少しご無沙汰しております。

この週末は東京出張でした。
木曜の晩にこちらを出て、金曜の朝に到着し、個別訪問2件、夜は犬塾の関東、終わってから関東の犬塾にご参加されている皆様と「勉強会」という名の飲み会、翌土曜日は朝から「かいぬし塾 関東」で、終わってからはヤマザキ動物専門学校・帝京科学大学講師の山本央子先生、キャットインストラクターの坂崎清歌先生にもお越しいただいての「勉強会」(という名の飲み会)→その後TaKaYaMaど緊張。
そして日曜は、またもや山本先生と関東の犬塾にご参加されているトレーナーさんとの「勉強会」(これは本当に勉強会)でした。

この3日間は、とにかく「原理」ってのがキーワードでしたですね。
その前の週末、新潟でもトリマーさんや訓練士さんを対象にセミナーをさせていただいたのですけれども、そこでも僕がひたすら強調したのは「やり方とか方法とかどうでもいいから、原理を知ってください」というものでした。
そして、今回の東京においても、僕はひたすら「原理、原理、原理」と連呼しておったわけです。
でもそれは、やっぱり大事なことなんだなと再確認しました。

土曜日の「勉強会」(という名の飲み会)でも、山本先生を中心に「とにかく原理を知らずにやってしまっている人が多すぎる」という話を、たくさんたくさんしました。
その後、たまたま僕らが「勉強会」(という名の飲み会)をしていた会場(お酒やつまみも頼める会場)のすぐ近くに杉山尚子先生がいらっしゃることがわかり、急遽杉山先生もお越しになりました(ここでTaKaYaMaど緊張)。

杉山先生がお越しになってからは、いわゆる「scientist–practitioner model」の話が出て、「よい practitioner(臨床家)になるためには scientific(科学的)な視点、態度は必要不可欠なんだ」というあたりの議論があったり(きっかけ作って最後に無理矢理まとめてすみません……)。

この「飲み会」(という名の勉強会)でも言ったんですけど、やっぱり「自分がやった介入がどう機能したのか?」っていうのを検証することは、本当に本当に大事なもので、それはいわば「介入=実験・検証」という、まさに「営み」であるということなんだろうなと。
望月先生@立命館大学も、それこそ繰り返しおっしゃっている「事実として示されることが大事」ってのも、また同じことなんだろうなと思うわけなんですね。

そして翌日曜日の勉強会でも、山本先生も仕切りに「原理、原理、原理」とおっしゃっていました。
この山本先生という方は、日本のトレーナーとしてはかなり異色な経歴をお持ちの方でして、そのあたりのことはつい先日出た日本行動分析学会のニューズレターに寄稿されていますので、是非お読みください。
以下にリンク(pdf注意)。

日本行動分析学会ニューズレター J-ABAニューズ 2011年 秋号 No.64
http://www.j-aba.jp/newsletters/nl64.pdf


こちらのニューズレターにも出てきてますけど、未だに日本では電気ショックカラーなどを使った「罰的なやり方」が、根強く残ってます。
そこを何とかしてなくしていかないとなと思ってます。
山本先生も口癖のように「チョークチェーンを一本ずつ外す」っておっしゃいます。

また、こうしたことも僕は実感として思います。
以下、ニューズレターより引用。


  私は、「問題」と称される行動が発生している環境の中で、随伴性を分析し、原因の解明と問題の解決を
 行いましたが、一頭一頭が暮らす随伴性はそれぞれ異なる訳ですから、見かけは同じ行動でも解決方法
 は異なります。マニュアル的な解決法を求める同業者は、私の方法に納得する訳がなく、「なぜそういう方
 法を使うのか?」と問われ続けました


もう、本当にまさにまさにって感じです。
見かけは同じ「吠える」でも、随伴性は1頭ずつ違う(原因はそれぞれ違う)わけです。
あるいは、いわゆる「転移行動」ですか。
あれなんかも、人間側が「転移行動」って勝手に分類して名前つけてるだけで、イヌにとっては何かしらの「理由(目的・原因)」があるはずなんですよ。
そのあたりのことをあまり考えず、「こういう吠えには、こうすればよくなります」とか、それはいかんだろうと。
でも、同時に、そういうのが一番ウケが良いというのもあるんですよね。

実際問題、やっぱり「どうすればいいか?」「何をすればいいか?」っていう、「やり方」「方法」というものがクローズアップされるというか、そこにフォーカスされちゃうというか。
僕自身、行動分析学と出会った頃、入門書とか専門書に書いてあることを、割とそのままイヌに当てはめてやっちゃっても、結構うまくいったりしたんです。
で、同時に「これは危ない」とも思ったんですね。
だって、わざわざ大学で高い学費取って教えてるものをですよ、ちょろっと何冊か本読んだぐらいで、きちんと理解できるはずがない。
理解できるはずがないのに、真似事でも結果が出ちゃう。
これは危ないです。
「わかった気になる」気がしたんです。
だからまあ、大学に行くことにしたんですけども(そして大学に入って、やっぱり「わかった気になってた自分」がわかったんですが)。

そいでもって、ここ2年ぐらいはセミナーのお仕事をさせていただくようになって、そこで事例とか、実際に何をやったのかとか、そういうお話も当然したりするわけです。
すると、やっぱり聞いてくださってる方からは「それをやればうまくいくんですね?」的な質問だったり、感想だったりを頂戴することがあったりもして、やはりここでも「これは危ない」と思ったんですね。
ややもすると、「TaKaYaMa流のやり方」みたいな感じになって、伝わっちゃうとこれはまずいなと。

だから最近は、どこでセミナーやっても、あるいは個別訪問でお伺いしても「やり方なんかどうだっていいんです」ってお話を必ずするようにしてるんですけれども。

やっぱり大事なのは「随伴性」や「強化の原理」ってものを、ちゃんと理解できてるかどうかなんだろうなと。

そんなことを、強く思った3日間でした。

山本先生と、本当にたくさんお話をさせていただいて、たくさんディスカッションもさせていただいて、僕達トレーナーがわんこと飼い主さんの幸せのために何ができるのか?
それをやっていくのに何が必要か?
そして、その自分の行動をどう強化・維持していくのか?
考え考え、色々とご一緒させていただければと思ってます。

来年も何かと忙しくなりそうかもと思いつつ、そうなるためにはもっともっと勉強していかないと、置いていかれるとも思っていますので、精進してまいります。

まずは、目の前のわんこと飼い主さんから。

さて、明日からも目の前のわんこと飼い主さんのお役に立てるよう、がむばります。
よし。元気。