幼稚園児だった頃の僕の家族は、父が勤める会社の社宅住まい。社宅の裏が幼稚園だった。海と動物園が徒歩圏だった。かよちゃんは社宅に住むひとつかふたつ年下で、社宅の庭で一緒にままごとをした当時の僕の奥さん。将来は結婚の約束をしていたような。なんの個性もない、個性がないのが個性かというくらいおとなしい僕を将来の旦那に選んだのは、社宅という小さな世界で一番歳が近い、一応、おとこのこだったからか。てんとう虫をつかまえるのが頼もしかったのか。ちょっと優しかったのか。ここに住むちょっと前に住んだ家の前の道に、僕は三輪車で飛び出して車にはねられそうになったらしい。
運よく間一髪、難を逃れた。
時々起こる災難や、ここぞというとき、なんとかぎりぎりセーフという僕の人生。かよちゃんは見抜いていたのだろうか。
でも、小学校に入学してすぐ、その秋には父の転勤で大都会へ引越し。かよちゃんとは短い夫婦生活となった。
運よく間一髪、難を逃れた。
時々起こる災難や、ここぞというとき、なんとかぎりぎりセーフという僕の人生。かよちゃんは見抜いていたのだろうか。
でも、小学校に入学してすぐ、その秋には父の転勤で大都会へ引越し。かよちゃんとは短い夫婦生活となった。