ゴンが日に日に弱って行くのがわかっていた。
自分にできることはもう限界がきていることもわかっていたし、治療ばかりすることがゴンのためになっているのかもわからない。悩んでいた。
夜泣きも毎日ひどくなり、不眠の時もしばしば。
苦にはならなかったが、ゴンの気持ちがわからなくてイライラした。
どーしていいかわからずに、神頼みてきなつもりである番組に応募してみることに・・・どうしてもゴンのことを聞きたい・・・私にできることがまだあるかもしれない・・・ゴンが私達に望むことはないだろうか・・・
採用されるとは思ってもおらず。期待もしていなかった。
が・・・メールを送って2週間くらい経過したころだろうか。何気なく出た電話の相手は某テレビ番組のスタッフさんだった。まさか採用されるとは思わないし、こんな早く連絡がきたことにビックリして何を話したのか覚えていない。ただわかったのは我が家にアニマルコミュニケーターの方がきてくれるかもしれないということ。
ホントだろうか・・・?来てくれるなんて夢のようだ・・・
それから、あれよあれよという間に撮影の日がきて、会いたかったコミュニケーターの方が我が家に。
感動で胸がいっぱい。
いろんなことを話してくださった。
ゴンはとても落ち着いた様子で撮影時間を過ごしていた。
いままで私達が大切に思ってきた日々をゴンも同じように大切に感じていてくれたようだ。
私があれこれと世話をやくことも、自分のためにしてくれているのだと理解してくれている様で、私達との生活が幸せだと感じているということも。時間がある限り、家族とすごしたいと・・・
私は治療をすることがゴンの負担になっているのではないかというモヤモヤした気持ちで過ごしていたが、コミュニーケータさんの話を聞いてすごく気持ちが軽くなったし、もっとゴンと一緒にいたいという気持ちが強くなった。私達のほうがゴンのおかげで幸せに過ごせているのだから、もっとゴンを幸せにしてあげたい。
撮影の日はみんなが号泣だった。撮影をしてくれている方々も涙を流して見守ってくれていた。
ホントに幸せすぎる時間だった。ゴンに出会えたおかげで、素敵な時間を過ごしている。
撮影から幾日かして、ゴンの体調はますます悪くなっていた。
それでも散歩が好きなゴンになんとかして外の空気を感じさせたいと、荷物を運ぶカートなるものを用意して散歩にいくようになった。
もう歩くことはできないけど、ゴンはキョロキョロと周りをみている。
毛も伸びなくなり、どんどん食欲がおちはじめる。
ある時、とうとう食事を受け付けなくなる。
病院ですぐに検査をしてもらった。結果は感染症にかかっているとのこと。何をきいても驚くことはなかったが、もしかしたらもうダメかもしれないという思いが頭をよぎる。感染症だけなら抗生剤や点滴で回復するかもしれない。でも、ゴンはたくさんの病気を併発していて、感染症がおさまっても、他の病気が悪さする。
膀胱炎、膀胱結石、胆嚢炎、胆石、肝硬変、甲状腺機能不全、歯根炎と痴呆。病気がありすぎる。
5日ほど入院したが、これ以上は自宅療養することを決めた。
自宅で点滴をし、食事は流動食。
ゴンはもう顔を上げることもできなくなっていた。
反応はかすかにある程度。
寝たきりというよりも昏睡状態だった。
テレビのオンエアを一緒にみれないかもしれない・・・
長年、動物病院の仕事でたくさんの犬や猫をお世話してきた。
ゴンの時間が少ししかないことぐらいわかっていた。
撮影から約1ヶ月後の9月11日。午後6時25分。
ゴン助は永眠した。
我が家にきて3年と4ヶ月。
最後の時は家族4人で過ごし、見送ることができた。
ホントに眠るようにゴン助は逝ってしまった。
あれこれと世話をやいた日々がもうなくなるのかと思うと、寂しくて悲しくて、どうしたらいいのかわからなかった。
みんなゴンが大好きだったし、ゴンがいたからいろんなことを頑張れた。ゴンのおかげで素敵な出会いもあった。ゴンと一緒だから毎日幸せな気持ちでいられた。
ゴンは幸せばかり運んできてくれた。
私はゴンがいなかったら、トリーマーや看護師の仕事は引退していただろう。実際辞めようと思っていたし。
でも、ゴンと生活するうちに動物がもつ不思議な魅力にまた憑りつかれてトリマーに戻ってきた。
もっと動物のことがしりたくて、今は他の分野にもチャレンジしている。
こんなに一生懸命になれるのも、ゴンがいて家族の支えもあったからだと感じている。
ゴンはいなくなってしまったけど、家族を明るくし、良い方向へ導いてくれた。
ゴン助、本当にありがとう。いつまでも大好き。いつまでも家族だから。見守っていてね。
最後に、今までゴン助を可愛がってくれたご近所の皆さまやお友達、動物病院の皆さま、車椅子を作ってくれた皆さま、アニマルコミュニケーターさん、テレビスタッフの皆さま方に深く感謝いたします。

