あの日の夕方、最寄り駅についたとき、

なぜか「帰りたくないな…」と思ったんだ。

早く帰って犬の散歩に行こう、と思っていたのに。

 

なんとなく嫌な予感。

それがすべてのはじまりだった。

 

 

家についてドアを開けると、

寝ていたらしい犬が部屋から飛び出してきた。

私が帰ってきても、出迎えてくれるのは3回に1回くらい。

夫が帰ってくると、毎回お祭り騒ぎなのに。

 

 

今日はラッキー…と思ったと同時に、

家のなかに、妙なにおいが漂っているのを感じた。

 

 

なんだろう、このにおい…

 

 

よく見ると、リビングのカーペットの端が濡れている。

え、まさか、犬が粗相を…?

そんなはずはない。

このコはリビングで粗相をしたことなど、一度もないのだった。

 

 

恐るおそる家に上がって、

濡れたカーペットのその先をみると、

 

 

なんととそこには「海」が広がっていた。

 

※写真はイメージです

 

 

リビングの床が水にうもれ、テーブルや椅子が水浸しに。

 

 

呆然としている間にも、天井からポタポタと

途切れる間もなく水が降ってくる。

どう見ても水漏れだった。

 

 

とっさに雑巾とバケツを床に置く。

けれど、どこに置いたらいいのか決められない。

水が落ちてくる範囲が広すぎる。

 

 

まてまて、落ち着け。

急いで片付けようとしない方がいい。

誰かにこの状況を見てもらわないと。

 

 

雑巾をそこらへんに放り投げ、

まずは夫に電話して、すぐに帰宅してもらう。

その間に、ほかの部屋の状況確認。

まずは、いちばんあやしい水回りから。

 

 

キッチン。

だめだ、ここも天井から水。

 

トイレ。

もっとダメ。水が垂れてくる速さはここが最速。

 

お風呂。あ、ここは出てない。

洗面所もOK。でも油断できない。

 

寝室、うそ… アウトだ…。

 

 

※写真はイメージです。

 

 

とりあえずバケツとバケツっぽいもの、

雑巾と、もうこの際捨てちゃう古めのタオルやTシャツを集めて、

水が垂れてくる場所に置く。

 

 

どこに置いても、みるみる水がたまってくる。

まるで家じゅうがファ●タジースプリ●グス!

魔●の泉があちこちに!

 

 

帰宅した夫が上階のお宅に様子を聞きに行くも、

上階のお宅には水漏れする心当たりなどなく…

 

ということは、上階の床下と我が家の天井の間に

なにか原因があるらしい…。

 

 

とにかく今は、どんどん溜まってくるこの水を

一刻も早く止めてもらわなくては!

 

 

マンションの管理会社に電話し、

対処してもらうことになったけれど、

この時点で19時を過ぎている。

今夜、布団で眠れるのかな…

 

そのとき、突然、廊下でけたたましい音が鳴り響いた。

 

 

じりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじり

 

 

                  

 

 

 

慌てて玄関を出ると、鳴っているのは非常ベル。

何事かと、住人の方々が続々やってくる。

あっという間にマンション中が大騒ぎに。

 

さらに、やってきたのは…

 

 

次回へ続きます。