「T.R.Y.」 井上尚登
革命という名の悪友
本を読むのと同様、酒を飲むのも僕がずっと続けている
趣味のひとつだ。カクテルに凝ったこともあれば、ウィス
キーかバーボンを毎晩飲んでたこともある。今は焼酎が好
きで、家に4合瓶が何本か置いてある。友達と飲むのが大
好きだし、ひとりでも飲む。
読書は人に悪く言われることがあんまりない。友達に例
えると、折り目正しい学級委員長みたいなモンで、敬遠さ
れこそすれ「やめろ」と咎められた記憶は人生一度もない。
引き換え飲酒は筋の悪い友達だ。金がかかるし、時間も
とられる。飲酒暦が長くなればなるほど、失敗の数も正比
例。でかい事やるたびに「もうサヨナラ」って言ってはみ
るものの、結局僕はこの悪友の顔が忘れられない。
君たちはなぜ、駆け足で生き急ぐ
なぜ、おれを放っておいてくれない
―――詐欺師 井沢修(革命家への独白)
本書の主人公、詐欺師井沢修にもそんな悪友がいる。
ただし趣味なんてスケールの話じゃなくて、それは革命だ。
刑務所につかまる位に運のない日々を送っていた井沢は、
目の前に現れた謎の大男、関に出会い、革命の片棒担ぎを
するハメになってしまう。
その片棒の担ぎ方が本書の面白いところで、彼らは暴力
をほとんど全く用いない。変わりに使うのが口八丁手八丁。
ミッションは「革命に必要な武器を得よ。ただし、その活
動資金も詐欺で得ること。」
ちなみにこの本は映画化されている。コピーはたしか
「武器は頭脳」だったような気がするが、あんまりよく
覚えていない。覚えているのは「面白くなかった」って
散々悪態ついた事だけだ。
でもさ、残された者はどうすりゃいいのさ。あんたたちがいう
大義名分でも抱いて寝りゃいいのかい。ごめんだよ。
―――新橋芸者 喜春
多彩で、個性的な登場人物が出てくるなか、突出して魅
力的なのが新橋芸者の喜春だろう。きっぷがよくて、情に
厚い。しかも、気立ても面倒見も良い。これと決めて絶対に
曲げないエネルギッシュな婆様は台風より迷惑だが、本越し
に見るならこれほど面白い物もない。
その喜春が故人を思いながら月琴を引くエピソードのみな
らず、この本から受け取る中国租界、及び大正の日本の猥
雑で、精力的な雰囲気はたまらなくいい。虚実を交えたスト
ーリーらしいが、見事にひとつになっており、最後の最後
まで楽しめきれる。
さて、お酒でも飲もうかな。
本を読むのと同様、酒を飲むのも僕がずっと続けている
趣味のひとつだ。カクテルに凝ったこともあれば、ウィス
キーかバーボンを毎晩飲んでたこともある。今は焼酎が好
きで、家に4合瓶が何本か置いてある。友達と飲むのが大
好きだし、ひとりでも飲む。
読書は人に悪く言われることがあんまりない。友達に例
えると、折り目正しい学級委員長みたいなモンで、敬遠さ
れこそすれ「やめろ」と咎められた記憶は人生一度もない。
引き換え飲酒は筋の悪い友達だ。金がかかるし、時間も
とられる。飲酒暦が長くなればなるほど、失敗の数も正比
例。でかい事やるたびに「もうサヨナラ」って言ってはみ
るものの、結局僕はこの悪友の顔が忘れられない。
君たちはなぜ、駆け足で生き急ぐ
なぜ、おれを放っておいてくれない
―――詐欺師 井沢修(革命家への独白)
本書の主人公、詐欺師井沢修にもそんな悪友がいる。
ただし趣味なんてスケールの話じゃなくて、それは革命だ。
刑務所につかまる位に運のない日々を送っていた井沢は、
目の前に現れた謎の大男、関に出会い、革命の片棒担ぎを
するハメになってしまう。
その片棒の担ぎ方が本書の面白いところで、彼らは暴力
をほとんど全く用いない。変わりに使うのが口八丁手八丁。
ミッションは「革命に必要な武器を得よ。ただし、その活
動資金も詐欺で得ること。」
ちなみにこの本は映画化されている。コピーはたしか
「武器は頭脳」だったような気がするが、あんまりよく
覚えていない。覚えているのは「面白くなかった」って
散々悪態ついた事だけだ。
でもさ、残された者はどうすりゃいいのさ。あんたたちがいう
大義名分でも抱いて寝りゃいいのかい。ごめんだよ。
―――新橋芸者 喜春
多彩で、個性的な登場人物が出てくるなか、突出して魅
力的なのが新橋芸者の喜春だろう。きっぷがよくて、情に
厚い。しかも、気立ても面倒見も良い。これと決めて絶対に
曲げないエネルギッシュな婆様は台風より迷惑だが、本越し
に見るならこれほど面白い物もない。
その喜春が故人を思いながら月琴を引くエピソードのみな
らず、この本から受け取る中国租界、及び大正の日本の猥
雑で、精力的な雰囲気はたまらなくいい。虚実を交えたスト
ーリーらしいが、見事にひとつになっており、最後の最後
まで楽しめきれる。
さて、お酒でも飲もうかな。