三つ目の小学校に通ったのは約八ヶ月。次の転校もほぼ決まっていたはずだ。奈良県の田原本町に家を建て、年末には完成して入居することが決まっていたから。仮住まいは同じ奈良県内でも生駒市。親戚が同じく転勤のため空き家にしていたところを借りた。ゆきちゃんはバレーボール選手のアタッカーみたいに背が高くスマートな美人だった。小学生でもやっぱりべっぴんさんが好きだった。半年ちょっとの短い間だったから、何があったわけでもなく、美人やなあと思って、ただ見てただけ。担任の先生がぐいぐい引っ張るタイプのカリスマ先生で、とても印象に残っている。ボランティア活動をおしえたり、水道管のビニルチューブを熱で曲げたものにマウスピースを付けた手作り管楽器で吹奏楽もどきをやったりした。みんな温和で仲良くしてくれた。でも八ヶ月は短い。僕の「没・個性人生」はこの頃に芽を出し、四つ目の小学校で、より色濃くなっていったのかもしれない。