日本のガソリンと軽油とも、石油元売さんの努力で既に2005年の1月からガソリン(ハイオク・レギュラー共)・軽油の中の硫黄分が10ppm以下になりました。 http://www.paj.gr.jp/eco/sulphur_free/index.html
実際には製油所から出荷されるものが切り替わるだけなので、各地にある輸送所のストレージタンクが完全に切り替わり、その後各スタンドのタンクまでが入れ替わるのには、通常半年(石連は3ヶ月と言っていますが)程度かかるので(過去の自動車メーカーからの情報)既に日本のガソリン・軽油は世界で一番硫黄分が低くなっています。 ただし、沖縄や離島は除かれるとありますけど。 でもJISの規格だけは現在古いままになっていますので、実際と規格が異なっている珍しいケースです。 でも、これには何と言っても日本の自動車(乗用・トラックを含む)のマーケット事情があっての事で、通常ガソリンと軽油は1:1の割合で原油から精製するのが効率が良いのに、ディーゼルの国の規制が遅れた為に、地方都市が打ち出したNOx・PM法のおかげで、ディーゼル乗用車が実質0.1%以下(保有台数ベース)となり一般に言われていた、日本の軽油の品質が悪い為に酸化触媒などが使えないからと言い切っていた自工会に対し、積極的な態度でイメージ・アップもかねて先行投資したわけです。 この硫黄分は、排気ガス制御や有害物質に対し幾つかのメリットがあり、
1.硫黄酸化物の低下ー酸性雨の大幅低減
2.排気ガス浄化用の触媒被毒の低減ー従来使用できなかった触媒の使用が可能に
3.ディーゼルによるPMの減少ーPMのj発生量は軽油中の硫黄含有量に比例
この内酸性雨の減少とPMの減少にはかなり効果がありました。 特にPMに関してはNOx・PM法の施行時期と重なった為、相乗効果となって現れて、大幅に改善されました。 一般には知られていませんが、PMが減ったのは全てNOx・PM法によるものではなく、軽油中の硫黄分が500~50ppmへ、そして10ppm以下となった効果の方が大きいのです。 大まか1/50になったわけで、DPFを付けた車両の低減率30%と比較すれば一目瞭然です。 これにNOx・PM法によるDPFなどの取り付けと、不正軽油(主に灯油とA:重油を混ぜたもので、灯油だけではカロリー不足になり、黒煙にはあまり影響は少なく、重油の量が多くなるにしたがって黒煙の量が増える傾向にあります。) 監視が厳しくなった分、これらの不正軽油を使った真っ黒な煙を吐く車両は非常に少なくなりました。 (通常だときっちり整備された車両であると前が見えなくなるような排気にはなりません。 古くなるとインジェクターが従来の噴射圧では、デポジットが付着均等な噴霧ができない事も黒煙の増加につながります。)
決してNOx・PM法に対し反対するつもりはありませんし、排気ガス規制に一石を投げたことは良かったのですが、何も判らず(本当は知っていたと思いますけど)ディーゼル・ノー作戦なんてバカな行為で、一緒くたにディーゼルを否定したことにより、日本国内でのクリーンディーゼルの開発・販売が遅れさせたことに関しては十分責任があります。 NOx・PM法だけでは無く石油元売さん達の努力があったことは是非覚えておいて欲しいものです。
酸性雨については、50ppmの規制までのデータでは、NOxに起因するものより圧倒的に硫黄酸化物が多くNOxからの影響を大幅に上回っており、EUの酸性雨の主たる原因は硫黄酸化物によるものです。 例えばドイツの大理石の建築物が真っ黒になって腐食しているのは硫酸が原因です。 勿論NOxに起因するものも皆無ではありませんから、順序として硫黄酸化物の対応が終わったから=対策が効くようになったからNOxの規制が騒がれているのであって、何でも同時進行は各企業・業種の対応が足並みがそろわないと難しいことなんです。 でも日本は全て状況=燃料が低硫黄化=10ppm以下(=測定限界近いと言う意味でサルファフリーと呼びます。)になっての詳しいデータがありませんが、今後は硫黄酸化物よりNOx起因による害を低減させる努力が行われる地盤が造られたのだから、自動車メーカーはもっとがんばるべきですね。 もう燃料の品質云々とはいえなくなっていますから。
さて、NOxの対策の救世主NOx吸着触媒は硫黄分が50ppmでは、劣化してしまいます。 これが使えないからディーゼル乗用車の販売はしないと言っていたメーカーも現在なら販売できる状況になったわけです。 しかし、これ無しでも新長期規制までは、従来の技術の積み重ねで十分クリアできる事は、実車のテストで確認しています。 ただし、正規輸入元では、排気ガス試験法(Euro4と新長期規制の違い。)を十分理解されて無いようなので、難しいと思われがちですが、実際TLが307HDi136を試験した以降十分にデータがそろい、Euro4のDPF付ならメーカーの技術者に幾つかの変更を頼めば現行のシステムを使用し可能である事が判っています。 酸化触媒+DPFの研究ではなくDPNRを主流にしていたところは、当然50ppmの軽油では販売したくなかったのは、良く判りますけど、それは自社の都合と言うものです。
話を戻して、これほどまでに硫黄分の低い燃料が販売されているのは、日本だけだというのはあまり知られていません。
例えば、ディーゼル全盛のEUでは、Euro5が施行される2009年までは、基本的に軽油は50ppmです。 基本的というのは、北欧(北海油田から精製される軽油の硫黄分はもともと低い事から、スウェーデン・ノルウェー・デンマーク等は既に10ppm以下だと記憶しています。 特にスウェーデンは、ドイツで多量に使用された石炭:発電から多くの工業界はもともと豊富な石炭を使用していた事から、酸性雨被害を受けて湖は酸性になったほどで、これの教訓になっているからでは? デンマークなどでは、硫黄分の少ないコークスの発電が自分が住んでいた頃では主流でした。)と、一部の主要都市部では10ppmになっているところが増えてきています。 でも全て切り替わるのは2009年初頭です。 つまりEuro4は50ppmの硫黄での対応なんです。 だからNOxに対してより厳しいEuro5に対しては10ppmの軽油が使われる必要がある。 だから燃料の規格も2009年には完全に切り替わるのです。
さて、ガソリンは、どうなんでしょうか? 日本では、既にレギュラーですら10ppm以下ですが、これも同じくEUは2008年末までは50ppmです。 2005年に50ppmになったので、以前は150ppmでNOx吸着触媒は劣化が進む使えず、直噴ガソリンも普及が送れていました。 日本は2004年末まで100ppmでしたからリーンバーン専用の触媒も、三元触媒も2005年以降劣化が少なくなっています。 (ただし、直噴リーンバーンを行うエンジンが黒煙を噴くのは他に理由があります。 ATなのにエンストする直噴G・エンジンの黒煙を排出するメカニズムは別途触れます。)また、三元触媒を使っていても高負荷では役に立たない状況であることも近く触れることにします。) つまり、燃料自体で使える触媒やその寿命も大きく影響を受けるわけです。 (これ以外にエンジン油の中に含まれる燐も触媒の寿命には大きく影響を与えます。 この事は別途報告)
米国の燃料は、日本やEUよりさらに送れて低硫黄化かされ、しかもその含有量の最終値も多い為に更なる技術的困難を乗り越えなければなりません。 触媒の寿命を考えると尿素で還元するシステムは米国では優位性があるとも現状ではいえるわけです。 ホンダの新触媒も今では耐久性試験を行っているわけで、100%確立されているわけではないのです。 でも日本の燃料はこんなに進んでいるから大丈夫なはず。 なのに何故ディーゼル車は出てこないんでしょうか? これは、別途触れるとして、
次回は、現行排気ガス試験モードだから排出ガスがきれいに見えるガソリンエンジンについてです。(ここまで触れて良いのか判りませんが、ついに触れることにします。)