妊娠したら トキソプラズマって? | LINDO BLOG

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こんにちは。獣医師の田村です

 

 

動物病院で働いていると、時たま

「実は(飼い主が)妊娠しまして、この子と同居するにあたって何か気を付けることはありますか?」


という質問を受けることがあります




そんな時は、私は獣医なので人間の健康へのアドバイスはできませんがという前置きの上、出来る限りのアドバイスを差し上げるようにしています。

妊娠中って、つわりでの体調不良やお腹の子への心配に加え、ホルモンバランスも崩れるため本当にナーバスになっていまうんですよね

特に初めての妊娠の時はいろいろなことが心配になってしまって、飼い主さんによっては

「この子と別に暮らした方がいいのでしょうか


と思い詰めてしまう方もいらっしゃいます

 


実際は、正しい知識を身に着け、注意事項さえ守ればペットと同居を続けることは可能です

 

私は妊娠が分かった時に動物病院で働いていまして、このまま仕事を続けるかやめるか、迷った時期がありました。

結果的には職場の方の協力のおかげもあり、出産予定日一か月前まで働き遂げることができました

(余談ですが、お腹の中でママのお仕事中に散々聞いていたからでしょうか、生まれてきた娘は怒った犬の鳴きまねをすると非常に喜びます…)

 

繰り返しますが、獣医師という立場であるので、人間の健康面へのアドバイスは出来ませんが、実体験と専門分野の範囲内でペットを飼われている方が妊娠中に気を付けるべきことについてお話ししたいと思います。

 

 


今回は感染症についてのお話です。


 

よく、「トキソプラズマ症」という病気を耳にする方も多いと思います。

トキソプラズマという原虫に感染することにより起こる病気です。

妊娠中に感染すると、流産や赤ちゃんに奇形をおこす可能性があるため念のため気を付けなければいけません

 

それでは、どのようにして人間に感染するかについてお話しします。

 

感染している動物の生肉を食べて感染

 トキソプラズマはほぼすべての哺乳類に感染します。

 しかし、加熱処理をすることにより感染力をなくすことが可能です。

 生肉や、加熱不十分のお肉を食べないようにすることで予防できます。

 

 

感染している猫の糞便からの感染

 猫の糞便中に排泄されるトキソプラズマの形態のひとつである
「オーシスト」を人間が口にすることにより感染します。

猫はトキソプラズマに感染している動物の生肉を食べることで感染します。
肉

特に、外猫が感染しているネズミを捕獲して食べた時に感染することが多いと思われます。

しかし、感染しているすべての猫の糞便にオーシストが排泄されるわけではなく、排泄されるのは猫が初めてトキソプラズマに感染した際の数週間です。

また、糞便中のオーシストは便が排泄されてから48時間経たないと感染力を持ちません

 

そのため、

飼い猫が数週間前に生肉かネズミを食べた際に初めてトキソプラズマに感染してしまい

飼い猫のした便を2日以上放置して

その便を触ってしまったけれども

手を洗わずに食事をした


などということがなければ、トキソプラズマに感染するリスクは低いといえます。

そして完全室内飼いの猫からの感染のリスクは、生肉を与えていない限りはあり得ません。

 

ちなみにこのオーシスト、猫以外の動物の糞便にはでてきません

万が一愛犬が感染していても、犬の糞便には人に感染するオーシストが排泄されませんので、犬から人へ感染することはありません。

 

 

その他に気を付けなければいけないのは土壌がオーシストに汚染されている場合です。

一度トキソプラズマのオーシストに汚染されてしまうと、完全に消毒することは困難です。

それゆえ、汚染されたガーデニングの土砂場からトキソプラズマに感染することがあります。

 

トキソプラズマの感染予防策としては、猫の糞便の処理や土や砂を触る場合はゴム手袋を使い、終わった後は手をきれいに洗い、使ったゴム手袋も洗うことです。

糞便の処理だけであれば使い捨てのエンボスなどでも対応ができると思います。

 

 

ちなみに、動物病院で働く獣医師は野良猫を含め、多くの猫ちゃんを診察や治療をする機会を持ちますので、トキソプラズマに感染するリスクは高いといえます

私自身てっきり感染しているものと思っていまして、妊娠中にトキソプラズマ検査を受けましたが問題なく、知り合いの獣医師の中に検査に引っかかったという話は今のところ聞いたことがありません

 

やはり、適切な対応をすれば予防はできるということですね

 

 

それと、これはまた別の機会に詳しくお話ししようと思いますが、寄生虫駆除はおすすめです。

ノミやダニだけでなく、いわゆる回虫やサナダムシなどのペットの体内に寄生する寄生虫の駆除も念のためしておきましょう。

これらの虫は、ペットから人に感染することがあります。

特に妊婦さんや乳幼児は免疫力が弱いため、寄生虫感染のリスクが高く、症状が出やすいといえます

 

こういった寄生虫はペットにお薬を飲ませることで駆除できます。おくすり

また、フィラリア予防薬によっては寄生虫に効果のあるものもあります。

もちろん当クリニックも寄生虫駆除薬寄生虫に効果のあるフィラリア予防薬を取り扱っておりますので、ご相談くださいませ。

 

 

 

次回は妊娠中に気を付けるべきペットとの生活についてお話しいたします。