仮名文字を始める前に
仮名は日本語の表記を象徴する要素の一つです。
日本語の言葉と音を表現するための文字。
その成り立ちは日本の歴史や文化と深く結びついています。
仮名のように漢字の音や訓読みをあてて表記をしている文字は比較的珍しいそうです。
日本はもともと独自の文字を持っていませんでした。
そこで中国から漢字が伝わってきた時に「漢文」で日本語を表記しようとしましたが、なかなかに難しく使いづらい。
漢文は一般の人々にとっては難解な文字。
それに、どうしても固有名詞が漢字だけでは表記できない!
というわけで、「漢字の音」を借りて固有名詞を書き表しました。
音を文字で表現することで、より分かりやすい文章を作ろうってことですね。
文字にも男女があった
楷書や行書で書いたものを「真仮名(まがな)・男手(おのこで)」
草書でかいたものを「草仮名(そうがな)・草の手」
平安時代には、草仮名が発達して簡略化が進んでいき、「女手(おんなで)」と呼ばれる仮名が生まれました。
簡略化された仮名は平安貴族や武士、僧侶などが日記や和歌、詩などを書く際に使用されました。
漢字を減らし、より手軽に書くことができるため、日常的なコミュニケーションに適しており「源氏物語」などの女性文学が書かれました。
「かな」という言葉は「真名(まな)」に対して、仮の文字という意味であり、「仮(借)の名」が「かんな」となり、「かな」になったと言われています。
当時、日本の文字は漢字を中心に表記されていましたが、漢字だけでは子供たちの教育には不十分でした。
よって、明治三十三年(1900年)、日本では片仮名と平仮名の使用が小学校令施行規則によって調整されたのです。
子供たちが文字を正しく学び、読み書きを効果的に行うための基準を定めたもの。
現代私たちが使っている「平仮名」という言葉は「平易な仮名」という意味で、現行では四十八字のみ。
こうやって、歴史を見ていくと私たちが普段つかっている文字にとても愛着が湧いてきますね。
平仮名の字源が成長のヒントに
このような字源を理解することで、文字が持つ本来の意味を大切にしながら、より豊かな表現が可能になります。
書道を学ぶ際には、平仮名の字源を探求することで、文字の美しさだけでなく、その奥深さにも触れることができます。
文字が持つ歴史や文化、意味を理解することで、作品がより深みのあるものとなるでしょう。
書道は単に文字を描くだけでなく、自己表現や精神性との結びつきを感じる芸術です。
平仮名の字源を通じて、文字の力強さや美しさをより深く味わいながら、自分自身の内面を表現する手段として、書道を楽しんでみてはいかがでしょうか。