みずほちゃんは、僕の初恋の人。高校一年、吹奏楽部でフルートを吹く同じクラスのお嬢さんに一目惚れした。周りの友人は皆、そのことを知っていた。文化祭の時、クラスで八ミリ映画を製作することになった。台詞は少ないが脇役として、みずほちゃんと同じ場面に僕も登場させてもらえたのは、そんなみんなの配慮があったからかな。シナリオなどは、ちゃんと書いてくれる人がいて、僕は「文化委員」だったから製作のとりまとめやら裏方やらもすることになった。その結果、後から聞いた話だが、クラス内「男子人気投票」みたいなのがあったらしく、製作期間中の数週間だけ僕が急浮上したらしい。確かに、男は男で似たようなことをしていた。「女の子が関心のすべて」みたいだった。でも残念ながら、みずほちゃんは僕に関心がなかった。二年のクラスは別で、みずほちゃんのクラスを廊下の窓から眺めるのが習慣になった。僕はハンドボール部にいたが、レギュラーになれずおちこぼれ仲間数人一緒に退部して、二年から軽音楽同好会へ。ロックドラムを始めた。正統派吹奏楽部のみずほちゃんは、遠い存在のまま。三年で、またみずほちゃんとクラスが一緒になった。とうとう夏のある日、みずほちゃんに話がしたいと切り出し、ずっと好きだったことを話した。
ふられた。そんなに話もしたこともないし、私は思っているようないいこじゃないと。これから受験勉強だから付き合うつもりもないと。
そらそうだ。ろくに話もしてない。勝手に好きになってイメージを作ってどんどん好きになって、そのとおり。
あまりに好きな気持ちが強すぎて、あきらめきれずに結局その後何年も引きずってしまった。
駅で待ちぶせてしまった。あとをつけてしまった。別々に進学したみずほちゃんの大学までさがしに行ってしまった。
その数年後に「ストーカー」という言葉が一般に広く知られるようになったが、もうまさにストーカーだ。薄々気づいていただろうから、たいへんな迷惑をかけてしまった。
ずっと引きずって、次に大きな失恋をした頃に、ようやく忘れることができたみたいだ。
業者が作る卒業生名簿で、数年後に苗字が変わっていたのを見つけた。
ふられた。そんなに話もしたこともないし、私は思っているようないいこじゃないと。これから受験勉強だから付き合うつもりもないと。
そらそうだ。ろくに話もしてない。勝手に好きになってイメージを作ってどんどん好きになって、そのとおり。
あまりに好きな気持ちが強すぎて、あきらめきれずに結局その後何年も引きずってしまった。
駅で待ちぶせてしまった。あとをつけてしまった。別々に進学したみずほちゃんの大学までさがしに行ってしまった。
その数年後に「ストーカー」という言葉が一般に広く知られるようになったが、もうまさにストーカーだ。薄々気づいていただろうから、たいへんな迷惑をかけてしまった。
ずっと引きずって、次に大きな失恋をした頃に、ようやく忘れることができたみたいだ。
業者が作る卒業生名簿で、数年後に苗字が変わっていたのを見つけた。