今回の漢字は「九」です。
漢字の成り立ちは、蛇に似た角のある想像上の動物。
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九
「九死に一生を得る」とは絶望的な状況から奇跡的に抜け出すことを言います。
ふだん頻繁にあることではありませんが、誰でも人生に一度や二度は自分なりの「九死に一生を得る」経験があると思います。
私も冒険家や軍人ではありませんが、ある意味「九死に一生を得る」経験をしました。
今日はそのお話です。
失われた声
7年前。私は声が出なくなる病気になりました。
長女が5歳、双子の姉妹が3歳の頃の話です。
私は不妊治療を経て、10年ぶりに会社員として社会復帰。
はりきって働き始めましたが、幼稚園からの呼び出しや、子供の病気で、早退や休みで職場に迷惑ばかり。
仕事も育児も思うようにできずにストレスと疲労困憊の毎日。
夫の仕事は帰りが遅く、平日はワンオペ。
それを覚悟の上で共働きを選びましたが、事務員という仕事が向いておらず、毎日怒られる日々。
仕事を選ぶとき「事務員なら子育てと両立できる」と過信していたのです。
そもそも仕事に対して見積が甘かった。
私は10年のブランクを返済しようと躍起になり、周りが見えなくなっていました。
向いていない仕事。
繰り返すミス。
そして落ち込む毎日。
「ここで負けられない、なんとかして頑張ろう」と怒られても怒られても、自分にムチを打って働いていました。
寝ても覚めても職場と仕事のことばかり。
ミスをして怒られたことや、職場の人の溜息を、何度も何度も思い出しては反省をしていました。
眠りについても夜中に目が覚めてしまい、心臓が高鳴るほど翌日の仕事のことが心配でほとんど眠れませんでした。
なんで私はこんなにもミスが多いんだろう。
どうすればミスが減るのか、どうすれば迷惑かけないで仕事ができるだろうか。
みんなきっと「もう辞めて欲しい」って思ってる。
グルグル、グルグル…。
反芻思考に陥っていました。
完全に悪循環。
そして、ついに入社4か月目に私の体はぶっ壊れました。
咳が止まらなくなったのです。
病院に行っても「異常なし」。
お薬飲んでも、まったく効果なし。
それから約3か月間、毎日。
コンコン、ゲホゲホ。
周りからは、常に「病気うつすなよオーラ」。
ついには声が出なくなり、電話ができない状態まで悪化。
医者からは「ストレス」と診断されました。
休養をとるように言われましたが、ただでさえ、子供のことで迷惑をかけていたので、
これ以上会社を休むなんて考えられませんでした。
今にして思えば、そもそも向いていない仕事であったし、なんで会社にしがみついていたんだろうとも思います。
「辞める」といって逃げ出せばよかったのに…。
でも、なぜか「辞める」ことに対して恐怖があり、今後きっと後悔するんじゃないかとも思っていました。
運命の出会い
間もなくして、私は「書道」に出会います。
長女が年長さんになったときに、書道教室に行きたいと言ってきたので通わせることになりました。
「たぶんすぐに飽きるな…」
案の定、3ヶ月もせずに娘は
「もう行きたくない」と…。
こんなにもあっけなく辞めさせるのもどうかと思ったので、私の体は万全ではありませんでしたが、一緒に書道教室へ通うことにしました。
そして、書道と運命の出会い。
書道なんて、小学生の頃、授業で習字をやったぐらいで全くの未経験。
「子供の付き添い」程度で考えてはじめたお稽古でしたが、書道はあっという間に私を魅了しました。
それから5年後、仕事を辞めて書道の先生になるとは、この頃はまさか夢にも思っていませんでした。
さらにすごいことに、書道はじめて間もなくしたころ、あんなにしつこかった咳がでなくなったのです。
これには本当に驚きました。
書道はメンタルを安定させる効果があります。
それで、私はストレスと上手く付き合えるようになってきたのです。
職場の人間関係も良好になり、仕事も楽しくできるように。
すべて、書道が教えてくれ、導いてくれたことです。
私はこの感動を多くの人に広めたく、現在書道家として活動をしています。
このころに考案した「書道瞑想」は、いぬとび書道教室のメインコースとなりました。
人は、苦難の時こそ「運命の出会い」をする。
まさに身をもって「九死に一生を得る」経験をしたのです。
もしあなたが、今とても苦しい状況であったとしても、探し求めていれば、何か必ず「光」となる存在が見つかるでしょう。
闇が深ければ深いほど、ほんのわずかな光でもすぐに見つけられるように。
それでは、このへんで。