『おかえり』の一言は

僕の心を僕に返してくれる君の魔法


『頑張る程に辛くなるものさ』

そんなことは分かっているよ。

けれど、人はみんな性分がある

これが僕の性分なんだ。


自分と別の世界を

行き来をするのを

心が宛どころなく彷徨う

僕のそのままが生きる

カーテンのこちら側の世界に

今日も帰ろう


ドアノブを回すと

変わらない君の姿

二人が好きなお菓子を食べながら

笑う 怒る 泣く 微笑む

この時よ

素朴な時間の中で

本当の僕が育っていく

ありふれた君の言葉だけが

僕(ココロ)をこの場所に連れ帰る魔法


僕が僕でなくなることが

肯定されるこの不思議な世界

夢の住人になることは、

夜景と同じで

暗くて遠い程、明るさだけが際立つように

悲しみも苦しみも卑しさも

明るみにするのは、

パンドラの函の物語の結末。


夢とは残酷で

真実の姿を嫌う罪の意識を知らぬ子供のよう。

だから今日は大人のフリをするのは止めて

ただ君の元へ帰ろう


ドアを開くと

変わらない君の声

君が好きなドラマを見ながら

笑う 怒る 泣く 労り合う

この時よ

嘘のない二人だけの世界の中で

本当の君と分かち合う

ありふれた君の優しさは

僕(ココロ)をこの場所に連れ帰る魔法


魔法みたいな世界で生きる僕に

かける君の一番の魔法は

どこにでもありふれた

その、愛おしい全て。

いつも、それが愛しいから。