スナックと、スタバによって日本の文化が失ったもの。
スタバ。
特に地方にいる時なんかにそれなりのコーヒーがまず間違いなく飲めるというのはありがたいし、
その地域でそれなりにしゃれた人が集まっていることが多いから、
変な話だがスタバでほかのお客さんに混じって本を読んでたりすると妙なローカル気分も味わえたりする。
退屈だけど、均質でクオリティの高い、チェーンストアの王道だと思う。
スタバとは正反対に位置する、スナックにいつか行ってみたいと思っていた。
スナックは「ママ」が支配する、「ママ」の極私的な空間だ。
「ママ」の好みの器や調度が揃えられ、「ママ」の手料理が供され、「ママ」を慕う客たちが集まってくる場所。
均質さのもたらす安心感とはまったく逆のベクトルで、特定の顧客たちに幸せと癒しを与えている。
でも常連ばかりで一見は不審がられて相手にしてもらえないだろうし、
個人経営だから、とうぜん店によってサービスも内装も料金もばらつきがある。
どこかの店の常連の知り合いにでも連れてってもらわないことには、初スナックのハードルはかなり高い。
そんなわけで、地方を旅していて魅惑的なスナックの看板の前を通り、カラオケの音が漏れ聞こえてくるたびに
「ああ、きっとこの中では地元の人たちの閉じた、濃いコミュニケーションが繰り広げられているんだ、
混ぜてもらえねえかなあ」とぼくは悶えてきたわけだ。
そんな中写真家・山田なお子さんが、10年間スナックとママを撮りためてきた写真集が発売された。
飛びつくように買ったわけだけど、はじめてまじまじと見たスナックとママたちは、
予想どおりというかやっぱりとても濃い空間で、
登場するママたちのたくましかったり、優しかったり、力強かったりするたたずまいと、
彼女たちが数年~数十年かけて築き上げてきた自分の美意識の表現である空間とについつい見入ってしまう。
300ページの大著に込められた情報量は膨大で、天井から妙なヒョウタンがぶら下がっていたり、
演歌歌手のポスターが貼られていたり、灰皿や酒のボトルのセレクションまで画面の端から端まで解読していくと、
どうしてもママたちの人柄が浮かび上がってくる。
前のエントリ、湯山玲子さんの『女装する女』でも昭和30年代ブームの文脈で、
(たぶん製作中だったこの写真集の存在は知らずに)、
「マーケティングの介在しない空間」の代表としてスナックが挙げられていたけれど、
マーケティングベースで快適なサービス/空間を提供するスタバ他のチェーンストアへのアンチとして、
純日本的で個人的でB級な美意識の結晶であるスナックの存在は少しだけ意味があると思う。
たぶんスタバがスナックの敵になってるってことはないと思うんだが、
膨大なマーケティング仕事をして、その結果みんながそこそこに満足できる程度に凡庸な
スタバ的な店を量産することで、日本中の「ここにしかない」店がなくなってしまうのは残念に思う。
均質がもたらす安心の引き換えに、日本中に退屈を量産してるかもしれない、
マーケティングという自分の仕事ってちょっとどうなのよ、と思ってしまった。
ウェイトレスのポートレイトと料理が見開きで構成されていて、写真も空気感がよく写っててキレイ。名著。
★日本のB級の美意識に焦点をあてた本としては都築響一さんの一連の著作も。
文庫版だとちと苦しいが、部屋のディテール探しをし始めると、もう止まらない!
特に地方にいる時なんかにそれなりのコーヒーがまず間違いなく飲めるというのはありがたいし、
その地域でそれなりにしゃれた人が集まっていることが多いから、
変な話だがスタバでほかのお客さんに混じって本を読んでたりすると妙なローカル気分も味わえたりする。
退屈だけど、均質でクオリティの高い、チェーンストアの王道だと思う。
スタバとは正反対に位置する、スナックにいつか行ってみたいと思っていた。
スナックは「ママ」が支配する、「ママ」の極私的な空間だ。
「ママ」の好みの器や調度が揃えられ、「ママ」の手料理が供され、「ママ」を慕う客たちが集まってくる場所。
均質さのもたらす安心感とはまったく逆のベクトルで、特定の顧客たちに幸せと癒しを与えている。
でも常連ばかりで一見は不審がられて相手にしてもらえないだろうし、
個人経営だから、とうぜん店によってサービスも内装も料金もばらつきがある。
どこかの店の常連の知り合いにでも連れてってもらわないことには、初スナックのハードルはかなり高い。
そんなわけで、地方を旅していて魅惑的なスナックの看板の前を通り、カラオケの音が漏れ聞こえてくるたびに
「ああ、きっとこの中では地元の人たちの閉じた、濃いコミュニケーションが繰り広げられているんだ、
混ぜてもらえねえかなあ」とぼくは悶えてきたわけだ。
そんな中写真家・山田なお子さんが、10年間スナックとママを撮りためてきた写真集が発売された。
飛びつくように買ったわけだけど、はじめてまじまじと見たスナックとママたちは、
予想どおりというかやっぱりとても濃い空間で、
登場するママたちのたくましかったり、優しかったり、力強かったりするたたずまいと、
彼女たちが数年~数十年かけて築き上げてきた自分の美意識の表現である空間とについつい見入ってしまう。
300ページの大著に込められた情報量は膨大で、天井から妙なヒョウタンがぶら下がっていたり、
演歌歌手のポスターが貼られていたり、灰皿や酒のボトルのセレクションまで画面の端から端まで解読していくと、
どうしてもママたちの人柄が浮かび上がってくる。
前のエントリ、湯山玲子さんの『女装する女』でも昭和30年代ブームの文脈で、
(たぶん製作中だったこの写真集の存在は知らずに)、
「マーケティングの介在しない空間」の代表としてスナックが挙げられていたけれど、
マーケティングベースで快適なサービス/空間を提供するスタバ他のチェーンストアへのアンチとして、
純日本的で個人的でB級な美意識の結晶であるスナックの存在は少しだけ意味があると思う。
たぶんスタバがスナックの敵になってるってことはないと思うんだが、
膨大なマーケティング仕事をして、その結果みんながそこそこに満足できる程度に凡庸な
スタバ的な店を量産することで、日本中の「ここにしかない」店がなくなってしまうのは残念に思う。
均質がもたらす安心の引き換えに、日本中に退屈を量産してるかもしれない、
マーケティングという自分の仕事ってちょっとどうなのよ、と思ってしまった。
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ウェイトレスのポートレイトと料理が見開きで構成されていて、写真も空気感がよく写っててキレイ。名著。
★日本のB級の美意識に焦点をあてた本としては都築響一さんの一連の著作も。
文庫版だとちと苦しいが、部屋のディテール探しをし始めると、もう止まらない!
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