野口強とクローネンバーグ | A View of dogbutt

野口強とクローネンバーグ

会社に届いていたPOPEYEの野口強のインタビューがなかなかすごかった。
「草食男」について語ってるんだけど、容赦なく「男としてそんなんじゃダメだ!」と一喝、 
返す刀で「オレの若い頃はさ…」と滑らかに武勇伝につなげて高らかに吼える。
全盛期の北方謙三に迫るオヤジっぷりがなかなか見事。むう。

でもそんなPOPEYEだけどメンノンより広告が入ってる様子で、
部数はともかく広告ではメンノンを抜いてしまったような感じ。
どっちにしてもアラサー中心に元気のいいレディスに比べると、
メンズファッションは相変わらず低調のようでちょっと元気がない。
メンノンは付録の作原さんスタイリングのインテリアのタブロイドはいい感じだった。
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MEN’S NON・NO (メンズ ノンノ) 2009年 04月号 [雑誌]
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おまけパワーで独走するSWEETの今月号の付録はJill Stuart(ジル・スチュアート)のビニールバッグ。
1年前くらいに比べるとおまけの製作レベルも格段にパワーアップしてて、
こんなマトモなおまけがついて六百円台って違法スレスレじゃないかと思うんだが。
そういえば街でもSWEETのおまけを平気で持ち歩いて愛用している女をよく見かけるけど、
そんなやつの気が知れない。
次号のおまけはCher(シェル)のエコバッグとポーチの2点セット。これは売れるよなあ。
この号は道端ジェシカでLA撮影のページが70年代のプレイボーイな雰囲気で個人的にはツボだった。
ルミネにできたkitsonもPRの力で売れてるみたいだし、
西海岸な気分はレディスファッション業界ではまだいけそうな感じがする。


で、今さらだけどクローネンバーグの「イースタンプロミス」を見た。
ハードボイルドの流儀と定型に則った、ティピカルなハードボイルド映画なんだけど、
執拗なバイオレンス描写と流麗なビジュアルが、この映画独特の味付けになっていて、
やっぱり明らかなクローネンバーグ映画に仕上がってる。

クローネンバーグという監督は、
人を痛めつけたり人が痛めつけられたり血を流したり死んだりするリアルで生々しい映像を
フェチ的に撮ることが他を圧倒する最大の関心事で、
それ以外の場面は、彼にとってはあくまで殺人傷害シーンを撮るための
「つなぎ」に過ぎないんじゃないか、という気がしてならないんだけど、
物理的な痛みを感じるくらいのレベルの暴力描写は観客として見てるだけでも実際かなり痛い。
まあ当然、殺人傷害シーンの出来ももの凄く良い。
ビジュアル構成力は圧倒的で、特にロシアン・レストランのシーンは、
調度や食器、料理の色合いや素材感・質感が徹底的にセクシーに撮られ、
厳密にコントロールされたコントラストがフェルメール的に美しかった。

また、日本ではあまり見られないロシアンな大衆的な美意識にあふれた独特のタトゥーもかっこいい。
タワーブックスで外人が分厚い日本の刺青本を好んで買っていく理由がよくわかった。
B級な大衆をおもな支持基盤にするタトゥーは、グローバルな「テイストのよさ」に荒らされてないから、
ちょっとぎこちないローカルさが残ってるんだよな。

ありふれたシナリオの定型的な映画であっても、特殊な才能を持った監督が
適切なスパイスをまぶして撮れば、こうまで違うんだ、というお手本のような映画。
カルト映画界の怪作「ビデオドローム」を撮ったようなとびきりの基地外が、
自分の流儀と嗜好に妥協しないままにハリウッド映画のフォーマットで
興行的にもそこそこ成功する作品を成立させたということにこの作品の最大の意義があると思うし、
インディペンデントなクリエーターにとってもお手本にすべき姿勢だと思う。
クリエーターにありがちな
「バカな客(クライアント)が多いから、そのレベルに合わせるしかないんだよ」
みたいな言い訳は、言い訳でしかないってことだ。自戒も込めて。
堪能しました。
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