければならない義務を負った。もはや泣いている場合ではなく、今日くらいはいいとしても、泣くのはこの日を最後にしないといけないだろう。


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 5:00試合開始予定だが、第0試合があるというので30分前の4:30に会場に入った。

 ドラゲー両国大会は、昨年の悪い印象がまだ私の頭の中に残っている。

 その1:わけのわからない国会議員が何度もリングに上がったこと。

 その2:開始予定時間を30分過ぎても説明のアナウンスが一切なかったこと。

 そこで、「まさか今回も遅れるんじゃないだろうな」という不安を抱きながらの早目の入場だったのだが、さすがに昨年あれだけ批判を浴びて懲りたのだろう、今回は遅延はなかった。4:45に、まず第0試合が開始された。

0試合 ○アンソニー・W・森、琴香 vs “ハリウッド”ストーカー市川、×超神龍

 ほぼ毎月後楽園に通っているが、アンソニーの試合を見るのは随分久しぶりのような気がする。しかし、もっともっと久しぶりなのがスト市先生。「まだ試合をやってたの?」というくらいの感じだ。

 しかし、久しぶりであってもスト市はスト市。相変わらずあまり笑えないお笑いプロレスで、会場を凍りつかせる。しかし、初めて観る人にとってはあの風貌だけでインパクト絶大だから、ビッグマッチの第0試合というのは彼に実に適したポジションだろう。

 アンソニーは一時お笑いの方に行っていたが、今日はスト市に付き合う程度でお笑いの要素はほとんど見せず。超神龍から真面目にスリーカウントを奪って、オープニングを締めた。


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1試合 谷嵜なおき、○PAC、橋誠 vs KAGETORA、戸澤陽、×マーク・ハスキンス

 第1試合は予定通り、5:00に開始。どうしてWorld-1に橋が入っているのかといったら、答えはひとつしかない。「人数合わせ」だろう。しかし、橋は他の選手に比べてひときわ体がでかいから、コーナーに控えているだけでも存在感があり、大会場映えしてなかなか良かった。

 しかし、大会場映えといえばなんといってもPACの華麗な空中技。この人ホント、体操競技でオリンピックに出られるんじゃないかと思うくらい素晴らしい。後楽園よりはるかに天井は高いし、リングの周囲も広々としているから、身体能力全開だった。


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2試合 ×横須賀享、K-ness. vs 神田裕之、新井健一郎、○菅原拓也、Kzy

 24のハンディキャップマッチ。試合中はディープドランカーズの反則三昧に怒りをあらわにした八木レフェリーが新井にバックドロップを見舞うなど、あたかも34であるかのような展開もあったが、やはり多勢に無勢。ディープドランカーズは人数が多くてしかも反則をしまくるのだから、2人しかいないクネスカが勝てるわけがない。

 私はてっきり、誰かがクネスカの救出に現れるのではないか、ひょっとして欠場中の斎藤了あたりが…と思っていたのだが、そのサプライズもなし。斎了は負傷が癒えずに間に合わなかったのか、それとも私の下種の勘繰りで元々そんな予定はなかったのか。たぶん後者だろうが、いずれにしろクネスカは相変わらずふたりぼっちだ。引き揚げる際の横須賀はかなりダメージが深い様子で、肩を貸すK-ness.ともども全身から哀愁が漂っていた。


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3試合 オープン・ザ・ブレイブゲート選手権試合3WAYマッチ

(王者)スペル・シーサー vs (挑戦者)堀口元気 vs (挑戦者)澤宗紀

1)○シーサー ×堀口 2)○シーサー ×澤

 このところ絶好調のシーサー。デビュー16年目にして全盛期を迎え、この日も必殺ヨシタニックで堀口、澤を連続フォール。手がつけられないとはこのことで、前王者のK-ness.から託された「永久防衛」に向けてその第一歩を記した。自力でふたり倒したんだから、この試合で2回防衛したことにしてもいいんじゃないかと思う。

 試合が終われば、この3人にはドロドロした因縁抗争はないからさわやかにノーサイド。


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4試合 ○吉野正人、B×Bハルク vs ドラゴン・キッド、×フベントゥ・ゲレーラ

 フービーはマスクとマントという姿で入場し、コーナーポストに上がって観客にアピール。かなりノリノリの様子で、陽気なメキシカン全開だった。試合はこの4人だから当然といえば当然だが、早すぎて目が離せない展開。

 しかし、結末には驚いた。フービーが、吉野のソル・ナシエンテにギブ・アップしたのである。う~ん、メキシコのスーパースターがギブ・アップするとは、なんとも意外だ。


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(後編に続く)

(前編より続く)


4試合 ○望月成晃 vs ×橋誠

 生き別れの兄弟対決。立会人としてなんと、望月の父親がリングに登場した。兄弟ということが本当なら、この人が望月だけでなく橋の父親ということにもなるわけだ。

 試合では、橋がかなり頑張った。望月の蹴りにも耐えて必死に食らいついていく。

 NOHA時代の橋に対する私の印象は、良い時と悪い時の落差が激しい、というか、ほとんど悪い時でごくごくたまに良い時もあるというものだ。やる気はあるのだろうがそれが観客に伝わらず、どうも頑張りが持続しないと思っていた。そして前回のドラゲー後楽園大会でも、私は見ていないのだが、評判は芳しくなかったようだ。そこで望月の温情でこの日のシングルマッチということになったのだろう。橋にとっては今後もドラゲーに呼んでもらえるかどうかの正念場であり、今回はその必死さが空回りせずに良い方に出たといえる。

 ただし、あのブヨブヨの体はいただけない。胸などは、筋肉というよりまさにオッパイで、体を動かすたびにブルブル揺れるのを見るのは気色悪い。今後もドラゲーに上がるなら、もう少し体を絞ってほしい。

 試合後は望月父が、「私にはまったく身に覚えがありません」と隠し子疑惑を完全否定。もちろんこんなこと、誰も信じているわけがない。


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5試合 CIMA、ドラゴン・キッド、○フベントゥ・ゲレーラ vs 谷嵜なおき、PAC、×マーク・ハスキンス

 メキシコからフベントゥ・ゲレーラ、イギリスからPAC、マーク・ハスキンスが参戦という、国際色豊かな6人タッグマッチ。PACの破天荒な空中技は健在で、これにフービーも刺激されたようでノリが良かったし、初見のハスキンスも違和感なく、レベルの高い好勝負となった。

 フービーは試合以外でもノリノリで、すっかりウォリアーズに溶け込んでいて、CIMA、キッドと一緒に「ウ~」までやっていた。フービーは気分屋なので心配もあったが、この分なら両国でのキッドとのタッグは期待できる。

 その両国への引っ張り作戦として、試合後CIMAGammaがツインゲートへの挑戦者を募集。するとそこに現れたのは鷹木信悟。「誰の挑戦でも受けるのなら、俺とこの男の挑戦を受けろ」と呼び込んだのは、サイバーコング。サイバーは恒例のパイナプル潰しを見せてパワーが健在であることをアピール。サイバー復活のお膳立ても整ったのだった。


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6試合 横須賀享、K-ness. vs 神田裕之、新井健一郎

 第1試合後にリアル・ハザードが改名したことを受け、この試合では早くも菊池リングアナはディープ・ドランカーズとコールしていた。対応が早い。

 そのドランカーズが、今最も憎くて仕方がないのが、堀口だけでなくクネスカのふたり。その直接対決であるが、やはり多勢に無勢。ドランカーズは菅原、Kxyが介入し、凶器も使いまくり。それに対してユニットに所属していないクネスカには、セコンドさえいない。K-ness.は手をロープにテープでぐるぐる巻きにされて動けなくされ、孤立した横須賀がいいようになぶりものにされてしまった。

 試合後、調子に乗った新井が両国での42のハンディキャップマッチを提案。いったんK-ness.が拒否するも、なぶりものにされた怒りが冷めやらない横須賀がそれを受託してしまう。ふたりで4人とどう戦うのか、それともクネスカに助っ人が現れるのか、これまた両国へ続く。


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7試合 ○土井成樹、吉野正人、B×Bハルク vs 鷹木信悟、×YAMATO、戸澤陽

 このところドラゲーでは世代闘争が行われ、現在も進行中であるが、新世代軍は一枚岩ではない。それどころがWORLD-1 KAMIKAZEは非常に仲が悪い。そこで新世代軍のイニシアチブ争いということで組まれた試合だ。

 しかし観客の目は、イニシアチブ争いなどはどうでもよく、やはり土井とYAMATOの攻防に向いてしまう。当然本人たちもそれはわかっているはずだし、何より本人たちがそのつもりだろう。ふたりの意気込みを表すように、お互いがすかすことなく真っ向からぶつかり合い、決着は土井がバカタレスライディングキックでYAMATOからピンフォール勝ち。タイトルマッチ前哨戦のタッグマッチで、直接対決で決着がつくというのは珍しく、このふたりの意気込みや良し。

 ただ、結果だけでなく試合中も土井がYAMATO得意のスリーパーを出したりして、土井の方に終始余裕が感じられた。それもそのはず、土井は勝ち名乗りを受けた後、これまで1年以上にわたってビッグマッチのメインを務めてきた実績を強調したのだ。これは世間になんとなく渦巻いているYAMATO待望論に対する牽制でもあって、観客に向かってのアピールでもある。YAMATOに対しては、プレッシャーの追い打ちだ。こうなると、新世代軍内における世代闘争ということになる。 

 それに対するYAMATOは、正直に心情を吐露。「プレッシャーで眠れないときもある」と泣き言を言うくらいだから、この日は最初から完全に負けていたといえる。しかし、「こんなところで潰れてたまるか」と雄々しく立ち上がることも忘れない。

 もちろんこうでなくてはいけないわけで、両国への引きとしてこの試合結果も興味深いものだった。


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 なんだかんだ言って、この日は全体を通して両国大会の予告編だった。しかし、かなり充実した予告編だったので、これも良しだろう。

 客席に空席が目に付いたのは、B’zに客をとられたからなのか、それとも両国があるから月に2回もドラゲーを見られないというファンがいたからなのか?

 水道橋駅を出て東京ドームシティの敷地内に入ると、長蛇の列ができていた。ドラゲー人気もここまで来たかと驚きながら後楽園ホール前に行くと、行列は後楽園ホールではなく東京ドームから伸びているのだった。

 B’zのライブが行われるのである。しかも何らかのトラブルがあったらしく、開場が遅れているが故の行列なのだった。

 後楽園ホールではトラブルはなく、時間通りに始まった。オープニングは、ウォリアーズ劇場。CIMAGamma、ドラゴン・キッド、そして新加入の堀口元気が登場し、東京のファンへの堀口のお披露目会となった。

 メインMCはもちろんCIMAであるが、なんと相方をドラゴン・キッドが務めた。CIMAのリードによるものか、あるいは場数を踏んだからか、キッドのマイクも結構サマになってきてハラハラすることがなくなったのは素晴らしい。

 そんなふたりから紹介され、「堀口なんか」「堀口ごとき」と散々な言われ方をされながらも、快くユニットに参加した堀口に、ファンから大歓声が浴びせられた。もともと堀口という選手は地味ながらも好感度の高かった選手で、今回のベビーターンをファンは「待ってました」という感じで迎えたのだった。


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 しかし、これを快く思わないのが、裏切られた形のリアル・ハザードの面々。堀口の初音頭による「ウ~」が行われようというまさにその瞬間、新井、神田、菅原、Kzyが現れ、菅原と堀口が舌戦。その混乱のまま、いきなり第一試合のゴングが鳴った。

1試合 ×堀口元気 vs ○菅原拓也

 実はこの試合は、この日の第3試合に特別試合としてラインナップされていたものだ。しかしオープニングからの流れのまま、お互いの「今すぐやろうぜ」という発言もあって急遽試合順が変更になったのだ。

 もちろん試合がまともに行われるわけがなく、リアル・ハザードが介入しまくり。ウォリアーズも介入を試みるが、Gammaの竹刀攻撃が堀口に誤爆するなどして、やはり乱戦ではリアル・ハザードに分がある。久々のHAGEコールが何度も何度も後楽園ホールに鳴り響く中、菅原の十三不塔でピン。

 すっきりしない結末ではあるが、リアル・ハザードの試合はこれが当たり前であって、会場がかなり温まった。しかも試合後にはKzyがハサミを持ち出し、堀口の後頭部の辮髪をためらいもなくスパッとちょん切るという暴挙に及び、会場全体がますますヒートする。哀れ堀口は、これでもう本当に失うものがなくなったのである。かろうじて後頭部に残っていた貴重な髪が…

 なお、リアル・ハザードが改名を宣言。新しいユニット名は“ディープ・ドランカーズ”。これまで酔っ払いキャラは新井だけだったが、今後は全員が酔っ払いになるようだ。もっともその後に現れたK-ness.が、「酒の弱い奴らが何言ってんだか。ドラゲーで一番酒が強いのは俺だ」と豪語していた。


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2試合 ×ドン・フジイ、Gamma vs ○NOSAWA論外、MAZADA

 第3試合が第1試合に繰り上がったため、本来予定されていた第1試合が第2試合に繰り下がった。何気に役者が揃っている好カードである。

 ところが意外なことに、というかフジイが入っているから意外でもないが、お笑いマッチとなったのだった。しかし東京愚連隊のふたりはさすがに世界を股にかけて泥水を啜って生き抜いてきた選手、どんな試合にも対応できるし、これはこれでかなり楽しめた。場外乱闘でフジイが椅子を手にすると、論外は最前列にいた観客の女性を盾にするという暴挙に出て、「論外、サイテー」の黄色い非難を浴びていた。論外とGammaの、武藤ムーブのシャイニング・ウイザード物真似合戦もあったりして、かなり笑えた。

 もっとも、お笑いの中に確かな攻防もあり、ちゃんとプロレスの試合としても成り立っていたところがさすがである。ラストはフジイのラ・マヒストラルを切り返した論外の超高校級ラ・マヒストラルでピン。

 両軍の間に遺恨はなく、むしろ今はベテラン軍というゆる~い仲間であるから、試合後は握手をして健闘を称え合った。と思いきや、愚連隊が裏切ってフジイとGammaに蹴りを見舞うなど、最後まで“らしさ”を貫いていた。


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3試合 ○スペル・シーサー vs ×KAGETORA

 苦節16年、ようやくブレイブゲートチャンピオンとなったシーサーが、やはりようやくKAMIKAZEという安住の地を見つけたKAGETORAとシングルマッチ。お互い、精神的なモヤモヤを振り払って吹っ切れた好勝負が展開されるのかと思われたが、なんと試合開始早々にサプライズが。

 コスチューム姿、つまりほとんど裸の澤宗紀が、客席をウロウロしているのである。どうやらチケットを買って入場したらしく、日高郁人とふたりで南側の客席で自分の席を探しているのだ(ちなみに日高は私服)。こうなると観客は試合に集中できず、視線は澤の方に向いてしまう。ZERO-1のリングでシーサーと澤の間に因縁が生まれているらしいから、いつか乱入するのではないかという目で見てしまう。

 ところが澤は、変態を自称しながらも紳士的でもあるので試合への介入はせず。試合は無事に行われ、切り返しの攻防の末にシーサーが勝利すると、試合後はKAGETORAも素直に握手に応じた。

 そしてここでようやく、シーサーに促されて澤がリングに登場である。それも喧嘩腰ではなく、実に平和的でのどかなもの。シーサーから「コスチューム姿で何をしに来た」と問われて、「両国でタイトルマッチと言われたから来たけど、ここは両国じゃないの?」

 あまりにも見え見えの両国大会引っ張り作戦であるが、澤のおとぼけに観客は呆れながらも付き合うしかない。シーサーは澤の誤解を解きながら、3.22両国でのタイトルマッチを正式に承諾。するとそこに堀口が現れ、失うものが何もなくなった俺にも挑戦させろと、わけのわからない強要。なんだかんだで、両国のブレイブゲート選手権は、シーサーvs vs堀口の3WAYマッチと決まったのだった。


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(後編に続く)

(前編より続く)


5試合

3WAYマッチ:土井成樹 vs 鷹木信悟 vs 菅原拓也

1本目 ○土井×鷹木  2本目 ○菅原×土井

 最近の鷹木の低迷ぶりが気になる。シングルでは菅原や望月に敗れ、タッグ王座を失い、この日の3WAYでも真っ先に退場。スランプといっていいような状態に陥っている。

 一方、菅原は絶好調。リアル・ハザード勢の助けを借りてのこととはいえ、最後は土井から十三不倒で3カウントを奪って勝ち名乗り。試合後マイクを握って、これでドリームゲート王座挑戦資格ができただろうと、土井に挑戦表明。パウダー攻撃をモロに受けて真っ白な顔をした土井がこれを受託。しかし、この段階では日時は発表されず。

 普通に考えれば2月の後楽園か3月の両国であり、いつもなら次に引っ張るために日時も併せて発表する。それがなかったので「おや?」と思ったが、なぜ決められなかったのかはメイン終了後に明らかとなるのだった。


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6試合

×CIMA vs ○YAMATO

 週プロのインタビューによれば、YAMATOはダシの効いたプロレスがしたいのだと言う。味噌汁が薄いからといって味噌を追加するのではなく、ちゃんとダシを入れれば少量の味噌でもうまい味噌汁ができる。プロレスも同じで、大技を連発しなくても基本的な攻防をしっかりした上で大技を出せば、一発でも効果的であり見栄えがするはずだと。

 これは実は、ベテラン軍の主張に通じることだ。ベテラン軍は新世代に対して「お前たちには闘いがない」と糾弾した。大技を連続してきれいに決めるスポーツライクなプロレスに苦言を呈したわけだが、新世代軍に属するYAMATOも同じことを言っているのである。世代闘争をイデオロギー闘争と捉えれば、実はYAMATOはベテラン軍側であり、おそらく鷹木もそちらに近い。

 そんなYAMATOCIMAの一騎打ちなのだから、この試合には確実に「闘い」があった。そしてYAMATOが勝利する。試合内容にはCIMAも納得がいったようで、試合後には完敗宣言をしたほどである。YAMATOにだったら、後を託せると思ったのかもしれない。

 ふたりとも口を揃えて「なんでお前のことが嫌いだったのか、忘れちまったよ」と言うくらいだから、因縁は完全に解消されたようで、今後は共闘もあるかもしれない。

 ここからはYAMATO中心に劇場が展開される。まずはYAMATOが土井に挑戦表明。土井が登場して受託。菅原が登場して、おいおい、挑戦するのは俺のはずだと文句を付ける。すると土井は、「2月の後楽園で挑戦者決定戦、3月の両国で勝った方とタイトルマッチ」と提案し、八木本部長が正式決定。こうしてセミとメインの結果がひとつに合流したのだった。

 締めのマイクはYAMATOCIMAのセコンドについていたベテラン軍、特に望月が「大丈夫かな」と心配そうな表情で見ていたのが印象的だった。プロレスの実力だけでなく、しゃべりの実力も磨かなければ、ベテラン軍は安心して後を託せないのだ。

 この日のYAMATOは……悪くはなかったが、まあまあといったところかな。


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1試合

アンソニー・W・森、谷嵜なおき、×シーサーBOY vs 新井健一郎、神田裕之、○Kzy

 この日は珍しくオープニング劇場がなく、いきなり第1試合がスタート。

 いかにも人数合わせ的な6人タッグマッチであるが、私はシーサーBOYに注目した。というのも、12月の後楽園大会でGammaから試合中にリンチともいえる制裁を受け、「プロレスラーを辞めろ」とまで罵声を浴びせられていたからだ。実際私もあれを見たときには、もうシーサーBOYというキャラクターは死んだと思い、マスクを脱いでキャラチェンジするか本当に辞める以外に彼の道はないと思ったものだ。

 だからこの日、私の中で確実に死んだはずのシーサーBOYというプロレスラーが、普通に試合が組まれていたことに少し驚いた。そしてさらに驚いたのは、普通に試合をして、普通に負けたことだ。

 何も変わっていない。12月のあの試合は、ドラゲー内では「なかったこと」になっているのだろうか。
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2試合

戸澤陽、×超神龍 vs KAGETORA、○忍

 忍が久々にドラゲー後楽園大会に登場。かつては戸澤塾の転校生としてボンタンを穿いていたが、今回は本領発揮のケツのはみ出しそうなビキニパンツ姿。色気を振りまきながらセックス・ボンバーで超神龍を仕留めた。

 見所は試合後の戸澤とKAGETORAの掛け合い。一カ月前から続いている「KAGETORAさん、元気ないですよ!」という戸澤の檄が、この日も炸裂。これに対してKAGEは、この日は素直に「正直言って、どうしたらいいか悩んでいるんだよ」と心情を吐露したのだった。リング上が、戦いの場から一転してお悩み相談室に変わってしまったのだ。そしてそれに対する戸澤相談員の回答は、「自分で考えろぉぉぉ!!!!」という大絶叫。悩み多きKAGETORA、いまだ出口が見えない。
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3試合

○吉野正人、B×Bハルク vs ×Gamma、ドラゴン・キッド

 ウォリアーズに加入した新生ドラゴン・キッド。Gammaとキッドが同じコーナーで並んでいる姿というのは、なかなか新鮮な光景だ。ふたりともベテランなだけに、初めてでもコンビネーションには問題が……大アリであって、なんともギクシャクしている。Gamma得意の汚水攻撃はキッドに誤爆するし。キッドはマスクをしている分、汚水が顔に直接かかるわけではないから汚さが軽減されると思ったが、よく考えてみれば、マスクの間から汚水が入り込んだりしたら顔を拭くことができず、汚水を顔に張り付けたまま試合をしなければならないため、かえって可哀そうなのだった。

 一方、坊主頭になったことでこちらも新生の吉野。しかし坊主は意外と似合っていて、たいした違和感はない。入場時や、その後のセコンド時もフード付きのパーカーをずっと被っていたことから、どうやら本人的には気にしているようなのだが、むしろ高校球児のような清々しさもあって、これはこれでいいではないか。

 そういえば、キッド、吉野、ハルクときたら、福岡で金網に入ったベビー3人衆だが、その因縁を引きずるような場面はまったく見られなかった。吉野が坊主になったことで、あれもすべて終わったこと、過去のこととなったようだ。
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4試合

望月成晃、ドン・フジイ、○スペル・シーサー vs ×堀口元気、横須賀享、K-ness.

 これまた人数合わせ的な6人タッグマッチ。もっともこれはいたしかたないことであって、この日はセミが3人、メインが2人しか出ないから、その前に大勢の選手を出さざるを得ないのだ。

 リアル・ハザードの側は、ヒールでありながらも凶器を使わない正統派一派。ヒールなのに正統派というのもおかしな表現だが、中でも堀口は、相手と握手したりして、着々とベビーターンの雰囲気作りをしている。

 ところが試合では、その堀口がヒドい目に遭っていた。辮髪を掴まれまくり、引っ張られまくり、引きずりまわされ、とうとう女性ファンから「モッチー、やめてぇ~」という悲鳴が上がるほどだった。髪を引っ張られるという行為は、女性に限らず男にも痛みが伝わってくるものである。これぞ、痛みの伝わるプロレス。
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(後編に続く)

(前編より続く)

6試合 ○真壁刀義vs×モハメド ヨネ

 休憩開け、新日とNOAHの対抗戦第一弾。試合前から対抗戦の緊張感が充満し始め、期待が高まる。まずはラフファイター同士の一戦だ。

 ヨネはさすがに襲撃王を自称するだけあって、真壁の入場時に花道で急襲。そこから乱戦になだれ込み、パンチとキック、ラリアットの応酬。しかし、なんというかあまり迫力が感じられず、期待感が萎んでいく。それでもまだここから何かあるかと期待したが、最後の決着もなんともあっけなく5分ほどで終了。真壁はこの後NOAHのタッグリーグ戦に出場するから、ここで負けさせるわけにはいかないか、などと裏を読みたがる自分が嫌いなので、結果は仮に同じとしても試合展開でそんな素人の浅知恵を打ち砕くことを期待したのだが…


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7試合 IWGPジュニアヘビー級選手権試合

×タイガーマスクvs○丸藤正道

 年末のスーパーJカップで丸藤が優勝したことで、はからずもこの試合も新日とNOAHの対抗戦となった。大歓迎だ。このふたりの間にはドロドロした因縁めいたものはないから、試合からは対抗戦らしい殺伐さは感じられなかったが、こういった技と技を競い合うスポーツライクなプロレスの試合が対抗戦の中に混じっていてもまったく問題ない。

 そして、久々にタイガーマスクの良い試合を見たという感じ。昨年のミスティコとの抗争はどうも噛み合っていない感じがして面白くなかったのだが、今日は文句なしの好勝負。それはもちろん、丸藤によるところが大きい。

 丸藤の天才性は、変則的な動きを繰り出すことにあるのではない。変則的な動きを繰り出しながらも、試合の流れを途絶えさせないところにある。普通は、相手が変わった動きをすると、受ける側は戸惑って流れが途絶えてしまうのだが、丸藤の場合はそのギリギリのところにあるから、相手も対応できる。そして観客は見たことのない動きに驚く。このさじ加減は、天性のものと言わざるを得ないだろう。丸藤がIWGPジュニアを獲ったことで、このタイトルをめぐる今後の丸藤vs新日ジュニアの闘いが興味深い。


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8試合 ○棚橋弘至vs×潮崎豪

 団体のエース対決と銘打たれた試合。お互いチャンピオンでないのにエースと呼ばれるのも奇妙な話だが、ふたりともそう呼ばれて違和感がないのも事実。棚橋は当然としても、潮崎の昨年一年間の躍進ぶりは目覚ましく、大会場でも十分見栄えがするだけの貫録が十分ついていることに驚いた。

 試合では、潮崎のチョップへのこだわりが目を引いた。逆水平の連打で棚橋の胸は真っ赤になっていたし、袈裟切りチョップも実に痛そうで説得力十分。お互いルックスも良く、飛べるヘビー級という共通点もあり、これからも見たいと思わせられたが、あまり頻繁に行うのは良くないだろう。潮崎としてはすぐにリベンジしたいところだろうが、それには反対。大事に寝かせておいて、何年かに一回、節目となるようなところで対戦を組んでいくのがいいのではないか。


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9試合 GHCヘビー級選手権試合

○杉浦貴vs×後藤洋央紀

 ゴツゴツしたぶつかり合いは期待通りだったが、後藤のエプロンでのダイヤモンドカッターを見たとき、私の気持ちは急速に萎んでいった。

 私は奈落式と呼ばれる攻撃が大嫌いで、雪崩式はリング内に落とすものだから良いが、エプロンや場外に頭から落とす攻撃は危険すぎる。そのときのダメージ以上に、将来必ず後遺症が出てくるだろうと心配になるのだ。

 実際、このダイヤモンドカッターによる杉浦のダメージは大きく、リングアウトになってもおかしくなかったほど。そこから杉浦は確実に動きが悪くなり、最後は良く盛り返したといえるが、後味の悪さは拭えなかった。このふたりなら、リング内の攻防だけで十分に観客を興奮させられるのに、もったいない気がした。


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10試合 IWGPヘビー級選手権試合

○中邑真輔vs×高山善廣

 6年ぶりのシングル対決は、チャンピオンの中邑が指名したことで決まった試合。試合前の煽り映像で流れた「俺のことを上から拳骨で殴ってくれたのは高山選手だけ。感謝している」という言葉は素直なもので、この試合でも序盤は存分に殴られ、蹴られ、そして膝をくらいまくった。

 自分がどれだけ打たれ強くなったのかを高山に見せつけようとしていたようだが、もちろん高山とて手加減はしないから、そんなにくらって大丈夫なのかと心配になったほど。しかし私の予想を超えて中邑は強くなっており、高山の予想をも超えていたようだ。中盤からは中邑も盛り返して壮絶な打撃戦を展開し、とうとうグーパンチの殴り合いにまで発展。そして終盤、一撃必殺のはずのボマイエを連発して中邑が勝利。プロレスの原点のような試合を堪能した。

 この結果には高山も納得のようで、試合後には中邑の手を挙げたほど。高山はさすがにプロレス界の帝王と言われているだけあって、プロレス界全体を見渡し、プロレスの将来を考えている。団体の枠を超え、この中邑や全日の諏訪魔など、見所のある若い選手に自分流のやり方で帝王学を伝えて未来を託そうとしているようだ。体だけでなく、なんと懐の深い男なのかと感心する。そしてその高山の期待にも中邑は応えたということだから、この日の興行は大ハッピーエンドだ。

 ちなみに試合後、中西がリングに上がって中邑に挑戦表明。やや唐突な感じもしたが、中西も今日のカード編成には不満があっただろうし、こうして各人がどんどんアピールしていけば、今年の新日は面白くなる。


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1試合 SS・マシン、○井上亘、平澤光秀 vs 獣神サンダー・ライガー、金本浩二、×岡田かずちか

 他団体選手が大勢参戦するビッグマッチの場合、新日のような大団体はどうしても所属選手があぶれてしまうため、人数合わせ的な6人タッグ、または8人タッグが1試合は組まれるものである。これまでのドーム大会や両国大会などでは、必ずと言って良いほどそういう試合があったものだ。

 ところがこの日は、そういう試合が見当たらない。強いて挙げればこの第1試合がそういう位置付けになるのだろうが、ところがどっこい、片や青義軍なのである。この試合にもちゃんと意味があるのだ。普通なら井上はカードからあぶれてもおかしくないし、平澤に至ってはあぶれる方が自然だ。

 ところが、彼らが青義軍に加入したことによって、堂々のオープニングマッチ出場を果たした。しかも井上に至っては、2010年の新日本プロレス全選手の中で白星一番乗りだ。軍団結成の甲斐があったというもので、中邑からネタだと馬鹿にされながらも、青義軍のまだ勢いは続いているということだろう。

 しかし、試合中一番目立っていたのがスーパー・ストロング・マシンだったという事実はいただけない。この6人の中ではひときわ体が大きいから大会場栄えして当然ということもあるし、久々の表舞台で張り切っているということもある。しかし、井上や平澤にはマシンの存在感を食うくらいの活躍を見せてほしかった。マシン本人もバックアップ役と自覚しているのだから、それを望んでいるはずだ。

 試合後はバックステージで、いつものように青義軍劇場が繰り広げられたことだろう。私はそれが見たかったのだが、考えてみれば会場に来ている観客はそれが見られないわけで、ちょっとした盲点だった。ひょっとしてスクリーンに映し出されるかと期待したが、それもなし。テレビや雑誌で見る分には青義軍劇場は面白いのだが、ライブの観客が一番の見所が見られないというのはやはり問題だ。

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2試合 IWGP Jr.タッグ選手権

○田口隆祐、プリンス・デヴィットvsウルティモ・ゲレーロ、×アベルノ

 数合わせ的試合といったら、タイトルマッチでありながら、この試合がそうだったのかと思ってしまう。そのくらい、ウルティモ・ゲレーロとアベルノにタイトル挑戦の必然性が感じられず、実際の試合を見てもその感は最後まで拭えなかった。要するに彼らにまったく思い入れが持てないので、タイトルが流出するのかどうかという興味が少しも湧いてこない。挑戦者チームは、この日欠場の邪道、外道の方が、はるかに良かった。


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3試合 IWGPタッグ選手権試合 3WAYハードコアマッチルール

ブラザー・レイ&ブラザー・ディーボンvs○裕次郎&内藤哲也vsジャイアント・バーナード&×カール・アンダーソン

 結果は裕次郎、内藤組がIWGPタッグを獲得して「一発で獲る」という有言実行を果たしたわけだが、内容的にはまったく不満である。どう考えても彼らが獲るならアンダーソンからしかないと思っていたが、その通りになったのでは、あの大口はなんだったのかとなってしまう。自分たちよりはるかにデカイ相手から獲ってこそ意味があるのに、これではまったく評価できない。試合は3Dとバーナードによる巨大外国人の肉弾戦と凶器の乱舞であり、その迫力は楽しめたが、裕次郎、内藤はそのドサクサ紛れにタイトルをかすめ取っただけという感じ。

 彼らには、こういうこズルいだけのキャラにはなってほしくない。チーム3Dとは、真っ向からの一騎打ち(二騎打ち?)を望む。そこでこズルく動き回って相手を撹乱して翻弄しまくるのなら良いが、3WAYという形式でのドサクサ紛れの戴冠ではつまらない。


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4試合 ×永田裕志、曙vs田中将斗、○TAJIRI

 永田と田中の攻防は見所十分で、昨年のふたりの抗争は名勝負に昇華されていたが、それがまたここで再現された形。それはいいのだが、問題はTAJIRI。棚橋の次のオモチャとして永田に狙いを付けたそうだが、いかにもTAJIRIを新日に上げるためにとってつけたような理由に感じられる。TAJIRI本人はそのストーリーに納得がいっているのだろうか。TAJIRIが一流のタレントであることは間違いないから、試合前からそれなりに盛り上げようとはしていたが、どうもしっくりいっていないような気がする。また永田も、かつてドーム大会で鈴木みのるや村上和成と試合をしたりして、与えられた役どころをきっちりこなす男だが、相手がTAJIRIではどうも違和感を覚える。永田はもはや、こういう異能派と戦ってレスラーとしての幅を広げる必要もないだろう。中邑とはまた別のストロングスタイルの体現者としていってほしいもので、TAJIRIとの抗争はミスマッチとしか思えない。


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5試合 テリー・ファンク、長州力、蝶野正洋、○中西学vsアブドーラ・ザ・ブッチャー、矢野通、×飯塚高史、石井智宏

 レジェンドは入場だけで盛り上がる。場内にパワーホールが鳴り響いただけで場内に大歓声が湧き上がる。その歓声の中、まずは長州が登場。続いて中西だが、ここで歓声はトーンダウン。そして蝶野でまた大盛り上がり。観客は正直である。そもそもなぜここに中西が入っているのか、まさに人数合わせ以外の何物でもない。

 3人が花道に揃ったところで、スピニング・トーホールドのメロディーに乗ってテリー・ファンクが入場。いよいよ、と言いたいところだが、観客の反応は……微妙だった。長州の存在は、小力の影響もあって若いファンも知っているだろうが、テリーとなると、はたしてどれだけの観客が知っているのか。待ち焦がれていた人もいることはいるだろうが、それは観客の中の何%くらいなのか、マジでアンケートを取ってみたい。

 ヒール軍はさすがにひとりずつではなく、ブッチャーのテーマに乗って4人が揃って入場。

 試合は当然、テリーとブッチャーの数十年間に渡る因縁抗争劇が見所となるが、結末はちょっと捻った展開が用意されていた。ブッチャーと飯塚が仲間割れし、テリーと手を組んで飯塚を攻撃するというサプライズだ。これは飯塚は、かなりおいしい役どころを持っていったのではないか。
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(後篇に続く)

(前編より続く)

4試合 ○CIMAGamma vs YAMATO、×シーサーBOY

 事前にカードを見たとき、なぜYAMATOとシーサーBOYが組むのか不思議だったのだが、その疑問はファンだけでなく本人たちのものでもあったらしい。試合前からふたりの間には不穏な空気が流れており、試合が始まってからもどちらが先に出るかでもめている。

 そして結局BOYが先発したのだが、その後は凄惨なBOY制裁マッチが展開されたのだった。特にGammaが容赦なくBOYを徹底的に痛めつけ、それは肉体に対してだけでなく、精神に対しても行われた。攻撃しながら「それでもプロレスラーか」と嘲り、あげくに試合中にマイクを持って「こんな弱い奴とはやってられない。そうでしょ」と、観客にまで同意を求めたのだ。CIMAGamma組のセコンドには望月、フジイ、スペル・シーサーのベテラン軍がついていたが、彼らは兄貴分のスペル・シーサーにまで「こんな奴、なんとかしろ」と迫り、とうとう代わってやれとまで言う始末。Gammaはシーサーに「サイトーさん」と呼び掛けるくらいだから、いかにマジであったかがわかる。困ったシーサーはTシャツを脱ぎ、本当に代わろうとするが、ここまでの屈辱を受けたらBOYも黙ってはいられない。その後必死に反撃するが、実力差はいかんともしがたい。この日のGammaの攻撃は“愛の鞭”などという生易しいものではなく、本気で潰しにかかっていた。

 観客も戸惑っていたようだ。人によって濃度差があるだろうが、屈辱から雄々しく立ち上がるBOYを見たいという気持ちと、本当に辞めた方がいいのではないかという気持ちが混在している。アングルなのかマジなのか判断がつかない不思議な雰囲気。

 ベテラン軍の主張は、プロレスはスポーツライクなものではなく、根底に闘いがないといけないというものだった。それが土井や鷹木などよりさらに下の世代にはまったくないと判断し、そのはがゆさがBOYに対して爆発したようなのだ。

 プロレスラー失格の烙印を押されたBOYとしては、もはやシーサーBOYとしゃちほこマシーンを使い分けてちんたらやっている場合ではなく、マスクを脱いで一からやり直すか、引退するか、二者択一を迫られたといえる。

 試合後は当然、CIMA YAMATOのマイク合戦。それが高じて、120日の後楽園大会での両者のシングルマッチが決定した。相変わらず次回大会へ引っ張ってくれる。


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5試合 ×鷹木信悟 vs ○菅原拓也(フリー)

 注目の試合ではあったが、勝敗への興味はほとんどなし。というのも、菅原は2日後の福岡で土井とのシングルマッチが決まっているから、ここで負けるわけがないと誰もが読んでしまう。案の定、十三不塔2連発で菅原の勝利。その前に急所攻撃があったとはいえ、意外とあっさり決着がついた印象。試合後の菅原の「前チャンピオンがこの程度なら、現チャンピオンもたいしたことないな」というセリフに応えて、土井が登場して舌戦。あまりにも読めすぎる展開だった。

 鷹木と菅原の試合を、一連の流れの中の単なる経過試合と位置付けるのはもったいない気もするが。

 また、菅原のコンディションも気になった。動きは悪くはないのだが、シャツの下から見える腹がブヨブヨしているし、スタミナ不足も感じられた。スタミナ面は土井からも指摘されていたことだ。団体に守られている奴とは違う、俺は外に出て腕一本で生き残ってきたという彼の主張はうなずけるが、ドラゲー勢と比べて明らかに試合数は少ないし、そもそもちゃんとトレーニングする場所はあるのだろうか。


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6試合 ドラゴン・キッド、×吉野正人、B×Bハルク vs ○K-ness.、横須賀享、MAZADA(東京愚連隊)

 この試合もまた、2日後へ向けての経過試合ではあるが、第5試合とは大きく意味が異なる。福岡ではこの6人が金網の中に入り、負け残ったひとりがマスクを脱ぐか髪の毛を切る。キッドとしては吉野、ハルクとなんとか共闘して、リアル・ハザードの誰かを残したいところ。しかし、KAMIKAZEのキッドに対して、World-1の吉野とハルクが協力するのか。それを確かめるためにこの試合が組まれたのだ。

 そして結果は、キッドにとって最悪なものとなった。吉野が押さえたK-ness.に対し、キッドがプロテインパウダー攻撃を見舞うが、K-ness.がかわしたために吉野に誤爆。さらに試合後吉野から責められると、「ちゃんと押さえていない方が悪い」と言わない方がいいことを言ってしまい、吉野、ハルクのさらなる怒りをかってしまったのだ。これによってキッドの完全孤立が決定。闘龍門設立からこれまで、確実に団体の一翼を支えてきたはずのドラゴン・キッドというキャラクターは、あと2日の命か?

 リアル・ハザード勢が残っているところに、望月、フジイが現れ、K-ness.に対して「張り切りすぎてまた体壊すなよ」と嘲るように忠告。これに対してK-ness.は、「怪我は治るけど、お前らの年は若返らない」と絶妙の切り返し。この辺がセンスであって、K-ness.は卓越している。

 ということで、締めのマイクはK-ness.が担った。何年振りかに、K-ness.がドラゲーの主役に一気に踊り出たのだった。


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0試合 ○超神龍 vs ×琴香

 前回、今回と、第0試合が組まれた後楽園大会。この日は超神龍“試練の50番勝負第30戦”と銘打たれていた。

 しかし試練といっても、琴香は後輩ではないか。後輩相手のシングルマッチで試練も何もないと思うのだが、これには理由があるのだった。琴香のところにはもともとはスペル・シーサーが入っていたのであり、それが斎藤了の負傷欠場によってカードが大幅に組み替えられたのだ。

 しかしまさか、斎了負傷の影響が自身の50番勝負にまで及ぶとは、超神龍もビックリだろう。しかしそのおかげで、超神龍は貴重な1勝をあげることができたのだった。

 もっともこれで何勝何敗になったのか、実は本人ですらカウントしていないのではないだろうか。私などは毎月のように後楽園ホールに通っているにもかかわらず、50番勝負がいまだに継続していることすら知らなかった。


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1試合 望月成晃、○ドン・フジイ、スペル・シーサー vs 堀口元気、×新井健一郎、NOSAWA論外(東京愚連隊)

 正式な第1試合、そして試合前のオープニング劇場はリアル・ハザードで始まった。まずは新メンバーである横須賀享がマイクを握り、後楽園のファンにヒール転向を正式に報告。

 このマイクがまた横須賀らしいというかなんというか、ヒールになったからといって「おらっ! てめえら!」といった調子ではなく、「いろいろありまして僕もこういうことになりました」と実に丁寧に、まさに“報告のご挨拶”をしたのだ。さらには「僕のマイクではこれ以上もちませんので」と、早々にマイクを、横須賀以上に新しいメンバーであるK-ness.に渡すのだからなんとも奥床しい。

 K-ness.のマイクは以前から定評があり、手慣れた調子でこれからリアル・ハザードが何をやっていくかをアピール。ベテラン軍と新世代軍の狭間の第2世代軍として、上も下も倒してドラゲーを牛耳ると高らかに宣言したのだ。

 確かにKzy以外のリアル・ハザードのメンバーは、現在行われている世代闘争の狭間世代であり、これでユニット闘争とは別の形での3軍対抗という図式が完成した。それにしてもリアル・ハザード、横須賀とK-ness.の加入によってかなり強力な布陣となった。試合中のセコンド陣を見ても、いかにも悪そうな奴らがズラリとそろっている様は壮観だ。

 試合では望月と堀口の絡みが目を引いた。望月が容赦のない蹴りを堀口に叩き込み、堀口は青の毒霧で対抗。哀れ望月は、真っ青な顔になってしまった。しかしその望月の見た目以上に、堀口の肉体はかなりのダメージを受けていたように見えた。


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2試合 ○戸澤陽 vs ×KAGETORA

 戸澤の絶叫キャラは相変わらずだが、この日の口撃はKAGETORAへの叱咤激励に終始した。試合中に「KAGETORAさん、元気ないですよ、何やってるんですか」と言い続けなのである。試合中にこれだけ喋りまくるのはかなり体力を消耗するだろうと、見ているこちらが心配になる。

 しかしそれ以上に、KAGETORAは元気がないのだ。ようやく見つけたウォリアーズ5という理想郷がほとんど崩壊の危機にあり、世代闘争の流れの中で自身は完全孤立。結成当時にあんなに嬉しそうにいきいき躍動していた面影はみじんもない。人間関係の無情さを感じさせる哀れな姿だった。

 その結果、試合は戸澤がジャーマンで完全勝利。ただ敗れたKAGETORAも、試合後のマイクで含みを持たせた。戸澤から1月に新木場で行われるバトル・オブ・トーキョーでの対戦を迫られると、「俺は俺で考えていることがある。お前の対戦相手にはKEN45°を連れてくる」と言うのだ。ということは、KAGETORAに率いられて闘龍門X勢がドラゲー殴りこみか? 新世代群の中でも鷹木以下の世代と闘龍門X勢の絡みはマジで刺激的だ。とりあえずKAGETORAも、まだストーリーの一環を担わせてもらっているようだ。

 ちなみにこの試合、外国人レフェリーが裁いていた。日本語のマイク合戦はまったく理解できなかったのではないかと思われる。関係ないが、たまたま私の横の席も後ろの席も外国人だった。最近はほとんどの試合前後にマイクが使われるが、彼らはどこまで理解しているのだろう。


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3試合 土井成樹、×谷嵜なおき vs 神田裕之、○Kzy

 この試合はタッグマッチとはいえ、基本的には谷嵜とKzyの私闘であり、試合が決着してからも2人は延々とやりあい、もつれあいながらそのまま場外からどこかに消えてしまった。神田はさっさと引き揚げるし、ひとりリングに残った土井は困ったように両手を軽く広げて肩をすくめ、「まいったね」という感じで頭をかきながら四方に軽く会釈して退場。

 今日は土井にとっては休息日だったようだが、試合ではひどい目に合う場面も見られた。なんとKzyから、ブラザーYASSYの得意技、“玉砕”をくらってしまったのだ。しかも2度も。Kzyから股間をむんずと掴まれ、悶絶したのだった。

 ちなみに谷嵜とKzyはその後も客のいないところで乱闘を続けていたようで、第4試合後の休憩時間にはロビーにまで繰り出して殴りあっていた。ホントにそれまで延々と殴りあっていたのかは、にわかに信じがたい。


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(後篇に続く)