IPOは公募価格と初値の動向だけを比較していても分析が充分
とは言えません。上場後の値動きをチェックする事により、
次に上場する銘柄でのセカンダリーの動きがある程度読めます。

トレーダーズのサイトではこんなレポートが出ています。
「 足元のIPOは再び空白期間となっているが、今週から12月上場予定銘柄が次々ブックビルディング期間に入り始めた。12月予定9社のうち、今週は4社がブックに入った。しかしここのところ小康状態を保ってきた全体相場は下落方向にかじを切り始めた。11月のIPOはブック期間中に日経平均が大きく動く日が続き、連続公募割れへの素地(そじ)を作っただけに警戒要因である。

 ただそれ以前に、11月の流れを引き継いで好転の兆しがみられない。11月の初値騰落率はシンジケートカバー取引が効いたため平均-7.5%にとどまる。だが、セカンダリーではさらに下落しており、公募株を取得した投資家に加え、市場で買った投資家も報われていない。銘柄によっては公募価格まで戻ることもあるが、そこで上値が重くなってしまい反落する。これは反発が薄商い下で、売りが緩んだ間隙(かんげき)を縫ったものに過ぎないため、公募組のやれやれ売りに対抗するだけのバイイングパワーが足りないからにほかならない。

 また、初値の下落率にしても人為的に支えられた価格であるため、玉が尽きてしまった後は急落するケースが後を絶たない。例えば電算システムはシンジケートカバー取引等完了報告書によれば、上場2日目に完了しており同日に前日比8.4%下落、さらに次の日には同13.2%下落した。クロスマーケティング<3629.T>は初値関与こそなかったものの、同様に上場2日目に買い付けが完了し、同12.2%下落した。内外トランスライン<9384.T>は初日に完了しているが、終値は初値と比べて14.8%下落した。いずれも初値より取引完了とともにさらに下げ、まるでダムが決壊するように下落スピードが加速した結果になっている。なおこの現象は既上場株にもみられ、売り出しを実施したリンクアンドモチベーション<2170.T>は27日に取引が完了しているが、翌日には前日比6.7%下落した。

 今のところ全体相場にしてもIPOにしても、反転のきっかけがつかめないでいるのは同様のこと。売買代金の減少が続き、それと共にブック参加者も少なくなってしまっている。今年の騰落数は合計40社に対し、上昇16社、下落23社、同値1社。負け越しがまだ確定したわけではないが、それを意識せざるを得ない。」