「スピード」 石丸元章 | 「非現屋」

「スピード」 石丸元章

ようこそ、一線のその先の世界へ。

 中学生の頃、保健の授業が好きだった。退屈であくびの
出る事ばっかりのカリキュラムのなかで、唯一、若い盛り
の僕らの大好きなこと(セックス、ドラッグ、アルコール)
について教えてくれる授業だったから。

 それでも、そこには常に「一線」が存在していた。先生
が僕らに「酒を飲んで感想文を書いて来い」とは絶対言わ
なかったし、コンドームなんて、持ってるだけで説教もの。
ましてや、ドラッグの売ってるトコロなんて論外だった。

 結局、僕らは保健で得た知識のうち、どんなことも知っ
てるけど知らなかった。「一線」のその内側で僕らにでき
た事は、日に日に想像を膨らますことだけだったんだ。

スピード!!スピード!!スピード!!
書いてる本人がブッ壊れた最大の理由!
  ―――本文より

 本書「スピード」の著者、元ラジオDJ石丸元章は、保健
の授業が頑なに守ったその「一線」を軽々と超えて、ドラ
ッグの世界を垣間見せてくれる。違法性とか、精神、肉体
への影響とかそんなこと関係なしに、結局ドラッグをどうや
ればいいのか?そして続ければ、どうなるかを教えてくれる。

 それには、ドラッグの種類、値段、入手法の他、その効用
がジャンキーの視点で、その時のエピソードを絡めながら、
書かれている。時にはクラブでサラリーマンをぼこぼこに
し、時にはオーバードラッグで内臓をジャブジャブ洗いた
いと苦しむ。

 シンナーからトルエン。マリファナ、ハシシ経由で最終
的には覚せい剤へ。著者は結局、取材どころか本当のジャ
ンキーになってしまって、彼を含めた相棒ギター男、知り
合ったボンボンのサイコビリーらとともに3人はそれぞれ
の破滅を迎えてしまう。

「もう2度としません」なんて、
悟りきった顔で言いたくないな。
  ―――筆者あとがきより

 ドラッグがどれだけ楽しいか、そして、手を出したらど
うなるのか?この本はそれをリアルに教えてくれる。

 さぁ、本当の授業の始まりだ。