ハゲタカ生態図鑑-『東京ゴールドラッシュ』 | 「非現屋」

ハゲタカ生態図鑑-『東京ゴールドラッシュ』


 ハゲタカ生態図鑑
     

著者: ベン・メズリック, 真崎 義博

タイトル: 東京ゴールド・ラッシュ

 

【この本のオススメポイント】

・ハゲタカの生態が分かる

・ディーラー達の豪快なもうけっぷりが単純に面白い

・日本のバブル崩壊後経済を対外的な視点で見られる

 

   ハゲタカって嫌いですか?嫌いな人、彼らがどんな人間か知ってますか?外資=
ハゲタカを批判する報道は多いけども、実際そこでプレイヤーとして働く人の姿を伝
えてくれる報道というのは意外に少ないわけで。その、貴重なプレイヤーレポートが
この『東京ゴールドラッシュ』!
 日本を食い物にする「ハゲタカ」達は何を考えてどんな行動を取ったのか?
バブル崩壊後の日本を舞台に、タフさと頭脳を武器に3分間で600億円稼いだディ
ーラー、マルコムの貴重な行動記録を見よ。
変化というのはいつだってお祝いさ。
それは、まだ生きているということの証だからな。
  ―――ディーン・カーニー
  本書は基本的にはマルコムというアメリカ人青年を通して、バブル後の日本に
居住したアメリカ人達の生態を描いたノンフィクションです。原題は「agly american」
だそうで、直訳すれば「醜いアメリカ人」。 

  「醜い」とは言うものの、彼らのお金を稼ぐ態度というのは意外にすっきりとしたもの

だなというのが私の感想。彼らのルールは簡単。情報を手に入れ、検討し、根性を出し

てポジションを持って、耐え、キャッシュを掴む。藤巻氏の著作を読んだ影響かも知れ

ませんが、少なくともディーラーとしてみれば彼らは普通の人間で、大もうけする為に

なにか汚いことをやっているわけではありません。

 

 根性がいるようなポジションを持っているということは、外れたらとんでもないことに

なるってことで、例えば本書前半に登場する「ミスタ・X」ことニックリーソンというディ

ーラーは、100億ドル(!)を日経先物にツッコンでます。

 

 良い悪いはともかくとして、100億のポジションを持とうという発想がスゴイ。

正に狂気の沙汰。脳みそどうなってるのか気になります。まぁ、それはおいといて、結果

はというとトピックス上昇にかけた彼の期待とはウラハラに、神戸大震災が日本をヒット。

日経はモチロン暴落し、結果として彼は銀行をひとつぶっ潰してしまうのです。


 いいから聞いて。日本の物事の仕組みは違うの。ルールも違うわ。

アメリカ人のあなたには分からないわ。

  ―――サヨ(マルコムに忠告して)


 本書を通じて日本の醜い点も実は描かれています。代表例が性産業。本書の至る

ところに性産業にどっぷりはまり込んだ外国人達が登場し、そのたびに主人公のマルコム

は軽蔑の視線を向ける訳ですが、行く外人も外人なら、それが産業として成り立つ日本も

日本。日本人としては読むと結構複雑です。

 

 邦銀が結構アコギなことをやっていたのも意外な事実。バブル崩壊後、邦銀が外資ファ

ンドに不良債権をバルクセールしたのは結構有名な話ですが、抵当を設定した建物がヤ

クザに不法占拠されてた場合もあったのは余り報道されません。

 

 「ゲームのプレイの仕方、ルールを知らない方が悪い」というのは正にハゲタカの論理な

わけで、こうなってくると彼らが案外フェアに取引をやっているという事実も考え合わせて、

昨今のハゲタカ排除論に疑問が沸いてくるってモンです。