「政治的に正しいおとぎ話」ジェームズ・ガーナー | 「非現屋」

「政治的に正しいおとぎ話」ジェームズ・ガーナー

人権を笑いながら踏みにじれ

 イチローが大記録を目の前にして「記録を意識してます
か?」という質問をされた時、「意識しない。というのは意識
してしまっているということ。いつも通り打席に立つだけです」
と言ったらしい。

 「意識しない」という努力は結局意識してることの裏返しな
わけで、彼の言葉は非常に的を得ている。私は彼の言葉を
人権擁護な皆さんに送りたい。

 「目が不自由な」って言う表現を強いるのは良いが、あんたら
と彼らの関係は「めくら」がまかり通ってた時代よりも、人間的で
暖かいか?その「目が不自由な」人々と酒でも飲んだことがある
か?プライベートに電話するか?彼らに「メシおごるよ」って言
われて「おっけ。んじゃ、次は俺ね」って言えるか?

結局、それこそ差別なんじゃないかな。

「この性差別者!種差別者!男の手助けがなければ、女やオオカミは自分たちの問題を解決できないとでも思ったのですか!」 
 ―――赤ずきん(オオカミともめてるのをとめに入ったキコリに)

 昨日まで自殺だの政治だのが続いたので、今日は肩の力
を抜いて読める本を紹介しよう。本書はいわゆるジョーク本
の類に入る。趣旨は誰もが知っている童話のリライト。

 ただし、「政治的に好ましくない表現」は一切用いられてい
ないし、結末が現代風に改められているものもある。要は、
そこまであの表現もダメ、これもダメだなんて表現に規制を
かけるのであれば、いっそ正しい表現、言葉だけで物語を
作ってみましょうか?ってことだ。

 結果は火を見るより明らか。一言「悪い」表現を使えば
いいのに、それはできないから、文、長くなる長くなる、
話、進まない進まない。

何時間かたって白雪姫が目を覚ますと、目の前に七人の、ひげもじゃで垂直方向にチャレンジされている男たちがベッドを囲んでいました
 ―――「白雪姫と七人の小柄な人たち」より

 この本が面白いものかそうでないかは、読者によると思う。
僕は、大好きに決まってる。規制なんていくらでもかけられる
し、理論はどこにでも貼り付けられる。それでもそんな力が
面白い小説やドラマや漫画を殺すとなると我慢ならない。

 頼まれてもないくせに、人権擁護したがる頭でっかちの話
を聞いた時に、本書は最良の清涼剤だ。それで、あなたが
読んだあとは相手にも見せてあげよう。

「これが理想なんでしょ?」って。