悩める人事への福音書-『「クビ!」論。』
悩める人事への福音書
- 著者: 梅森 浩一
- タイトル: 「クビ!」論。
- 【この本のオススメポイント】
- ・リストラを宣言するのが怖くなくなる
- ・辛い役回りを正当化できる
- ・リストラされる時の役にちょっと立つ
クビを宣言するのはその人のため?!3つの銀行を渡り歩き、宣言した解雇の数は
なんと1000!そのあまりの冷徹さから日本人からは「クビキラー」、ドライだとされる
外国人人事からすら「Terminater」と呼ばれた筆者の解雇の現場本。
リストラをされた人の立場からの報道、記事は数あれど「リストラしてきた」人の言い
分が聞けるのはこの本でだけ。
迷わずクビを切れよ、切れば分かるさ!
「こんなこと、偉そうに人様に話すことなのか?」
―――著者あとがきより
著者の略歴とか、キャリアを説明した1章とか、日本の今後を占おうとしている5章とか、
帯とかタイトルとかWebでのこの本の評価とか。
そんなもの全部流し読みしてください。いや、読まなくたっていいです。
本書の2章を読めば。
語弊があっても訂正しませんが、2章は「クビキリハウツー」とも言えるセクション。
経済云々、能力云々の話も出すものの、結局は効率的な首の切り方論が延々展開
されています。メンタルな部分には殆ど言及しない、どうやれば上手くクビを切れるの
かに終始する文章群。これにこそ本書の存在価値があります。
人間的な葛藤もあるとは言いながら、本章を読む限り実はこの人はクビキリを楽しんで
いたんじゃないか?と思えるのもまた事実。他の章の文章は感情が抑え目な部分がある
にも関わらず、この2章だけは文が踊っています。
後ろ暗いとは言いながら楽しみを隠せない。そこら辺の歪みというか、コンプレックスと
いうかが最高に「クビキリ」の仕事を物語ってくれます。
ここらへん、文章で魅力を伝えるのは限界かもしれません。興味のある方は実際に
読んでください。
「オーマイゴッド!だから子供たちは米国で教育を受けさせたいのよ。」
―――梅森氏の上司の奥さん (アメリカ人です)
私自身、2章が最高の読みどころだと思ってるんで、他の章の紹介とかは要らないかと
も思いますが。
まず、日本の経営者にアドバイス的な文章が散見されますがこれはこの本が2003年
に書かれていることを割り引いて読むことをオススメします。まぁ、著者に限ったことでは
ないですが、日本経済が絶不調の時に書かれた本なので、こき下ろせばいいや的な論
調です。
そもそも梅森氏は人事のプロなわけで、その人が松下の復活を予見できなかったからと
いって責めるべきではありません。し、なんでそんな部分を本に入れちゃったのかなとは
思いますけど。
逆に、人事の視点では「こんな奴をクビにしてきた」 という確固とした哲学があるので、
労働者へのアドバイスはそれはそれで参考になります。私、外資勤務の方は意外と内弁
慶な人が多いなと思うんですが、梅森氏も例外ではありません。
なんで、そういうフィルターをもって、アドバイスも読むことをオススメします。